ヤドリギ
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?ヤドリギ | |||||||||||||||||||||
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Viscum album L. |
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Viscum album L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヤドリギ オウシュウヤドリギ |
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英名 | |||||||||||||||||||||
mistletoe European mistletoe common mistletoe |
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亜種 | |||||||||||||||||||||
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ヤドリギ(宿木、学名 Viscum album)はヤドリギ類 (mistletoe) の一種であるが、元はそれらを指す一般名称であっため、他の種と区別するためにオウシュウヤドリギ (European mistletoe) あるいは common mistletoe と呼ばれることもある。ヨーロッパおよび西部・南部アジア原産である。
半寄生の灌木で、他の樹木の枝の上に生育する。30から100センチメートルほどの長さの叉状に分枝した枝を持つ。黄色みを帯びた緑色の葉は1組ずつ対をなし、革のような質感で、長さ2–8センチメートル、幅0.8–2.5センチメートルほどの大きさのものが全体にわたってついている。花はあまり目立たない黄緑色で、直径2–3センチメートル程度である。果実は白または黄色の液果であり、数個の種子が非常に粘着質なにかわ状の繊維に包まれている。
[編集] 亜種
亜種は一般的に4種類まであるとされており、しばしばさらに2亜種が加えられる。それらは果実の色、葉の形と大きさ、そして最も特徴的には宿主となる木が異なる。
- Viscum album subsp. abietis (Wiesb.) Abromeit — 中央ヨーロッパに分布する。果実は白、葉の大きさ8センチメートル。モミに寄生する。
- セイヨウヤドリギ Viscum album subsp. album — ヨーロッパ、南西アジアからネパールにかけて分布。果実は白、葉は3–5センチメートル。リンゴ属、ポプラ、シナノキ属、まれにコナラ属の樹木に寄生。
- Viscum album subsp. austriacum (Wiesb.) Vollmann — 中央ヨーロッパに分布。果実は黄色、葉は2–4センチメートル。カラマツ属、マツ、トウヒに寄生する。
- Viscum album subsp. meridianum (Danser) D.G.Long — 東南アジアに分布。果実は黄色。葉は3–5センチメートル。カエデ、クマシデ属、クルミ、サクラ属、ナナカマド属に寄生。
- Viscum album subsp. creticum — ベーリング (Böhling) らが近年クレタ島西部から報告した (Böhling et al. 2002)。果実は白、葉は短い。カラブリアマツ (Pinus brutia) に寄生。
- Viscum album subsp. coloratum Komar — 日本でヤドリギといった場合、主にこれを指す。『中国植物志』では別種 Viscum coloratum (Komar) Nakai として扱われる。
[編集] 神話と象徴
ヤドリギは常に興味をひき続ける植物であり、多くの神話や伝説に登場する。いくつかの国々ではクリスマスの催しで用いられる。漫画アステリックスではオークからとったヤドリギは特に質の良いものとして扱われている。
日本ではこのような伝承はなく、特に注目されることはない。ただ、ケヤキなどに寄生しているものは、冬季の落葉時にひどくよく目立つので、冬季のちょっと変わった景色として認識されている。都市周辺や屋敷林などによく見かける風景である。
[編集] 参考文献
- Böhling, N.; Greuter, W.; Raus, T.; Snogerup, B.; Snogerup, S.; Zuber, D. (2003). "Notes on the Cretan mistletoe, Viscum album subsp. creticum subsp. nova (Loranthaceae/Viscaceae)". Israel J. Pl. Sci. 50 (Suppl.): 77–84.