上履き
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上履き(うわばき)とは、土足禁止の場所で、履き替えるための履物。学校・事務所・体育館などは土足を禁じているため、専用の上履きを用いる。上靴(うわぐつ)、室内履きともいう。
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[編集] 上履きが使用される場所
[編集] 幼稚園・小学校など
一般的には専用の靴が売られていることが多い。下履(外履き)とは異なる上履き独特のメッシュの素材などのものもあるが、普通は白の布、またはビニール製で甲にゴムテープを通したもの(バレーシューズ)、甲の部分に半円形のエラスチックゴムが入ったもの(前ゴムシューズ)、前ゴム部分が三角形でつま先と横に色付きのゴムが付いているものなどが使われている。
学校によっては、上履きは足を締め付けるので履かせるべきでないと、上履きを用いず、裸足で生活するところ、もしくは素足に鼻緒付きの履物をはくことが健康によいとしてビーチサンダルやスリッパ(俗に便スリと言う)それに草履(畳表の学校向け健康ぞうり、布製の手作りのぞうり、竹皮ぞうり、わらぞうり)などを用いるところもある。これらをはだし教育と呼ぶ。このような学校では運動場での体育などのときも裸足で生活する例が多い。農村部などの学校の一部は伝統的に上履きの習慣がない、または上履きを嫌う児童がいるため、全員あるいは殆どの児童が裸足で生活している学校も多い。学校内では履物をはかないことで足が開放されることになる。
北海道や東北の一部、北陸の一部などの小学校や幼稚園は、外で履くような普通のスニーカーや運動靴などを「上靴」としている。東京都でも区によっては、教室では上履きを使用せず、体育館だけで専用の靴を用いる小学校がある。神戸市でも学校によっては上履きがなく、土足のところがある。
[編集] 中学校・高等学校など
基本的には小学校で使われている物と大差は無いが、ほとんどの学校で上履きが指定されているようだ。東京地方の学校では公立校では、バレーシューズと三角前ゴムタイプの上履きが多く、スリッパなどは少ない。また私立の女子高では前ゴムタイプが多く、白だけでなく青(コバルト色)の前ゴム運動靴を指定している学校も多い。これらの上履きは学校の購買部で指定とされるものを販売していたり、入学時期に業者が校内で販売する場合が多いが、一般の靴店では常備していなかったりで、すぐに追加購入のできない場合もある。また、中学や高校でも、学校によっては土足でよいところもあるが、裸足で過ごす学校はあまり聞かない。
[編集] 事務所、病院、工場など
清潔感を保つ場所、たとえばコンピュータの現場や、病院、給食センターなどでは砂や埃が、大敵であるのでほとんどの場合上履きが使用される。コンピュータルームではスリッパやサンダル、病院のナースはバレーシューズを用いることが多い。 また、工場などで機械や電気を操作する場合、安全靴とよばれる上履きが使用されることがあるが、これは感電や物の落下から足を守る目的で用いる。
[編集] 上履きの種類
- バレーシューズ
- スリッポンタイプの靴で、甲の部分に2センチほどの幅のゴムテープを通したものである。素材は布キャンバス地が多いが、最近ではビニール(PVC)製の物も多い。上履きとしては、最も多く使用されている。色は通常白であるが、クラス分けなどがしやすいようにつま先の部分にカラーゴムを使ったりしているものもある。また、爪先と足周りと底の部分がすべて同じ色で、空気を通しやすい通気性の上履きもある。これは主に足が蒸れやすい人たち専用として使用されている。
- 前ゴムシューズ
- 昔ながらのズック靴がこれに相当し、やはりスリッポンタイプ。バレーシューズがゴムテープを通しているのに対し、前ゴムシューズでは甲の部分に半円形のエラスチックゴムがはめ込んであるデザインが特徴である。1975年頃までは、小中学生が広く使っていて、上履きのみならず、下履きにも多くの需要があったため、白以外にもコバルト、赤、黄色、紺、緑など各種の色が製造されていた。現在では白、コバルトが中心だが、その他の色もわずかながら製造されている。素材はビニールが中心だが布製もある。最近ではハイテクスニーカーなどの登場で前ゴムシューズを、子どもたちが下履きとして履かなくなったようだが、足の健康面から見ても、非常に履き心地の良い前ゴムシューズは、成人の一部にも根強い人気があるのも事実であるし、若い女性がファッションとしてこの前ゴムシューズを使用する場合もあるようだ。また、同じ前ゴムシューズでも前ゴムのデザインを三角形にして、素材も通気性の良いメッシュになったタイプが登場し、このタイプも中学校や高校の上履きとして多く用いられるようになった。