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ビートたけし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ビートたけし


|ビートたけし

北野武。2000年カンヌ国際映画祭にて
プロフィール
本名: 北野武
別名: たけちゃん
出生地: 東京都足立区
生年月日: 1947年1月18日
現年齢: 60歳
活動
活動内容: テレビ司会者、お笑いタレント映画監督俳優大学教授漫才
主な作品: バトル・ロワイアルHANA-BI座頭市
受賞: ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞

ビートたけし(本名:北野武(きたの たけし)、1947年1月18日 - )は、東京都足立区梅島出身のテレビ司会者、お笑いタレント映画監督俳優東京芸術大学大学院映像研究科教授(監督領域)、元漫才師(ビートキヨシとともに、ツービートとして活動)。オフィス北野に所属し、この事務所の中心人物でもある。タモリ明石家さんまとともに、「日本のお笑いタレントBIG3」の一人にあげられ、また、映画監督としては世界的にも評価が高い。愛称は「たけちゃん」・「殿」・「たけし」(所ジョージなどからは「おじさん」と呼ばれている)。映画監督関係では「北野武」、それ以外では「ビートたけし」を名乗ることが多い。

目次

来歴

学生時代

塗装業の父・北野菊次郎(1897年-1977年)と母・北野さき(1904年-1999年)の四男(次男が夭折し、実質は三男として育つ)として生まれる。東京都立足立高等学校を卒業し、明治大学工学部(現在の理工学部機械工学科に入学するも中退。その後、2004年に、特別卒業認定者に選ばれる。そのため、学歴は明治大学工学部卒となっている。学生時代はジャズに傾倒し、新宿の“LeftyCandy”を初めとしたジャズ喫茶や新宿アシベ、当時の文化人の交流の場所、風月堂にも入り浸っており、たまに来る依頼でジャズ喫茶のボーイもしていたがジャズの見識は一部で有名であった。この頃は青春の葛藤期でもあり、プロボクサーを目指しジムに通い、また2種免許を取得してタクシーの運転手をしたりアルバイト三昧の青春時代をすごした。

前座時代

その後、映画を観る為に浅草へ頻繁に通ううちに東京都台東区浅草にあったストリップ劇場浅草フランス座のエレベーターボーイのアルバイトしていたが、同劇場を取り仕切る「浅草の首領」こと深見千三郎に師事し、前座芸人・北千太(北野姓と師匠の名前から。尚名前は頻繁に変わった)としてコント(軽演劇)を学ぶ。幕間コントに出演して腕を磨き、芸人としてタップダンスの修業にも励む。前座仲間とのコントコンビでのデビューを目指すが、仲間の病気により頓挫。尚当時の同僚として作家の井上雅義がいる。

ツービート結成

舞台中心の昔の浅草と違いTVが台頭して来た浅草は隆盛時代と比べ物にならぬ程さびれて、観光地として以外の存在もなくなり実質ショウビジネスのメッカとしての終焉を迎えようとしていた。 当時浅草・ロック座に在籍していた兼子二郎(ビートきよし。現・ビートキヨシ)に誘われて漫才を組むも全く芽が出ない為、兼子の発案で『有名な師匠の弟子になった方がいい』と戦略的に松鶴家千代若千代菊門下に入る。“わっかるかなあ わかんねえだろうなあ”のギャグで一世を風靡した松鶴家千とせは兄弟子にあたる。元々はエノケン古川緑波のように、ボードビリアンから銀幕デビュー迄を視野に入れて志も高く軽演劇を教えていた師匠の深見は『色物をやる為に芸事を教えたんじゃねえ』とたけしを破門同然に突き放す。一方、たけしはコンビ・松鶴家二郎次郎の二代目松鶴家次郎となり漫才師。後にコンビ名を空たかしきよし(たかしが北野。きよしが兼子。)にするが、この頃は兼子主導で漫才を進行させていた。さらにツービートと改名してからは、旧来のツッコミとボケのスタイルから脱却して、たけしがネタを一人で喋り続け、きよしが時折たしなめるというスタイルにチェンジするも売れる所までは行かず行き詰まる。

そんな折に大阪で新進漫才師として頭角を現して来たB&Bのスタイルに触発され、スピードを早めて喋りまくるスタイルへ変貌した。この頃から漫画家の高信太郎や業界人から注目される中、太田プロ所属へ。時はマンザイブーム(旧来の“漫才”と区別される為にカタカナ表記)のムーブメントが起こり、「赤信号みんなで渡れば恐くない」などの毒舌漫才と毒舌ネタを売り物とした芸風に完全にシフトした。しかし当時はアイドル性と女性ファンが取り囲むブームにより、B&B、ザ・ぼんち紳助竜助のりお・よしお等の後塵を浴びる3、4番目の人気順位であった。しかしファンは圧倒的に男性が多かった特異のコンビであった。あくまで漫才でトップを狙うたけしを裏切るように、きよしから『漫才はきついからもうやめよう』とフジテレビTHE MANZAI-5 を最後にツービートは解散。漫才時代は「ツービートの わっ毒ガスだ」等の著作も手がける。望まずしてピン芸人になったたけしはオールナイトニッポンTHE MANZAIからの発展番組オレたちひょうきん族出演で“ピン芸人のビートたけし”として世間に知られるようになる。

オールナイトニッポン

ニッポン放送系の深夜放送ラジオ番組「ビートたけしのオールナイトニッポン」でビートたけしの評価は一気に高まる。本人が当時を述懐するに『とにかく一人で喋ると間が空く事がものすごく恐かった』と言う通り、トークの速度はものすごく密度が濃い。当時のファンの中心層であった大学生は必ずテープに録音してから何度も聞き直さないと全内容が捕捉出来なかった程であった。ただ横で笑っているだけのように見られていた放送作家高田文夫は、実はたけしのハイテンションを絶妙な間合いの合いの手で支えていた。当時は同じ事務所の(たけしが紹介した)片岡鶴太郎も共に参加していた。この番組から出た本は今で言う“語り起こし”で構成は主に高田によるものであった。また、ハガキ職人と呼ばれた熱心な投稿者の存在も大きく、このスタイルは後の「とんねるずのオールナイトニッポン」「ナインティナインのオールナイトニッポン」「伊集院光 深夜の馬鹿力」等、お笑い系パーソナリティの放送構成モデルとなった。次第にそのまんま東をはじめとした弟子志願者が現れはじめ、日本一周をラジオで中継させたりする『弟子やめさせコーナー』もあり、鶴太郎と交代するようにたけし軍団も放送に加わる様になった。放送の構成は週の出来事をおもしろおかしく話す内容が大半だが、時に三島由紀夫に傾倒するや、2時間三島を語る等の“講義モード”になったときもあった。また、中国で日本人修学旅行生が鉄道の大事故で亡くなる等の社会的な問題が起こった際には放送をボイコットしたり、風邪による体調不良で休んだこともあった(このときは急遽軍団が番組を引き受けていた)。

オレたちひょうきん族

明石家さんま島田紳助片岡鶴太郎たちと出演した『オレたちひょうきん族』(フジテレビ、メインはたけし)は、当時のお化け番組『8時だョ!全員集合』 (TBS) を放送終了に追い込み、80年代のバラエティ番組の金字塔となった。

『オレたちひょうきん族』の人気コーナーで、たけしが主役のヒーローコント『THE タケちゃんMAN』は当時一世を風靡し、これにあやかって学校給食に「タケちゃんマンライス」なる料理が登場するようになった。


バラエティの黄金期

1982-1984あたりからTX気分はパラダイス等に出演している最中たけし軍団という弟子志願者(正式な門下は取らない主義の為“ボーヤ”と呼ばれる)の人数が集まって来た事から、集団で行うバラエティの展開を模索しNTV系スーパージョッキーTBS系笑ってポン、お笑いサドンデス等と相まって各種のスペシャル番組にも取り組むも、まだファン層は新しいものを求める男性の大学生や若年層社会人に限られたコアな認知度だった。また博識が評価されTBS世界まるごとHOWマッチ等で文化人的な出演要請も増えて来た。

1985年から過去の経験や蓄積したアイディアからバラエティの黄金期を迎える。

  • NTV=スーパーJOCKEY
  • NTV=天才!たけしの元気が出るテレビ
  • ANB=ビートたけしのスポーツ大将
  • TBS=風雲!たけし城
  • TBS=OH!たけし
  • TBS=世界まるごとHOWマッチ
  • CX=オレたちひょうきん族
  • LF=オールナイトニッポン

当時のレギュラー番組全てであるが、このうちNTV ANB TBS CX全ての20時台の最高視聴率をマークした。尚、たけし城、元気、スポーツ大将は全て実質ビートたけし本人の企画・構成によるものである。その他放送以外に歌手としてのレコードリリースとライブ活動、文学小説の出版、“たけしの挑戦状”等のゲーム制作も行っており、フライデー襲撃事件が起こる迄の期間はバラエティ時代の黄金期と言える。

ビートたけし登場以後、TV業界へ与えた影響

マンザイブームは、それまでドリフターズや萩本欽一などお笑いスターを中心に据えて存立していたバラエティ番組を大きく変えるきっかけになった。「オレたちひょうきん族」で茶の間に認知されたビートたけしは、その「ひょうきん族」自体では明石家さんまへの突っ込み役に徹することが多かったが、「お笑いサドンデス」「笑ってポン」等でそれまでの平和型のコントやギャグよりも、むしろ過激で無謀な方向性のギャグを志向した。 そして1985年以降のバラエティ黄金期では一般視聴者(素人)を重要な役割で参加させる番組を提示する。それまでバラエティ番組は(欽ちゃんファミリーの「気仙沼ちゃん」などごく一部の例外を除いて)あくまで芸人主導のものとされていた常識を覆し、ビートたけしは素人とたけし軍団を対抗させる形で、素人も主役に据えているのが最大の特徴である。「風雲!たけし城」では、たけしと軍団が構える『たけし城』に様々なゲーム形式の障害を乗り越えて行くという「攻略ドラマ」を中心に据えた番組構成を示した。考え抜かれた各ステージにおける参加者のリアクションの面白さは世界的な普遍性を持ち、世界各国で吹き替え版はもとより、権利を購入して現地キャストで製作した番組が放送されて人気を博した(一方本家のTBSは、同じ緑山スタジオを舞台に「筋肉番付」「SASUKE」等、「たけし城」をヒントにしたフォロワー番組を作り続けている)。

スポーツ大将」では陸上競技、草野球、ママさんバレー、サッカー、水泳等の『昔取った杵柄』自慢の素人とたけし軍団が競う趣向をとった。たけし軍団では歯が立たない場合は100m走ではカール君、水泳ではトビウオ君、野球では球道君といった機械仕掛けのキャラクターが登場し、シュールな笑いを喚起した。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」では様々な素人を『街の話題』的に取り上げたり、ダンスが若者に浸透してきているニーズをいち早く察知し「ダンス甲子園」のコーナーを設けるなどの企画が光った。象徴的なのは番組内の企画コーナー「たけしサンタ」であり、子供が寝静まった枕元にサンタの扮装をしたたけしがプレゼントを届け、気づいて起きた子供のリアクションを愉しむというもの(この「元気が出る…」のスタイルは「ねるとん紅鯨団」や「浅草橋ヤング用品店」へ引き継がれる。いずれも制作会社がIVSテレビ制作テリー伊藤の演出)。

これら各局視聴率トップを誇った番組のほとんどがビートたけし本人の企画と構成であり、そのキーワードは『夢』であるといえる。一般視聴者が様々な形で参加し愉しむというコンセプトはどれも一貫したもので、ファミリー参加型の家族リレーや家族大会等、視聴者が後々までも自らの語り草にできるような良質な番組であった。

バラエティの中でビートたけしが用いる言葉も業界で浸透した。[要出典]

オープントークで『と、言うわけで』から始まる独特のフレーズは当初「どういう訳なんだよ!」と突っ込みを貰う為のものであったが、今では疑問を持たずにそれ以後のタレントが当たり前のように用いている。『肉付けされた白骨死体みてぇな顔じゃねぇか』のように『〜みたいな〜』の例え表現形式もツービート時代にビートたけしが使い始めたもので、以後のお笑い系タレントがやはり当たり前に用いている。『わけのわからねぇ事言ってんじゃねえ!』の『わけのわからない』の表現も以前は日常で用いられる事はさほど無かったが、常用されるようになったのはビートたけし以後である。[要出典]余りに浸透しすぎて居るが故にこれらの言葉を現在では誰も意識する事がない。

映画監督

当初は売れっ子芸能人の道楽的な見方をされていたが、現在では世界的な評価を確立している。

ビジュアル面での最大の特徴は、「キタノブルー」と評される青の色使い。また、多くの作品で登場人物の「死」が描かれ、青みの深い画面のもたらすひんやりした映像感覚とあいまって、全編に静謐な不気味さを醸し出している。 こうした一貫したカラーを持つ一方で、撮影時のアングルや編集のリズム、自身の絵画の導入、CGによるエフェクトなど、一作ごとに新たなチャレンジや創意も感じさせる。

映像に一層の格調高さを与えている久石譲の音楽(3作目以降)も重要な存在である。 (各作品の詳細は「監督作品」の項参照のこと)

その他プロフィール

明治大学特別卒業認定者(2004年)。血液型O型。趣味は野球音楽映画ゴルフ数学の勉強。好きな食べ物はおにぎり、九州ラーメンから揚げ、コロッケパンなど。星座は山羊座。

家族・縁戚

父の叔母で実質の祖母である北野うし1877年生)は明治時代に娘義太夫の花形であった。長兄が宇野製作所取締役営業本部長の北野重一、姉を挟んで、次兄がタレント明治大学教授、工学博士北野大。妻は元漫才師の北野幹子(旧姓・松田)、娘は北野井子(しょうこ)。レーシングドライバー松田秀士義弟である。

事件

人物

  • ドラマ、映画に出演し、コメディアンとしてだけではなく、俳優として深みのある演技を見せる。また、情報番組の司会を数多くこなす他、ピアノタップダンスも行う。また、立川談志の門下生でもあり、「立川錦之助」という高座名ももつ。
  • 日本の映画監督故・黒澤明とも会った事があり、たけしは黒澤を敬愛している。たけしのベスト映画は『七人の侍』である。
  • スポーツは野球・サッカー(Jリーグより以前の国内・海外選手に詳しい。)を愛好している。特に草野球チームとしての「たけし軍団」ではピッチャーを務めマウンドに立つこともある。野球をする時の彼は真剣で、軍団に本気で恐れられた。ファン感謝デーの余興の試合(軟式)とはいえ阪神タイガースに勝ったこともあり(1991年)、「阪神13位」とスポーツ紙をにぎわせた。
  • 2004年9月7日明治大学は、100単位以上を取得しながら何らかの理由で大学に行くことが出来なくなった人物(母さきはたけしの中退後も明大に学費を納入していた)に与える「特別卒業認定証」の第1号認定者とし、ならびに明大の知名度アップに貢献したとして「特別功労賞」を贈ると発表した。
  • 東京芸術大学2005年4月に新設された大学院映像研究科の教授および映画専攻長に就任した。監督領域の教授は北野武と黒沢清の二名のみである。
    また、次兄の北野大も淑徳大学の教授だったので兄弟で教授となる。
  • 大学が理系であった事からも分かるように、数学に対する造詣が深く、「もし道を間違えなかったら、数学の研究者になりたかった」とも語っている。また、かつて「ここがヘンだよ日本人」に出演した少女の、「数学なんか学んで何になる」という言葉に対し、「世の中の全ての現象は数学に支配されており、数学で説明できる」と反論した。しかし「平成教育委員会」の算数の授業で、「数学は答えさえあってれば良い」との理系出身者とは思えない理由で、論拠が誤っている正解者を優等生に選出した事もある。
  • 2004年10月に長女の北野井子が調理師と入籍し、2005年3月9日に女児を出産し、たけしは「おじいちゃん」となった。しかし同年6月、離婚調停中であることが発覚した。また長男の北野篤もオフィス北野所属のタレント・たかだゆうことできちゃった婚をした。
  • オレたちひょうきん族」の収録をしょっちゅう休み、そのたびに明石家さんま島田紳助にネタにされた。来なかった理由を「オバケが出たから」と言い訳したのは有名。
  • 「タモリと俺って言ったら20年くらい前なら嫌いな芸人のベスト3に必ずいる芸人だった、さんまもかつてはそうだったね。けど、今はみんな好きな芸人ベスト10に入っている。世の中不思議なもんだね。」と以前番組中に述べたことがある。
  • 長年、パンツはブリーフ派であったが、体型を気にしてか、近年トランクスを履くようになった。

映画作品

監督作品

基本的に出演しているが、していない作品もある。出演の際は、ビートたけし名義で出演。原則として映画監督としての活動は北野武名義となっている。

映画監督としてのキャリアスタートは、主演映画に当初予定されていた深作欣二監督の降板に伴って実現する事となった。既存の刑事ドラマへの挑発とも言える、アンチヒロイックな意欲作。警察の実態はフライデー襲撃事件での逮捕時に目にした事実を存分に盛り込んで、リアリティを追求した描写となっている。
観客の解釈にチャレンジするかのような謎めいたストーリー。タイトルの意味も映画の中で語られることはない。前作も不条理な結末であったが、本作も引き続き生々しい暴力表現と不条理な展開が盛り込まれており、北野武の映画における暴力のイメージ追求がうかがえる。
それまでの暴力的なイメージを一新し、「“死”は誰にでも平等に訪れるもの」をテーマに、聾唖者の純粋な恋愛悲喜劇と、理不尽の存在を描いた。それまで北野作品=暴力という先入観から彼の作品を疎んじていた淀川長治が、評価を180度変えて熱烈に支持。この頃から「映画も作るビートたけし」ではなく「映像作家・北野武」のイメージと評価が形成され始める。また、久石譲と初めてタッグを組んだ作品。
沖縄の海と空の鮮やかなブルー、その中に終始ただよう濃厚な死の雰囲気が鮮烈な傑作。シネフィルや多くの批評家達から熱狂的な支持を得て、日本を代表する映画作家の一人としての地位を主に海外で確立した。
1994年のバイク事故からの生還・復帰作。人生に挫折した青年二人が高校生時代と同じように授業を無視して自転車で二人乗りして校庭を走り回り、「オレ達もう終わっちゃったのかなぁ…」「バカ野郎、まだ始まっちゃいねぇよ」と呟くラストシーンが印象的。ボクシングジムのシーンは北野自身のボクサー経験を活かし、現役ボクサーが観ても耐えうる作り込みがなされている。
「死」と「暴力」を、詩情豊かに提示するという難題を形にした北野の代表作。ヴェネチア国際映画祭でグランプリ(金獅子賞)を受賞したのを筆頭に、日本を含め世界各国で数々の賞を受賞。フランスの権威ある映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』誌で北野武自身が表紙を飾った特集が組まれたことや、ヨーロッパでは大学の卒業論文に北野映画の研究を取り上げる学生もいるなど『キタニスト』と呼ばれる熱烈なファンも登場した。海外主要映画賞の受賞をきっかけに、北野武監督に対する日本での評価が手のひらを返すように一変。興行面でも、配給網がぜい弱な松竹系から、足かせのない独立系制作へ移行し、商業的成功と無縁だった状況が好転する事になった。
道楽者の菊次郎と武少年の奇妙で愛情あふれる関係を丹念に描いた、北野作品では異色の「私小説的」映画。高齢の母さきが入院したのをきっかけに、亡き父、北野菊次郎へのオマージュとして、またHANA-BIで成功した自分への重要な区切りとして、マーケットを意識せずに「今どうしても撮りたいシャシン」として製作。しかし、単に中年男と子供のロードムービーには終わらず、後半は延々とコントが描かれるなど、北野ならではの分裂的な展開を見せる。
初の海外ロケ作品で、アメリカに攻め込んだヤクザを描く。今まで評価されなかった北米市場にあえてチャレンジしたが、結局商業的には成功を収めるには至らなかった。しかし様々な定義のBROTHER=兄弟が交錯するストーリーテリングは秀逸。
「文楽が操る人間の道行き物語」をテーマにした実験作。『キッズ・リターン』以来の、複数の人間ドラマを同時進行させる構成をとる。赤い紐でつながれた登場人物像は、浅草修業時代に実在した、二人が紐で繋がっている乞食夫婦「つながり乞食」をヒントにしている。長期ロケにより美しい日本の四季をフレームに収め、芸術性も高く評価されたが、冒頭の文楽とその後のドラマのつながりなど、構成的バランスを欠く面もある。ともあれ常に新しいチャレンジの見られる北野作品の中でも、その内容、映像作りは大きなターニング・ポイントとなっている。
ヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞。北野が「おかあさん」と呼び、かつて出入りしていた浅草六区の大勝館会長、斎藤智恵子(80)の誕生パーティーで呼ばれて『頼み事があるけど、断っちゃだめ』と製作するように頼み込まれ、前作より短期間で製作された作品。勝新太郎が演じたキャラクターの印象を払拭するかのような金髪、赤の仕込み杖の座頭市が型破りの活躍を見せる。全体に貫かれる「青」のイメージとリズム感あふれる編集。エンディングのタップや師匠深見千三郎仕込みの殺陣技術など、浅草演芸の伝統もたっぷり織り込まれている。依頼された企画であるがゆえに肩の力の抜けた娯楽作品に仕上がり、アメリカ人にも分かりやすいアクション、時代劇であることもあいまって念願の北米での評価も一気に高まった。
前作から一転、観客を突き放し、解釈を拒絶するかのような難解な作品。

出演作

戦場のメリークリスマスで注目される。映画監督となってからは、Johnny Mnemonicでハリウッド・デビューも果たしているが、バトル・ロワイアルなど、監督作品同様、その評価は賛否が分かれる。自分以外の作品に出演する際は監督に意見しない様にしているという。

主なテレビ出演番組

現在出演中の番組

過去に出演した番組

NHK総合

日テレ

TBS

フジテレビ

テレビ朝日

テレビ東京

  • 気分はパラダイス!

主なラジオ出演番組

主な主演ドラマ

出演ドラマ

主な著作物

ツービート名義

  • ツービートの わっ毒ガスだ(1980.6.5 KKベストセラーズ)
  • もはやこれまで(1980.10.5 KKベストセラーズ)
  • ツービートの逆襲(1981.4.5 KKベストセラーズ)
  • 笑ってゴマかせ(1981.12.5 KKベストセラーズ)
  • ツービートとどめの一撃(1981.8.31 徳間書店)

北野武名義

  • 余生(2001.2.25 ロッキングオン)
  • 孤独(2002.7.26 ロッキングオン)
  • 時効(2003.9 ロッキングオン)
  • 異形(2004.12 ロッキングオン)
  • 光(2005.11 ロッキングオン)
  • 武がたけしを殺す理由 全映画インタヴュー集(2003.9 ロッキングオン)
  • イチロー北野武キャッチボール(2003.7 ぴあ)

ビートたけし名義

  • たけし! オレの毒ガス半生記(1981.11.20 講談社)
  • ビートたけしのごっくん日本史(S57.10.25 リヨン社)(ゴーストライター作と言われている)
  • ビートたけしの変態志願(1982.12.5 KKベストセラーズ)
  • 恐怖びっくり毒本(1983.8.5 KKベストセラーズ)
  • ビートたけしの幸せ独り占め(1981.12.5 オールナイト・ニッポン サンケイ出版)
  • ビートたけしの幸せになってしまいました(1982.10.20 オールナイト・ニッポン サンケイ出版)
  • ビートたけしの三国一の幸せ者(1982.12.5 オールナイト・ニッポン サンケイ出版)
  • ビートたけしの無条件幸福(1983.12.20 オールナイト・ニッポン リビングマガジン)
  • ビートたけしのニッチもさっちも(1984.12.15 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしの幸か不幸か(1985.12.16 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしの不幸中の幸い(1986.12.16 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしの全面幸福(1988.5.9 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしのその男幸せにつき(1990.1.5 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしの幸せ丸十年(1990.11.22 オールナイト・ニッポン&高田文夫編 扶桑社)
  • ビートたけしのウソップ物語(1983.9.1 話の特集)
  • ビートたけしのしまいにゃ笑うぞ(S58.4.10 スコラ/講談社)高田文夫との共著
  • ビートたけしのみんなゴミだった(S58.11.27 飛鳥新社)
  • 午前3時25分(1983.12.10 太田出版)
  • ギャグ狂殺人事件(1984.2.25 作品社)(ゴーストライター作と言われている)高田文夫との共著
  • たけしくん、ハイ!(1984.5.1 太田出版)
  • たけし吼える!(S59.9.23 飛鳥新社)
  • あのひと(S60.8.20 飛鳥新社)
  • 午前3時25分増補改訂版(1986.6.13 太田出版)
  • 新・坊ちゃん(1986.6.19 太田出版)
  • KID RETURN(1986.12.8 太田出版)
  • 少年(1987.11.12 太田出版)
  • 浅草キッド(1988.1.24 太田出版)
  • 教祖誕生 第一部(1990.12.10 太田出版)
  • 仁義なき映画論(1991.11.25 太田出版)
  • 場外乱闘(1992.9.12 太田出版)
  • こんな時代に誰がした! 場外乱闘2(1993.10.17 太田出版)
  • 漫才病棟(1993.5.30 文藝春秋)
  • 落選確実選挙演説(H6.6.15 新潮社)
  • 顔面麻痺(1994.12.9 太田出版)
  • 女につける薬(H5.2.10 祥伝社)
  • 女は死ななきゃ治らない(H6 祥伝社)
  • それでも女が好き(H7.8.5 祥伝社)
  • 愛でもくらえ(H11.2.10 祥伝社)
  • 毒針巷談 (北野武名義)(1984.8.10 太田出版)
  • 続毒針巷談(1985.9.30 太田出版)
  • 続々毒針巷談(1986.10.1 太田出版)
  • 新毒針巷談(1988.7.31 太田出版)
  • ビートたけしの世紀末毒談(1991.11.10 小学館)
  • ビートたけしの世紀末毒談 目には目を毒には毒を(1992.5.20 小学館)
  • ビートたけしの世紀末毒談3 (1996.5.1 小学館)
  • だから私は嫌われる(H3.6.10 新潮社)
  • やっぱり私は嫌われる(H3.12.20 新潮社)
  • みんな自分がわからない(H5.5.25 新潮社)
  • たけしの死ぬための生き方(H7.3.25 新潮社)
  • みんな~やってるか!(1995.1 扶桑社)
  • たけしの20世紀日本史(H8.2.29 新潮社)
  • 草野球の神様(H8.10.20 新潮社)
  • ザ・知的漫才 ビートたけしの結局わかりませんでした(1996.9.25 集英社)
  • 私は世界で嫌われる(H10.2.20 新潮社)
  • たけしの「号外」!!(1998.5.11 洋泉社)
  • コマネチ!ビートたけし全記録 (1999.6 新潮文庫)
  • 菊次郎とさき(1999.12.5 新潮社)
  • 偽善の爆発 時事問題講義(H12.10.30 新潮社)
  • 頂上対談(2001.10.20 新潮文庫)
  • ビートたけしの黙示録(2001.11.30 徳間書店)

写真集・関連本

  • 武風 たとえば風のように(写真集)(1986頃 O.P.F.C)
  • たけし軍団(写真集)(1987.11.18 太田出版)
  • 総特集=北野武そして/あるいはビートたけし ユリイカ2月臨時増刊(H10.2.20 青土社)
  • はっきり言って暴言です(恋愛・結婚・SEX)ビートたけしのTVタックル(1994.6.21 テレビ朝日出版部)
  • 天才・たけしの元気が出るテレビ!! (1996.10.18 日本テレビ放送網)
  • たけしメモ「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」10周年記念企画(1995.4.8 日本テレビ放送網)
  • 北野まんぐり講座 足立区のたけし世界の北野 番組制作スタッフ編(1998.9.10 ソニー・マガジンズ)
  • 奇跡体験!アンビリバボー 番組制作スタッフ編(1998.9.10 ソニー・マガジンズ)
  • 北野ファンクラブ 編著・高田文夫 北野武監修(H4.5.30 フジテレビ出版)

音楽制作

主な歌唱作品

  • 俺は絶対テクニシャン(来生えつこ作詞・遠藤賢司作曲)
  • BIGな気分で歌わせろ(柳川英巳作詞・大沢誉志幸作曲)
  • OK!マリアンヌ(大津あきら作詞・鈴木キサブロー作曲)
  • 抱いた腰がチャッチャッチャッ(大津あきら作詞・大沢誉志幸作曲)
  • TAKESHIの、たかをくくろうか(谷川俊太郎作詞・坂本龍一作曲)
  • I'll be back again...いつかは(TAKESHI&HIROKI名義、関口敏行・伊藤輝夫(テリー伊藤)作詞・BABA作曲)
  • 浅草キッド(ビートたけし作詞・作曲)
  • GOD BLESS YOU~神の御加護を~(ビートたけし&ザ・常夏's名義、ダンカン作詞・奥野敬士作曲)
  • 嘲笑(ビートたけし作詞・玉置浩二作曲)
  • 友だちじゃないか(ぢ・大黒堂名義、トータス松本作詞・作曲)

主な作詞提供

参加したテレビゲーム

ビートたけしを演じた人

  • 小磯勝弥 NHK『たけしくん、ハイ!』(1985年)『続・たけしくんハイ!』(1986年)
  • 天宮良 テレビ朝日『ビートたけしの浅草キッド・青春奮闘編』(1988年)
  • 松尾銀三 フジテレビ『ちびまる子ちゃん』「まる子サーカスに行く」の巻(1996年2月4日)
  • ダンカン テレビ朝日『菊次郎とさき』(2001年1月6日)
  • 水道橋博士 SkyPerfecTV!『浅草キッドの「浅草キッド」』(2002年4月26日)
  • 岡嶋秀昭 ABC『ナンバ壱番館』島田洋七の回(2002年11月4日)
  • 塚本高史 テレビ朝日『菊次郎とさき』(2005年)
  • ビートたけし 『TAKESHIS'』(2005年)

その他

関連項目

外部リンク

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