ヤプール人
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ヤプール人(ヤプールじん)は特撮テレビ番組『ウルトラマンA』、『ウルトラマンタロウ』、『ウルトラマンメビウス』に登場した架空の異次元人の名。単にヤプールと呼ばれる事も多い。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 能力・特徴
『ウルトラマンA』で初登場。ウルトラシリーズとしては初の「番組を通しての悪役」であり、テーマ曲の歌詞にまで登場する。異次元に生息している知的生命体で、超獣を使って地球侵略を目論んだ。地球の生物と宇宙怪獣を合成・改造する「超獣製造機」によって超獣を製造し、地球に送り込んでいた。また、配下にはギロン人やマザロン人など、多くの宇宙人や異次元人を従えていた。視覚的には、赤紫色のゆがんだ時空の中にうごめく、とんがり帽子を被った顔のない人間体。リーダー格は腹部や帽子に装飾を施しており、その形状には個体差がある。複数の人格が確認されているが、意識は共有されているらしい。その性格及び手段は極めて卑劣かつ陰湿。人間の憎悪や猜疑心を利用して狡猾な作戦を立て(稀に力押しで攻めてくる時もある)、相手を精神的に追い詰めるまさに悪魔のような存在。光の戦士であるウルトラマンに対して、自らを暗黒から生まれた闇の化身と豪語している。負の心をマイナスエネルギーに変えてエネルギー源としているため、その存在を完全に消し去る事は不可能。『ウルトラマンA』のシリーズ前半で一度は滅ぼされた筈だったが、その後も超獣は登場し続け(中にはヤプールと関係なく出現したような者もいたが)、自らもウルトラ兄弟に対する怨念や復讐心からか、『A』の終盤や後の作品(『ウルトラマンタロウ』、『ウルトラマンメビウス』)などで度々復活し、その都度ウルトラ兄弟に戦いを挑んできた。幾度倒しても復活を遂げることから、ファンの間ではとにかく「しつこい」ことで有名。ちなみに、名前の由来は小説家畜人ヤプーから来ている。
[編集] ヤプール人の変身
[編集] 異次元超人 巨大ヤプール
『ウルトラマンA』第23話「逆転! ゾフィ只今参上」に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:8万2千トン
過去に地球に送った超獣がすべてAや TAC に倒されたため、自らの手で地球を侵略するためにヤプール人が合体・巨大化した姿。
老人(正体はマザロン人)を操って子供たちを異次元にさらい、北斗星司と南夕子を異次元で迷わせてAに変身させないようにしたが、ゾフィーによって失敗。異次元空間に突入してきたAに真っ向から勝負を挑む。鎌状の左手から多彩な光線技を発射。さらには火炎を発生させたり、空間を捻じ曲げるなど、様々な能力でAを苦しめるが、最期は光線の撃ち合いの末メタリウム光線を喰らい敗北。「ヤプール死すとも超獣死なず、怨念となって必ず復讐せん」と言い残して粉々に砕け散った。この後もヤプールの残党が登場していることから、全てのヤプール人が合体したわけではないと思われる。
- 声:西川幾雄
[編集] 異次元超人 改造巨大ヤプール
『ウルトラマンタロウ』第29話「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」、第30話「逆襲! 怪獣軍団」に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:8万2千トン
Aに倒された巨大ヤプールが復活した姿であるが、誰が改造したかは不明で、ウルトラ戦士に対する怨念で復活したとも言われている。改造ベムスター、改造ベロクロン二世、改造サボテンダーを従えて現われた。右手には杖を持っており、ここから火花を出すことによって部下の怪獣・超獣を送り込む。まず3匹中、最も強力である改造ベムスターを尖兵として地球に送り込んだ。改造ベムスターの威力は凄まじく存分の破壊工作及び現われたウルトラマンタロウを倒した事に満足し改造ベムスターを撤収。再度、改造ベムスターを召喚したが海野青年や ZAT の活躍により危機に追い込まれ、慌てて改造サボテンダーを参戦させるも倒したと思いこんだタロウの再登場により形勢は元に戻らず、最後の手段として改造ベロクロン二世を投入するもZATの攻撃により分断され、援護にはならなかった。3体が全て敗れ去った後に宇宙船で逃亡を図るが、タロウのストリウム光線で撃墜された。ストーリーを通じて宇宙船からの指示・命令に徹しており、自ら戦闘することはなかった。
- 着ぐるみは『A』に登場したものと同一だが、材質の劣化により、形状(特に顔)が著しく崩れている(おそらく、A撮影後に硬質の頭部は割れると危険なのでアトラク用にゴム製の物が新造されたと思われる)。
- 当時の児童誌の裏設定では、ヤプールは怪獣軍団の幹部の一人であり、同時期に登場した他の復活怪獣(メフィラス星人やエレキング)と共にタロウ抹殺の為に出撃したことが語られている。また、顔が以前より崩れていることに関しては、『A』での戦いでやられた顔を整形手術で直そうとしたが失敗して醜い顔になってしまった、という理由がつけられている。以前と色・形状が違う頭頂部については「金属を埋め込んだが、Aとの戦いで悪くなった頭はなおらなかった」というあんまりな説明がされている。なお、雑誌の記事では自信満々で出撃したヤプールだったが、後に敗北を見た怪獣軍団は「超獣などという古くさい物を使うのが間違っていた」と反省会的なコメントをしていた。
- 声:西川幾雄
[編集] ウルトラマンメビウスに登場した巨大ヤプール
『ウルトラマンメビウス』第24話「復活のヤプール」、第42話「旧友の来訪」から第44話「エースの願い」、劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:8万2000トン
劇場版では巨大ヤプールの幽霊の姿で登場。自らの怨念の集合体である究極超獣Uキラーザウルスと共にメビウスやウルトラ兄弟を苦しめる。詳しくはこちらを参照
テレビ版では第24話で赤い雨を降らせて再び復活。(以前赤い雨はヤプールの残党、マザロン人の復活の前兆であった。)劇場版と同様に巨大ヤプールの幽霊の姿をとっており(巨大ヤプールはヤプール人の意識集合体ともいうべき姿であり、彼らの代表的な姿といえる)、一族を滅ぼされた深い恨みを晴らすべく狡猾な策と数々の超獣を駆使して GUYS やメビウスを倒そうとする。メビウスであるヒビノ・ミライをテレパシーで挑発し周りの信用を失わせようとするなど、その悪辣な手段、性格は健在。第26話で対ヤプール用メテオール「ディメンショナル・ディゾルバー」によって異次元のゲートを半永久に塞がれてしまった事により、その野望も潰えたかに見えた。
しかし第42話にて黒ずくめの男の姿となって再び暗躍を開始する(その姿は『ウルトラマンレオ』に登場したブラック指令を彷彿とさせる)。今度は完全な実体を得ており、どうやって封印を破ったかは詳しくは明言されていないが、本人曰く怨念を晴らすまでは何度でも蘇る、とのこと。謎の皇帝(=エンペラ星人)に仕える暗黒四天王の一人となっており、その地位は永らく空位であった「邪将」の座であるらしい(ヤプールは途中から加わったらしく、それまで四天王は三人体制が続いていたらしい)。メビウスを倒して皇帝に地球を献上した後は他の四天王を超獣に改造して自らの僕にしようと企んでいる。ミライを廃墟のような異次元空間に引きずり込み、同じく異次元に誘拐したヒルカワの高慢さを見せつける事でミライを失望させ、仲間にしようと企む。しかし、それを拒否されると巨大ヤプールの本性を現して巨大化、メビウスと直接対決となる。念動力や右手先端についた小型の鎌からの光線などかつてと同様の能力でメビウスを攻撃し、仲間の助けが無ければ何もできないと挑発して精神的にも追い討ちをかけるが、北斗星司(エース)の励ましを受けて奮起しバーニングブレイブとなったメビウスの猛反撃により追い詰められ、最後はメビュームバーストを受けて敗北、断末魔に皇帝と四天王の存在をメビウスに教え、「破滅の未来で待っている」と呪いの言葉を残し消滅した。
- 声:玄田哲章
- 演:清水紘治(黒ずくめの男)
- 人間体を演じる清水は、『ウルトラマンA』第4話でヤプールが利用した久里虫太郎も演じており、メビウス番組公式サイトの「WEBメビナビ」では、人間体は久里虫太郎の姿をモデルにしたに違いないと書かれている。
[編集] 女ヤプール
『ウルトラマンA』第48話「ベロクロンの復讐」に登場。
- 身長:164センチメートル
- 体重:48キログラム
Aに倒されたヤプール人の生き残りがAに復讐するため、北斗星司が虫歯の治療のために通う歯医者“Q歯科医院”の女に化けた姿である。北斗の歯にベロクロン二世の幻影を見せる装置をとりつけた。最後は切札であったベロクロン二世がAに敗れた後に正体がばれ、北斗のタックガンで倒された。正体といっても、白い能面を取ると極彩色で描かれた悪魔の形相が現れるというものであり、終始人間体のままであった。
- 演:高毬子(現・高月毬子)
[編集] サイモン星人
『ウルトラマンA』第52話「明日のエースは君だ!」に登場。
- 身長:199センチメートル
- 体長:80キログラム
ヤプール人の残党がAに復讐するため、サイモン星の宇宙人の子供に化けた姿である。「ヤプールから逃れるため」として地球に降り立ち、子供たちにいじめられていたところを TAC に保護される。地球人に友好的な優しい宇宙人を装い、自作自演によって自らがヤプールに狙われているように見せかけ、子供たちが自分を守るように仕向けると同時に、裏ではジャンボキングを操って街を破壊した。自らテレパシーを使って北斗星司にだけ正体を明かし挑発する。その最終目的は人間の子供から優しさを奪い、ウルトラマンAを地上から抹殺することである。最期は意を決した北斗によって射殺され、切り札であったジャンボキングもAに倒された。
- 敗れはしたものの、Aを光の国へ帰還せざるをえない状況にした(=Aを地球上から追放した)という点では、彼の目的は達成されたとも言える。
- 劇中でTAC隊員がサイモン星人の身の上を知っていた事から以前に別のサイモン星人が地球人と接触していた事があったと見られる。
- 声:西川幾雄
[編集] その他
上記の他にもヤプール人はイベントやゲームなど、様々な展開で巨悪として登場し、ウルトラ兄弟達を苦しめている。
- 漫画作品『ウルトラマン超闘士激伝』では大軍団を率いて侵略を開始。超闘士となったタロウと壮絶な死闘を展開する。エースがテレビシリーズで倒したヤプールは、この作品では最下層の兵士だったということになっている。詳しくはこちらを参照。
- 2004年での『ウルトラマンフェスティバル』のライブステージでは等身大ヤプールが不完全な姿で登場。ゴーデス細胞を使って復活をもくろむ。ヒッポリト星人やバキシムなどを配下にウルトラ戦士と対決。最終的にはゴーデス細胞と融合して超巨大なゴーデスの姿となるが、ウルトラ戦士達に敗れた。
- 2006年での『ウルトラマンフェスティバル』のライブステージでは巨大ヤプールが立体映像で登場。再び地球侵略を開始し始める。ベロクロンやバキシム、さらには強化改造でパワーアップさせたエースキラーなどを送り込んでウルトラ兄弟全滅を企んだ。
- 映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』と連動したゲームソフト『ウルトラマン Fighting Evolution 0』のオリジナルストーリーではウルトラ兄弟抹殺のためにテンペラー星人、ババルウ星人、バルタン星人、ヒッポリト星人などと協力して黒幕として活動。怪獣や宇宙人達を復活・強化させていたが、姿を現した際にウルトラ兄弟の光線(隠しストーリーではゾフィーの最大出力のM87光線)をくらい瀕死状態になった(この時は等身大の姿で登場)。この後、Uキラーザウルスを最後の切り札として誕生させ、映画のストーリーに繋がる。
- SFC用ゲームソフト『ヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス』では、アポロンの3人の側近の1人として登場。配下のエースキラーやべムスターによりダン(ウルトラセブン)を苦しめた。後に戦いから身を退いた「裏切り者」であるメフィラス星人を殺し、ダンに懐いていたバードンを奪った後にヘリオス要塞にも姿を現す。だが、メフィラス星人の死に激怒したセブンの猛攻によりやむなくバードンは倒され、ヤプールも3人の側近の中で唯一の死者となってしまった。
[編集] ヤプールの配下一覧
[編集] 『ウルトラマンA』
- ミサイル超獣 ベロクロン
- 古代超獣 カメレキング
- 一角超獣 バキシム
- 怪魚超獣 ガラン
- 地底エージェント ギロン人
- 大蟻超獣 アリブンタ
- 変身超獣 ブロッケン
- 蛾超獣 ドラゴリー
- 忍者超獣 ガマス
- 変身怪人 アンチラ星人
- 犀超獣 ザイゴン
- くの一超獣 ユニタング
- さぼてん超獣 サボテンダー
- 異次元超人 エースキラー
- 超人ロボット エースロボット
- 殺し屋超獣 バラバ
- 大蟹超獣 キングクラブ
- 牛神超獣 カウラ
- 大蛍超獣 ホタルンガ
- 大鳩超獣 ブラックピジョン
- 河童超獣 キングガッパー
- 異次元エージェント アンドロイド
- 大蝉超獣 ゼミストラー
- 天女超獣 アプラサール
- 銀星人 宇宙仮面
- 凶悪超獣 ブラックサタン
- 異次元人 マザロン人
- 地獄超獣 マザリュース
- ミサイル超獣 べロクロン二世
- 最強超獣 ジャンボキング
[編集] 『ウルトラマンタロウ』
[編集] 『ウルトラマンメビウス』
(ドラゴリーは『A』のものが復活、ベロクロン、バキシム、ルナチクスは別個体)
- 究極超獣 Uキラーザウルス(究極巨大超獣Uキラーザウルス・ネオ) (劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に登場)
- 一角超獣 バキシム
- 蛾超獣 ドラゴリー
- ミサイル超獣 ベロクロン
- 宇宙同化獣 ガディバ
- 異次元超人 メビウスキラー
- 満月超獣 ルナチクス