V型6気筒
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V型6気筒(Vがた6きとう)はピストン式内燃機関(レシプロエンジン)の形式の1つで、クランクシャフトを中心にV字型に6本のシリンダーを配置した形式をいう。直列4気筒に次いで広く自動車用エンジンに用いられている。
6気筒以上のシリンダーを持つ「多気筒エンジン」の場合、直列または並列にシリンダーを並べると、どうしてもエンジン単体の全長が長くなり、車体への搭載方法や重量配分などに制約を受けてしまう場合が多かった。その為、幅は広くなってしまうものの、V型化して全長を約半分につめ、車体へ搭載する際の自由度を増したのがこの形式である。
現在では中~大型の高級乗用車やスポーツカーなどに、縦置き・横置き(前輪駆動などの場合)を問わずに広く採用されている。また、トヨタのクラウンや日産のスカイラインなどのように、直列6気筒を採用し続けてきた車種がモデルチェンジを機にV型に切り替える例などが出てきている。市販車に搭載された最小のV型6気筒エンジンは、三菱・ランサーの1600cc(6A10)であるが、2006年12月現在新車で購入可能なものでは、日産・ティアナの2300cc(VQ23DE)である。また、手ごろな価格で中古購入が可能なV型6気筒搭載車にはギャランVR-4(1996~06)の2498ccなどがある。
[編集] 歴史
自動車用エンジンとして採用されたのは他の形式のエンジンと比較して比較的新しく、1950年のランチア・アウレリアが最初であるとされる。バンク角は60°であった。
V型6気筒エンジンの採用が広まったのはオイルショック後のアメリカ車のダウンサイジングにともなってであった。それらはV型8気筒(以下V8)エンジンを元に設計されており、バンク角は90°であった。爆発(燃焼)間隔もV8のそれをひきずっており不等間隔であった。
プジョー、ルノー、ボルボ共同開発のPRVエンジンもV8を設計変更したもの(V8はお蔵入りとなった)で90°バンクのV6で、燃焼間隔は不等であったが、途中で位相クランクピンに改良され、等間隔に改められた。
[編集] V6エンジンのバンク角
もっとも振動バランスが良いのは60°である。そのために60°は広く用いられている。一方、90°は車載時の全高が低く抑えられることや、V8エンジンとの生産設備共用化のメリットがあるために用いられることが多い。また、それ以外のバンク角も用いられることがある。60°より狭いバンク角はエンジンのコンパクト化のために用いられる。
- 10.6°:フォルクスワーゲン (ゴルフなど)
- 54°:GMグループ (オペルなど)
- 55°:スズキの船外機
- 60°:(GMグループ ポンティアック・フィエロなど)
- 65°:フェラーリ・ディーノV6
- 90°:(ホンダ NSXなど)
- 120°:フェラーリ・ディーノ156
[編集] 関連項目
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