デューン
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- 砂丘のこと。
- L'Arc~en~Cielの1stオリジナルアルバムのタイトル。「DUNE」参照。
- 日本のビジュアル系バンド。『DUne xxxx』
- ドイツのポップダンスユニット。
- クリスチャン・ディオールプロデュースの香水ブランド。
- アートデイズ社発行のファッション、モードに関する季刊雑誌。『Quarterly DUNE』。
- コンピュータゲーム『時空の覇者 Sa・Ga3』の主人公の初期設定名。
- フランク・ハーバートによるSF作品。以下に述べる。
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デューン("Dune")は、アメリカの作家フランク・ハーバート(Frank Herbert、1920年10月8日 - 1986年2月11日)によるSF小説のシリーズ作品。日本では第1作の邦題『砂の惑星』というタイトルも広く知られており、一般的には『デューン/砂の惑星』と併記される。
砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つメランジと呼ばれるスパイスを巡る争いと、救世主一族の革命と世界の混迷を軸にした壮大なドラマが展開される。
第1作の人気を受けて『砂漠の救世主』『砂丘の子供たち』『砂漠の神皇帝』『砂漠の異端者』『砂丘の大聖堂』と次々に続編が著された。その後の構想もあったようだが、著者ハーバートが1986年に死去したため全6作のシリーズとなっている。
出版直後から幾度も映像化が構想されたが、その壮大なドラマの製作は困難を極め、『エル・トポ』で知られるアレハンドロ・ホドロフスキーを始め多くの人が挫折。ようやく1984年に初めて映画化を成功させたのはディノ・デ・ラウレンティスであったが、監督したデイヴィッド・リンチ自身が認めているように、作品世界全体を描くには充分な内容に仕上がっていたとは言い難い。
その後も数度かに渡って映像化され、またコミック化もされており、ファンタジックで特異な世界観にマニアックなファンも多く、文字通りSF史上に残る伝説的な作品シリーズとなった。これにちなんで名づけられたアート系団体名、作品名も少なくない。
2000年、著者の息子ブライアン・ハーバートが、『スター・ウォーズ』や『Xファイル』のノベライズ作品で知られるケヴィン・J・アンダーソンとの共著で、『デューン』の背景とキャラクターを使った『デューンへの道』シリーズを発表。『砂の惑星』に至るまでの過去譚が語られており、父の世界観をうまく引き継いだと評価も高い。『公家アトレイデ』『公家ハルコンネン』『公家コリノ』の「公家3部作」に続いてまだまだ続刊の予定。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] フランク・ハーバート作品
[編集] 『デューン/砂の惑星』("Dune":1965年)
遥か未来、機械の反乱に勝利し特異な精神世界を作り上げた人間は宇宙帝国を築き世界を支配していたが、超能力をもつ女性種族のベネ・ゲセリットや、純粋数学とメランジの力で恒星間飛行能力を持ったスペースギルドなどの勢力が台頭し決して安泰ではなかった。しかも人間同士も権力争いを日々繰り広げており、危機感を感じた皇帝は、スパイスの採掘権者ハルコネン家と宿敵アトレイデ家を対峙させ、メランジも含め世界を一気に掌握する陰謀を画策した。アトレイデ家の当主レト公爵は殺され皇帝の思い通りになるかと思われたが、公爵家の息子ポウルが超能力と己の使命に目覚め、砂漠の民フレーメンの救世主となって、世界を根本から変革する戦いに立ち上がる。
砂漠の惑星アラキスに起こる革命の戦いや貴重な水を巡る話題、宗教的な精神世界観などからイスラム教やアラブ文化からのインスピレーションによって書かれた作品であることはほぼ定説となっている。ストーリーの流れ自体はファンタジーやSF作品の定番とも言える「王家の盛衰」物語であるが、登場人物や舞台となる世界の特徴が細かく描かれており、読む者の想像力を一気に掻き立てる展開となっている。 主要な舞台であるアラキスでの設定はエコロジカルなニュアンスを醸し出しており、初版当初は新鮮だった。
特にシャイ・フルドと呼ばれ、生命の水やメランジを生成する全長数百メートルに上るミミズのような砂虫(サンドワーム)が、砂の中を突進してきて振動するもの全てを飲み込む描写は迫力に富み、その後の巨大怪物を描く際のイメージのひとつを創り上げた。楳図かずお『漂流教室』の未来怪物やアニメ『伝説巨神イデオン』のドウモウ、映画『トレマーズ』シリーズのグラボイズなどは形態、設定が酷似しているほか、宮崎駿『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)にも影響を与えたといわれている。
海外では本国アメリカを始め1巻本で出版されているが、日本の早川書房から翻訳出版されたものは4巻に分割された。初期の版では石ノ森章太郎が表紙や挿絵を担当している。特にイルーラン姫など挿絵に描かれる女性は、読者のイメージを決定付ける強力なインパクトがある。
[編集] 『デューン/砂漠の救世主』("Dune Messiah":1969年)
[編集] 『デューン/砂丘の子供たち』("Children of Dune":1976年)
[編集] 『デューン/砂漠の神皇帝』("God Emperor of Dune":1981年)
[編集] 『デューン/砂漠の異端者』("Heretics of Dune":1984年)
[編集] 『デューン/砂丘の大聖堂』("Chapterhouse : Dune":1985年)
[編集] ブライアン・ハーバート&ケヴィン・J・アンダーソン作品
[編集] 『デューンへの道/公家アトレイデ』("Prelude to Dune : House Atreides":2000年)
[編集] 『デューンへの道/公家ハルコンネン』("Prelude to Dune : House Harkonnen":2001年)
[編集] 『デューンへの道/公家コリノ』("Prelude to Dune : House Corrino":2001年)
[編集] 『"Legends of Dune : The Butlerian Jihad"』(2003年)
[編集] 『"Legends of Dune : The Machine Crusade"』(2003年)
[編集] 『"Legends of Dune : The Battle of Corrin"』(2004年)
[編集] 映像作品
[編集] 『デューン/砂の惑星』(劇場映画版)("Dune":1984年)
- 監督:デイヴィッド・リンチ
[編集] 『デューン/砂の惑星』(テレビ放映版)("Dune":1994年)
- 監督:アラン・スミシー
[編集] 『デューン/砂の惑星』(テレビオリジナル)("Dune":2000年)
- 監督:ジョン・ハリソン
[編集] 『デューン/砂の惑星 II』(テレビオリジナル)("Children of Dune":2003年)
- 監督:グレッグ・ヤイタネス
[編集] 関連リンク
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