フォルクスワーゲン・パサート
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パサート(Passat)はドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンの中型サルーンである。2007年時点での現行モデルは6代目。車名の由来は貿易風のドイツ語から。なお、VWの車名は、風の名前から取ることが多い。(ゴルフ、ジェッタ、ヴェント、ボーラ、シロッコetc)
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[編集] 概要
1960年代後半、K70(ロータリーエンジンを搭載したNSUのRo80のレシプロエンジン版)などあったものの商業的に成功していたとは言えずフォルクスワーゲンの主力は依然ビートルであった。この状態から脱却する為に様々な方策が練られた結果生まれたのがパサートである。1973年ジウジアーロがデザインしたとされる初代パサートは、アウディ80をベースとする姉妹車であり、アウディ80がノッチバックだったのに対し、パサートはファストバック風のハッチバックを採用し、より若々しいキャラクターづけがされていた。2世代目も同じくアウディ80をベースとするが新たにノッチバックのサンタナがデビューし、貿易摩擦解消の意味も兼ねて、日本では日産自動車がノックダウン生産していた。3世代目では、アウディとの姉妹関係は解消され一般的な横置きエンジン・前輪駆動(4WDのシンクロも存在する)の方式に改められ、主に居住性が著しく向上している。アウディA4とプラットフォームを共用する5代目ではW型エンジン搭載車が登場し、堅実なファミリーサルーンからフォルクスワーゲンのフラッグシップとしての格付けにシフトする。現行6代目モデルでは再び横置きエンジンとなりゴルフとの姉妹関係を築いている。
[編集] 変遷
以下はいずれも本国での発表年で、エンジンは日本国内で販売された車種に搭載されたものを記載する。
[編集] 初代パサート 1973年
アウディ80(初代)をベースとしていたので縦置きエンジンで前輪を駆動する。フロントフェンダーやドアパネルなども同じ物が使用され、コストダウンに徹したのが伺える。当初のラインナップは3ドアハッチバックだけであったが、5ドアハッチバック、ヴァリアント(ワゴン)の後に追加される。ゴルフ同様、経済性の高いディーゼルモデルも追加され人気を博した。1977年、マイナーチェンジが施され、ヘッドライトが丸型2灯から丸型4灯式に変更された。翌78年のマイナーチェンジではウレタンバンパーが採用され、フロントウインカーがバンパーからヘッドライト横に移された。日本へは全年式に渡ってヤナセが輸入を行っていた。
[編集] エンジン
[編集] 2代目パサート 1980年
初代と同じくアウディ80(2代目)をベースとしている。相変わらず縦置きエンジンであるが、1984年には4WDであるシンクロが追加されている。ボディ形式は3ドアが落とされ、5ドアハッチバックとヴァリアントがラインナップされていたが、1981年にはノッチバックのサンタナがデビューしている。ゴルフが発売されて以降、ヤナセでのフォルクスワーゲン車の販売はゴルフが主力となっており、この代は正規輸入されていない(ヴァリアントのシンクロモデルが少数ながら並行輸入されている)。しかし、1984年からサンタナが日産自動車の座間工場でノックダウン生産されるようになり、ゴルフと同じ価格帯で購入できることからそこそこの人気があった。
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- 正規輸入モデルが存在しないので、詳しくはサンタナの項を参照されたい。
[編集] 3代目パサート 1988年
一般的な横置きエンジンへ改められ、アウディとの姉妹関係は解消された。グリルレスのフロントマスクが特徴的で、サイドミラーの付け根部分のデザインまで空力に配慮している。ボディはハッチバックがラインナップから外れ、セダンもサンタナからパサートの呼称に統一、ヴァリアントとの2本立てとなる。また、全幅が1700mmを超えた為に日本の法規では3ナンバーとなる。ヤナセが輸入していたモデルのエンジンは当初2リッターDOHCモデルだけであったが、モデル末期に2.8リッターのVR6が追加されている。サンタナ時代の名残であろうか当初は日産サニー販売会社でも併売されていた。途中からヤナセとフォルクスワーゲンとの提携が決裂し、ファーレン及びデュオ店での販売となる。
[編集] エンジン
[編集] 4代目パサート 1993年
メカニズム面においては先代のキャリーオーバーであり、主に外観のリデザインを施した3代目のビッグ・マイナーチェンジ版。グリルレスのフロントは個性的であったが、やはり万人に受け入れてもらう事は出来ずに一般的なフロントグリルを持つものへと変更されている。日本でのラインナップはヴァリアントを主力に控えVR6とGLの2種、セダンがVR6のみと従来よりも整理された。
[編集] エンジン
[編集] 5代目パサート 1997年
合理化政策の末またもアウディA4との姉妹関係が復活し、エンジンは再び縦置きとなった。当初のラインナップは5バルブヘッド・1.8リッターのターボと自然吸気(NA)の2種であったが、V6シンクロやV5など徐々にBMW・5シリーズに代表されるようなプレミアムサルーンを仮想敵としていった。後期型ではW8・4モーションが追加され、外観もクロームパーツが多用されるなどラグジャリーカーへと転進した。
[編集] エンジン
- 1.8リッター直4DOHC、125馬力(1.8)
- 1.8リッター直4DOHCターボ、150馬力(1.8T)
- 2.3リッターV5SOHC、170馬力(V5)
- 2.8リッターV6DOHC、193馬力(V6、V6シンクロ、V6・4モーション)
- 4.0リッターW8SOHC、275馬力(W8・4モーション)
[編集] 6代目パサート 2005年
再び横置きエンジンと改められW8エンジン車は姿を消したが、ボディは更に大型化されフォルクスワーゲンのフラッグシップとしての名に恥じない風格を醸し出している。パワーユニットはゴルフと共用し、正規輸入車では直列4気筒及びV型6気筒がラインナップされている。