ホスゲン
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ホスゲン | |
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IUPAC名 | ホスゲン(許容慣用名) 二塩化カルボニル、カルボニルジクロリド(系統名) |
別名 | 炭酸ジクロリド |
分子式 | CCl2O |
分子量 | 98.92 g/mol |
CAS登録番号 | [75-44-5] |
形状 | 無色気体 |
相対蒸気密度 | 3.4(空気 = 1) |
融点 | −118 °C |
沸点 | 8 °C |
出典 | ICSC |
ホスゲン (phosgene) とは、炭素と酸素と塩素の化合物。二塩化カルボニルなどとも呼ばれる。分子式は COCl2 で、ホルムアルデヒドの水素原子を塩素原子で置き換えた構造を持つ。毒性の高い気体である。
[編集] 用途
化学工業分野で重要な化合物であり、一酸化炭素と塩素から多孔質の炭素を触媒として合成される。ポリカーボネート、ポリウレタンなどの合成樹脂の原料となる。
有機合成分野でもホスゲンはアルコールと反応して炭酸エステルを、アミンと反応して尿素あるいはイソシアネートを、カルボン酸と反応して酸塩化物を与えるなど用途が広い。ただし猛毒の気体であるホスゲンは実験室レベルでは使いにくく、近年では炭酸ビス(トリクロロメチル)が代用試薬として用いられるようになった(通称トリホスゲン)。この試薬は安定な固体だが、トリエチルアミンや活性炭の作用で分解し、in situ で3当量のホスゲンを発生する。ホスゲンに比べて格段にハンドリングが容易なため、近年使用例が増えている。
[編集] 性質
窒息性毒ガスとして用いられた。20 ℃ では気体である。沸点は 8 ℃ で、純粋なホスゲンは独特の青草臭であるが、毒ガスに使われるような純度の低いものは、希薄では木材や藁の腐敗臭がするといわれている。
- COCl2 + H2O → CO2 + 2 HCl
ホスゲンを人が吸入するとその性質により体内の水分と反応し、肺の中で塩酸が生成され、呼吸困難に陥り死に至る。この性質を利用して、第一次世界大戦では化学兵器として使用された。
日本国では化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律の第二種指定物質・毒性物質であり、同法の規制をうける(化学兵器禁止条約の項に詳しい)。
1994年9月20日、オウム真理教の信者4人がジャーナリスト江川紹子の住むアパートの郵便受けからホスゲンを撒き、襲撃するという事件があった。