CD-DA
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CD-DA(Compact Disc Digital Audio)は、コンパクトディスクに音楽等の音声をおさめる規格。
一般的な音楽CDがこれにあたり、世の中で普通に“CD”といえば、殆どの場合、この項目で説明するCD-DAを指す。
1980年にフィリップスとソニーによって規格化されたものである。規格書の表紙の色が赤だったことから、「レッドブック」と呼ばれる。
それまでのレコードでは一定回転(角速度一定)により外周から内周に向けて記録信号を読み出していたのに対し、CD-DAでは逆に内周から外周に向け回転速度は落ちて行き、線速度一定で読み出される。線速度は規格により1.2m/s~1.4m/sと定められている。
最大記録時間は74分(規格上は97分まで可能)で、最大99トラック(曲)、1トラックには最大99インデックス(位置ポイント)を記録することができる。
CCCDなどを除く一般の音楽用CDがこれにあたり、「Compact Disc」ロゴが付いている。
また、パソコン・PS・セガサターン用ソフトの媒体であるCD-ROMでも、ゲームによってはBGMをCD-DAで収録しているのもある(尚、PS2用CD-ROMにおいて、BGMをCD-DAで収録してあるゲームソフトの存在は確認されていない)。
パソコンなどを使用し、CD-RやCD-RWなどのメディアにオーディオCDとして書き込むことで一般のCDプレイヤーで再生できるディスクが作成できるが、メーカー各社では、完全な互換性は保証していない。(記録状態や機器とメディアの相性によっては、再生できない場合がある)
[編集] リッピング
現在発売されているCDROMドライブ(CD-R/CD-RWなど書き込み可能なドライブを含む。DVDドライブでは出来ない製品がある)は、いくつかの規格によってCD-DAを読み出す事ができる。CD-DAを読み出し、デジタルデータとして保存する事をリッピング(Ripping)と呼ぶ。かつてリッピングは著作権法的に微妙な問題を提起し、著作権保護を実施して著作権が保護されている事を明示しているものはその解除手段を供するものは違法とする(逆を言えば何も対策していないCD-DAに対する読み出し機能の存在は違法ではない)という判例を得るまでリッピングツールはアングラ的な存在であった。また標準化されたアクセス手段が存在しなかった為、ドライブによって出来たり出来なかったり、あるいは出来ても低品質なデータしか得られない場合があるなど、一般ユーザー向けではなかった。
現在、CD-DA読み出しに関する規格は、SCSI規格で定義され、それに基づいてATAPI規格に反映された。多くの携帯オーディオ機器付属のソフトウエアもリッピング機能を標準で備え、また、AppleのiTunesや、MicrosoftのWindows Media Playerも標準化された規格に対応した(Windows自身もアナログオーディオをCD-DA読み出しに置き換えるオプションを備えた)。
なおCD-ROMとは異なり、CD-DAではセクタに対するアドレス情報が存在しない。ある瞬間ピックアップの下を通過しているセクタが物理的にどこに存在しているかを判断する方法は一つしかなく、トラックから何個目のセクタか数える事だけである。これは通常のオーディオ用プレーヤーでは問題にならない。トラック位置で指定された場所から、連続してセクタを再生していけば良いのでセクタには物理的な位置を示す必要が無いからである。
しかし、リッピングではこのアドレス情報が存在しない場合が問題を起こす事がある。例えば54倍速のドライブで連続して読み込もうとしたが、コンピューター側が読み込みに追従できず、一端データ取り込みを中断してシークコマンドを発行しても、その場合に読み取れるセクタが正確な位置である保証が無い為である(もっとも近いトラックから読み直すか、ドライブ自身が読み込みを中断してもセクタ位置を追従し続ける機能が必要である)。このような状態になるとセクタが不足したり重複したりする(なお、セクタが1~2個おかしくなっても聴感上0.1秒前後の現象である為、その不具合に気づかない場合がある)。この現象の対策としてCD-DA読み出し時には回転数を落とす措置がとられる事がある。また海賊版防止の観点から、民生機のCD-DA変換機能には同じCDを実時間を超えて繰り返しリッピングできない様に保護された製品が多い(パソコン向けの機器にはこれらの保護はなされていない)。