プロレススーパースター列伝
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『プロレススーパースター列伝』(-れつでん)は、梶原一騎原作、原田久仁信画の、プロレスのスター選手達を紹介したスポーツ漫画。「週刊少年サンデー」で連載されていたが、梶原の逮捕で連載が打ち切りになった。
列伝と銘打ち、当時の読者(少年)のほとんどは事実に基づくものと受け取っていたが、内容は梶原一流のファンタジーに満ちたものである。例えば、タイガーマスクにリング上で制裁されるエル・ソラールの件や、アックス・ボンバー誕生秘話等は事実と大きく異なる。
また、画も酷いものが多く、ドリル・ア・ホール・パイル・ドライバーを仕掛けられている相手の腕が、仕掛けているレスラーの足より向こう側になっている点などが当時から指摘されていた。
コミックス版は小学館から発売されたが、ワイド版・文庫版は講談社からの発売となった。なお、カール・ゴッチ篇は文庫版ではじめて収録された。カールゴッチ編の後にジャンボ鶴田編が予定されていたが、梶原一騎の逮捕によりお蔵入りとなった。何度か復刊されているが、後期の刊では連載当時、劇中出てくる「少年サンデー」という言葉や、差別用語などはかなり差し替えられていて、特にブッチャー関連のフレーズは相当数変えられている。
またハンセンのサンマルチノ首折り事件も、両者の事件以前、以後の良好な関係は一切描写されておらず、ハンセンを自分の出世の為なら人の首を折る事も躊躇しないエゴイストに変えてしまった。ホーガン篇では、ホーガンとアンドレが互いに激しい嫉妬心を抱く描写がされていたが、新人時代のホーガンは新幹線でアンドレのパシリ(缶ビール)をしていたらしく、ブレイク後も両者の関係は決して悪くはなかった。
後年、内容が余りにも史実と異なり荒唐無稽な面も多いことが明らかになり、現在では笑いのネタになることが多い。とはいえ無垢な少年層にプロレスラーの強さや偉大さを印象づけていた点に関しては、罪のない嘘、いい意味でのファンタジーとして評価する向きもある。
登場するプロレスラー達のキャラクターは創作部分があるにせよ、劇中ではかなり一貫したものになっており、登場レスラーは別エピソードにまたがって登場したときも「列伝」世界を破綻させないようになっている。たとえば先に書かれたハンセン編とブロディ編では解釈が大きく異なっているエピソードがあり、ハンセン編ではブロディとリングの上で初対面で初対決だったが、ブロディ編では学生時代からの親友であるということが描かれ、初めての対決は親友である事実が有名すぎるために八百長を疑われないように、プロモーターであるフリッツ・フォン・エリックのはからいで地方遠征先でお互い初対面というギミックの上での対決、というような演出がなされており、矛盾をかならずしも覆してはないものの、納得のいく形に着地させている。その他レスラーも、エピソードごとに性格が変わったりするようなことはなく、また、ブッチャーの空手の師匠であるガマ・オテナという人物の一番弟子のウォン・チュン・キムがカブキの師匠であったりというレスラー以外の背景にも一貫性がある。これらのこだわりが作品世界に読者がひきこまれ、プロレスファンならずともいまだに根強い人気を保っている原因のひとつといえる。
時折、「アントニオ猪木・談」というエピソードが、さも猪木の語っているように登場するが、8割方は創作だと言われている。