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トコジラミ(Cimex lectularius)とは、吸血性の寄生昆虫のこと。シラミと命名されているが、シラミ目ではなく、カメムシ目の昆虫。別名、南京虫(なんきんむし)。
[編集] 症状
- 刺咬されると、激しいかゆみが生じる。俗に、刺されると肌に2つの赤い痕跡(刺し口)が残ると言われるが、実際には刺し口は1つである事の方が多い。
[編集] 名の由来
- 南京とは、江戸時代には海外(窓口は長崎に出入りしていたオランダ、中国に限られる)から伝わってきた、小さいもの、珍しいものにつけられる名である(他の用例として南京錠、南京豆など)。海外からの荷物に付いて、伝わってきた昆虫であると考えられている。
- 住居では、畳の隙間などに隠れていることが多い。
[編集] 概要
- 成虫は8mm程度に成長するため、目視が可能である。幼虫も成体とほぼ同一形状。外見は、吸血前でも赤褐色を呈している。
- 明治時代初頭に日本を訪れた旅行家、イザベラ・バードの著書、『日本奥地紀行』(Unbeaten Tracks in Japan)では、先々の宿で南京虫の被害を記述をしており、一般家庭や旅籠などには普遍的に生息していた昆虫であったことが推測される。
- 米国では半世紀前にほぼ根絶されたはずだったが、近年感染報告が急増しており、全50州で発生が確認された。衛生的な先進国で大発生する原因は不明であり、「昆虫学最大のミステリー」と呼ぶ人もいる。
[編集] 駆除方法
- 体躯が比較的大きいことから、電気掃除機で家の隅々を丁寧に吸引することで駆除も可能である。
- 薬剤の使用(粉末状の薬剤を畳の裏に散布、エアゾール状の薬剤を通り道に散布するなど)
[編集] 関連項目