トータル・リコール
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トータル・リコール Total Recall |
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監督 | ポール・バーホーベン |
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製作総指揮 | マリオ・カサール アンドリュー・G・ヴァイナ |
製作 | バズ・フェイシャンズ ロナルド・シュゼット |
脚本 | ロナルド・シュゼット ダン・オバノン ゲイリー・ゴールドマン |
出演者 | アーノルド・シュワルツェネッガー シャロン・ストーン |
音楽 | ジェリー・ゴールドスミス |
撮影 | ヨスト・ヴァカーノ |
公開 | 1990年6月1日 1990年12月1日 |
上映時間 | 113分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
制作費 | $65,000,000 |
『トータル・リコール』(Total Recall)は1990年のアメリカ映画。フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」を映画化したSF映画である。
アカデミー賞では視覚効果賞および特別業績賞(視覚効果)を受賞。音響効果賞、録音賞にもノミネート。
目次 |
[編集] 概要
近未来、ヒトの脳に直接働きかけて、擬似体験をしたり記憶を操作する技術が発明された。 リコール社は、開発途上の技術を使い「旅行の記憶」を売る。 火星に興味を抱いたダグ・クエイドはリコール社を訪れた。
[編集] キャスト
- ダグ・クエイド : アーノルド・シュワルツェネッガー
- ローリー : シャロン・ストーン
- リクター : マイケル・アイアンサイド
- メリーナ:レイチェル・ティコティン
- コーヘイゲン:ロニー・コックス
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
近未来のことである。ダグ・クエイドはごく普通の建設労働者。美人の妻ローリーとは熱烈な恋愛の後、結婚してすでに8年になる。妻は彼に対して愛情たっぷりである。だがクエイドは毎夜、火星の夢に悩まされていた。行ったことがないはずなのに、何かひっかかるものがある。クエイドの「火星に移住したい」という思いは募る。
この時代、人類はすでに火星に多数住んでいる。しかし火星は酸素が薄く、マスク無しでは建物の外に出られない環境である。その上、火星植民地は、強権的なエネルギー採掘会社と反乱分子の間で紛争が絶えない、とのニュースが連日テレビに流れている。ダグは妻に火星移住の願望を伝えるものの反対されてしまう。列車内で偶然「旅行の記憶を売る」というリコール社の広告を見たクエイドは、実際に火星に行くかわりに、リコール社で火星旅行の記憶を得ようと思いつく。同僚の労働者ハリーにリコール社を利用する考えを話すが反対される。だが、クエイドはやはり同社へ出向く。
旅行の記憶には多数のオプションがあり自由に選べる。彼は勿論火星への旅のコースを選ぶ。中でも自分が秘密諜報員として旅するコースを。旅先で出会う女性も好みで選ぶ。記憶操作装置のイスに座り注射を打たれ意識が遠のいてゆく...
... 突然、クエイドはクエイドらしくないことをわめきながら暴れだす。まだリコール社の社員がクエイドに記憶を植えつける処置をする前だ。何者かによって抑圧・隠蔽されていた記憶がダグの内に蘇ってきたのだろうか? だとしたら記憶を隠蔽したのは誰?どの組織? トラブルに巻き込まれることを恐れるリコール社の社員は咄嗟にダグに麻酔をかけ、リコール社に来た記憶自体を消す処置をして、何もなかったかのようにタクシーに乗せ帰宅させることにする。
だが、それからはクエイドの身に不可解なことが次々と起こりはじめる。リコール社からの帰宅途中に、職場の同僚ハリーに出会うが、火星旅行の件について尋ねてくるので、ダグが(記憶を消されたので)「何のことか知らない」と答えると、謎のグループが出てきて襲われてしまう。が、その全員を倒して危うく難をのがれる。やっとの思いでたどり着いた自宅で、愛しい妻に、同僚のハリーに襲われたものの撃退したということを告げ、浴びた返り血を洗面所で洗い、居間に戻ると、部屋は暗く、中に何者かが侵入しており激しく銃撃してくる。ダグは妻を守ろうと叫び声をあげつつ犯人を取り押さえてみると、なんと、それは他でもない、愛しい妻ローリーであった。問い詰めると、ローリーは、自分がダグの妻だというのはダグに植えつけられた偽の記憶であると白状した。8年間の甘い結婚生活の思い出も、ニセモノであり、自分は妻ではなく、クエイドの監視役である、とローリーが言う。混乱するクエイド。
そしてそこにまた新たな追っ手が。それも振り切った彼は、謎の男からカバンを受取る。その中のパソコンのモニタにクエイドと全く同じ顔をした男が現れ、ハウザーと名のり、「君は君ではなくてオレなのだ」と言う。つまり、クエイドとは、ハウザーが事情により記憶を消された仮の姿なのだと言い、そうなった背景や倒すべき相手について説明する。カバンには金や偽造身分証も入っており、それを使いクエイドは火星に向かった。
火星では、以前夢で見たことのある黒髪の女性メリーナに出会う。メリーナはクエイドのことをハウザーと呼ぶ。だが、クエイドは、ハウザーだった過去を思い出せない。
宿泊しているホテルの部屋に突然男が現れ、実はクエイドは現実には火星にはおらず、まだリコール社の椅子に座っているのだ、まだ夢を見ている、すべてはリコール社の椅子の上の夢で始まったのだ、夢から覚めるために錠剤を呑めと言う。クエイドはその男の言うことを疑い撃ち殺す。
苦労の末、反乱分子の首領でミュータントのクワトーと出会い、その超能力により記憶の一部を取り戻す。
「火星には50万年前にエイリアンが作ったリアクターがあり、酸素が作り出せる。(テラフォーミング )しかし酸素ができると、採掘業者の支配の邪魔になるので秘密にしてある。」
しかし、罠にはまりクワトーは殺され、クエイドは採掘会社総督のコーヘイゲンのもとに連れて行かれる。コーヘイゲンは「ハウザーは自分の部下であり、クワトーの居所をつかむため、記憶を消しクエイドとして地球へ送りこんだ。」と言う。そしてリコール社同様の装置でクエイドをハウザーに戻そうとする。
反乱分子に共感していたクエイドは装置から脱出し、銃撃戦のすえ、リアクターを作動させる。火星は酸素に包まれ、火星の民衆は圧制から解放された。クエイドは「これは夢かも」と思いつつも、メリーナとキスをする。
真っ白になって映画が終了する。
【今発売中のDVDは、ここまで。以前の日本語吹き替えVHSビデオ版には、日本語版スタッフの手で「すべては夢(装置による記憶)だった」というカットが付け加えられたていた。ピアズ・アンソニイによるノベライゼーションではキスの前に「リコール社が提供した夢である」ことを明示するセリフがある。】しかし、これは破棄された設定ではなく、今も生き続けているものである。画面が真っ白になって映画が終了するのも、夢であったという暗示かもしれない。いずれにせよ、夢なのか現実なのか、映画では明確な答えを出さずに、観客側の想像を膨らまそうというのが、原作者P・K・ディックお得意の作風であり映画スタッフのねらいでもある。
[編集] 日本語吹替
- 1992年4月5日(日)テレビ朝日「日曜洋画劇場」
[編集] 関連項目
- トータル・リコール・ザ・シリーズ Total Recall 2070
- 火星
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