フィリピンの鉄道
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フィリピンの鉄道(ふぃりぴんのてつどう)では、フィリピンにおける鉄道について記す。
[編集] 概要
フィリピンの鉄道は、19世紀終わりごろに英国資本によって首都マニラ近郊の路線が開業したのが始まりとされ、以後ルソン島ではマニラを中心に北はサンフェルナンドまで、南はレガスピまでの路線ができ、また支線もできたので約900kmの路線を有するまでになった。軌間は日本の在来線と同じ1067mmの狭軌が使われた。他にもセブ島・パナイ島に路線をもち、砂糖黍輸送のための軽便鉄道なども建設された。
しかし、太平洋戦争やモータリーゼーションの発達によって鉄道は衰退、パナイ島の鉄道が1983年に廃止されたことで中長距離の旅客輸送を行う鉄道はルソン島にある国鉄線のみとなり、それもマニラ以北は廃止されて、2005年現在旅客列車はマニラ~レガスピ間446kmに直通列車「プレミアエクスプレス」(Premier Express)が1往復走るほかは、マニラ近郊の通勤列車が存在するのみとなっている。
だが、その一方で首都のマニラでは都市鉄道が整備されるようになり、1984年に最初の路線が開業した後、現在LRT・MRTと称される高架鉄道が3路線運行しており、現在も路線の延長工事が行われている。
また現在、「ノースレール」(North-rail)と称される、マニラとクラーク経済特別区を結ぶ計画があり、前記した廃止されたマニラ以北の路線を再利用する方向で検討されている。
[編集] 運行概要
フィリピン国鉄線においては、前記したように長距離列車はマニラ~レガスピ間に長距離列車が1往復存在する(所要12~13時間、実際には数時間単位の遅延あり)他は、マニラ近郊のアラバンまでの列車が10数本運行される程度となっている。設備が老朽化しており、事故も多発しているという。客車は、日本で廃車になって譲渡された12系・14系などが使われているが、いずれも損傷がひどいという。またマニラ近郊では線路敷地内にスラムが乱立していて、列車に対する投石もあるといわれる。
マニラの都市鉄道では、現在LRT(Light Rail Transit・軽量軌道交通)が2路線、MRT(Mass Rail Transit・首都圏電車)が1路線の3路線が運行している。いずれも設備としては近代的なもので、治安もマニラでは比較的良いという。こちらでは軌間は1435mmの標準軌が採用されており、また日本で製造された新車が使われている。乗車時には簡単なセキュリティ・チェックを受ける。女性専用車もある。