ベントレー
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ベントレー(Bentley)は、イギリスの高級車・スポーツカーメーカー。名称は創業者のウォルター・オーウェン・ベントレー(Walter Owen Bentley, 名前の頭文字をとったW.O.という愛称で親しまれており、本稿でも以降W.O.と表記する)にちなむ。
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[編集] W.O.ベントレー
1888年にロンドンに生まれたW.O.は、学校卒業後、グレート・ノーザン鉄道でエンジニアとしての修行を重ねた後、1910年にナショナル・モーター・キャブ・カンパニーに就職した。
ナショナル・モーター・キャブ・カンパニーで働く傍ら、モーターサイクルレースに興味を抱くようになり、1912年、フランス製乗用車の輸入業を営むラコック&フェルニーに転職、ここでW.O.はDFPという乗用車にチューニングを施したレーシング・カーの開発に従事、自身でワークス・ドライバーも兼ねていたという。
[編集] モータースポーツとの関わり
W.O.がラコック&フェルニーに転職した年に行なわれた2リッター車のレースでは最高時速107kmを記録していた。ところがその翌年、W.O.によってチューニングされたDFPは最高時速131kmという新記録を打ち立てる。その秘密はW.O.が新開発したピストンにあり、アルミと銅を混ぜるという当時としては斬新な新技術を採用していた。第一次世界大戦勃発とともに、イギリス海軍航空隊の大尉となったW.O.は自身が開発したアルミ製ピストンを航空エンジンに応用し、彼の設計は航空エンジン中、最高のものという評価を受けるようになり、大戦中幅広く活躍した。大戦終結後、W.O.は自動車設計の世界に復帰、自動車メーカーの立ち上げを志すようになる。
[編集] ベントレーモーターズ設立
1919年8月、W.O.はベントレー・モーターズをロンドンのクリックルウッドに設立。その後、1920年代にル・マン24時間レースで5回の優勝を飾るなどモータースポーツで名を上げ、高性能スポーツカーメーカーとして世界の富裕層に好んで使用された。
[編集] ロールスロイス傘下
1920年代後半に世界を襲った大恐慌の影響を受けベントレーモーターズは経営不振に陥りネイピアと合併交渉が進んでいたが、ライバルであるネイピアとベントレーの合併を恐れたロールス・ロイスが偽名を使い買収、1931年に吸収合併された。その後W.Oは1935年にラゴンダに移籍しルマンで再び勝利したが、アストンマーチンのディビッド・ブラウンがW.O.を欲したためにラゴンダごと買収され、W.OはDBシリーズの直列6気筒エンジンを設計した。1971年に死去。
W.O.がいなくなった後のベントレーは、ロールス・ロイスのモデルとのバッジエンジニング化が進み、第二次世界大戦後にかけてロールス・ロイスのオーナーカー版としてベントレーは姉妹車化される。しかし、オーナーカー用のスポーティーモデルとしてその性格はロールス・ロイスと完全に分けられ、特に1980年代以降はターボエンジンを採用したターボRなど、スポーティーな方向に振った個性的モデルを出し好評を博した。
[編集] モデル
1980年代以前
- 3.5
- 4.25
- 4.5
- Rタイプ
- S1
- S2
- S3
- シルバークラウド
1980年代以降
- ミュルサンヌ
- ブルックランズ
- ターボR
- エイト
- アズール(コンチネンタルTベース)
レースカー
- speed8 racecar
[編集] フォルクスワーゲングループ
1998年にドイツのフォルクスワーゲングループに買収され、2003年にはBMW傘下になったロールス・ロイスと完全に分離された(買収までの経緯は「ロールス・ロイス」の項を参照のこと)。
この年ベントレーは、フォルクスワーゲングループの高級車メーカーのアウディの開発による、EXP スピード8で、2年前にカムバックしたル・マン24時間レースにおいて、21世紀になってから初めての総合優勝を成し遂げている。なお、スピード8のルーツは、1999年のアウディR8ファミリーにおける、クローズドボディのR8Cとなる。
以前は日本円で3000万円以上の超高額車種ばかりであったが、2004年に登場した2ドアクーペの「コンチネンタルGT」は、アウディA8との大幅なパーツ共有化により、ベントレーとしては初めて車両本体価格 (税抜) が2000万円を切った。
[編集] 王室専用車
2002年に、イギリス女王エリザベス2世即位50周年祝賀記念としてベントレー・ステートリムジンがイギリス自動車業界協会より進呈された。エリザベス2世女王の公務専用車として使用されている。ベントレーがイギリス王室のメンバーの私用車として使用されたことはあったが、元首の公務専用車として使用されたのは史上初めてのことである。
[編集] モデル
現在5車種を展開しており、いずれも現在日本においては2000万円を超える価格が設定されている。なお、近日中に2000万円を大幅に切る価格のモデルも発売されると噂されている。
- コンチネンタルGT/GTC
- コンチネンタルフライングスパー
- アルナージR/T/RL
- コンチネンタルT/Tマリナー
- アズール(日本へのデリバリーは開始されていない)
[編集] ベントレー・マリナー
ベントレー・マリナーはベントレー傘下のベントレー車をカスタマイズするための高級コーチビルダー。第二次世界大戦前からヨーロッパ有数のコーチビルダーとして、ベントレーをはじめとするイギリスの高級車を扱っていたマリナー(Mulliner)社及びパーク・ワード(Park Ward)社は1962年に合併し、ロールス・ロイス社に買収された。現在はベントレーの特別注文部門のベントレー・マリナーとして、顧客の好み通りにベントレーをカスタマイズさせることが可能となっている。
1980年代以降のベントレー2ドアモデルは、ほぼ全てがベントレー・マリナー製を標準としており、そのために4ドアモデルと比べて新車価格が1000万円ほど高い設定となっている。
=有名なオーナー=
美川憲一、貞方邦介、佐々木一浩、渡伸一郎、ビートたけし、細木数子
[編集] 日本における輸入販売
- 総輸入元:
- 2001年までコーンズ & カンパニーリミテッド
- 2002年から2003年までロールスロイス&ベントレーモーターカーズジャパン (フォルクスワーゲン グループ ジャパンの一事業部)
- 2003年以降ベントレーモーターズジャパン (フォルクスワーゲン グループ ジャパンの一事業部)
- 販売店:2002年以降コーンズ & カンパニーリミテッド
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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