中産階級
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中産階級(ちゅうさんかいきゅう)とは、古典的な労働者階級よりは資産があり、自ら資本家になるほどの資産はない階層。 通俗的にはサラリーマンやホワイトカラーと呼ばれる。また、その中で裕福な暮らしをしている人々をアッパーミドル階級と呼ぶ。
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[編集] 由来と現在の状況
19世紀の半ば、マルクスは資本主義が発達すればするほど貧富の差が拡大すると予言した。 しかし、19世紀末のドイツ社会民主党の論客・ベルンシュタインは、資本主義が発達すればするほど中産階級が台頭すると予言した。この時点で中産階級という階層が大きく注目されるようになったと考えて良い。
[編集] 世界的な中産階級の台頭
世界恐慌の後、ケインズ経済学に基づいた財政政策が立案されるようになり、恐慌を防止できるようになった。混合経済化が進展する中で完全雇用が志向されるようになり、労働者の賃金は安定的な成長を続けた。また、企業の旺盛な投資を支えるために、労働者の貯蓄が奨励され小口の資産形成が進展したことから、中産階級が台頭した。
[編集] 日本における「一億総中流社会」の出現
日本の戦後の保守政権は、経済成長とそれに伴う中産階級の育成を中心とする政策を取り、70~80年代には一億総中流と言われる状況を作った。しかし、バブルがはじけた今、一億総中流に実態があったのか、厳密な検討が迫られている。
[編集] 新旧の中産階級間における差異
社会学の立場では中産階級を新中間層と呼称し、マルクス主義の立場では上層労働者階級と呼称する。新中間層は商店主や自作農など、旧中間層に対応した用語だが、マルクス主義では賃金労働者である点は工場労働者と変わりがないとの認識で、「遅れた労働者階級」とも呼ぶ。