人材
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人材(じんざい)とは、人的財産、すなわち社会に貢献する個人のこと。
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[編集] 概要
人材は、適正に活用することで活性的な組織を構築することができる。またそれらの欲求に適う人材を育成する事は、教育の使命である。
人材は、社会に役立つ存在であるが、これは個人として役立つというよりも、組織の中で適所に配する事により能力を発揮、組織の機能を向上させる存在である。この場合、組織が求める能力に於いて必要とされるのは「平均的な能力」ではなく、(所謂「出る杭」のような)それを上回る能力である。当然、組織が求めない能力は平均より低くても構わない。
当然ながら組織・職種によって求められる能力が違うので、各々の組織には各々見合った人材が求められる。競合する業態では、人材を巡る引き合いも発生する。
[編集] 例
これは例えば、コンピュータネットワークを運用するために、コンピュータの技術者を揃える必要があるケースを挙げた場合、これらコンピュータ技術者には料理の才能や走り幅跳びで良い成績を出す必要がないのと一緒である。
これら「ネットワーク管理者の技術者集団」を構成する各々に求められるのは
- コンピュータを正しく運用するための知識・経験
- 要求に誠実に応える真面目さ
- 常に最良の状態を維持するきめ細やかさ
といった要素(勿論、これ以外にも色々在るだろうが)を兼ね備えた存在が人材である。単に「コンピュータに詳しいです」とか、「不眠不休で働いても文句云いません」というのは人材の範疇には含まれない。
[編集] 備考
これら人材は、育成される物や見出される物など様々である。中には、大衆に埋没していた人に在っても、当人すら価値を見出していなかった個性において価値があるとして引き立てられるケースもある。
しかしそのようなシンデレラ的人材というのは、万に一つの偶然が重なった時に見出される物であって、そのようなケースは稀か、もしくは夢物語である。大抵は必要に応じて育成された人材が用を成すようになっている。
その一方で、同種同質集団の中にあっては人材は見出されない。これは押並べて平均値しか持たないためである。従来の日本式教育方法では、同種同質な存在の集団を育成する事に邁進したため、平均値は上がったが、逆に刮目に値する人材が見出し難くなっている部分もある。
[編集] 日本での人材に絡む現象
日本では1990年代以降に於いて、この反省として多様性を模索する傾向も見られるが、元が同種集団育成に適正化されているために混乱・迷走も見られ、理科離れや平均的な学力低下に代表される問題も発生している模様である。また、日本の教育は「暗記一辺倒」であり、部屋にこもって勉強ばかりしてきたようなコミュニケーション能力の欠如した一流大学の者が、就職試験の面接で挫折するような現象もみられている(学歴難民)。
その一方で、日本では人材の扱い方に関する問題点も取り沙汰されている。人材はある程度「偏った」人である傾向も見られるが、これを存分に能力を発揮できる場を提供する事は凡人には難しくも在るのだが、その生かせる場を提供してこその人材である。日本国内では自身が生かせる場がないと、海外流出してしまうケースも出ており、頭脳流出であると危惧されている。
他方では自身が幸せでないのは、人材として生かされていないのだとする漠然とした希望的観測から多くの職場を渡り歩く人があり、こちらは手に職がつく前に辞めてしまう事から、人材としての成長も難しい傾向も見られる。
だがしかし、その一方で雇用者側の問題も取り沙汰されている。こちらは被雇用者を人材として育成する努力を怠り、人材は外部から流れてくるのを期待して求人を出し続け、これに応募してきた求職者をパートやアルバイトの形で試用期間として雇用するも、即戦力的な人材ではないとすぐに解雇するケースも聞かれる。これらでは既に雇われている被雇用者の勤労意欲を失わせ易く、また個々の被雇用者に即した扱いをしない事から求心力に欠き、向上心のある準人材もただダラダラと働かせることでスキル向上が無い事から職場に絶望してしまう傾向も懸念される。このような問題に於いては短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律では短時間労働者(パートタイマー)に対しての教育拡充も謳っており、同法遵守によるパートタイマーをも人材として生かす方向が期待されている。
なお日本では1990年代以降に於いて盛んに人材不足が叫ばれ、人材派遣業のような業態も盛況である。ただこれら人材派遣業で流動的となった雇用に於いて、職場への忠義心・帰属意識に欠ける人が混在する傾向も見られ、個人情報流出などの問題では、度々派遣社員が情報持ち出しを行っていたとして処罰される事件も見られ、その関係もあって通常業務をこなす派遣社員にはあまり大きな権限を持たせず、これが対外的に個々の社員(外部の人間には派遣なのか専属なのか見分けが付かない)の業務裁定権に不信感を持たせる傾向も見られる。人材派遣業からの派遣社員比率が多い情報処理関連の業界では、派遣社員が直接に顧客と折衝する場合も多いが、これの連絡不足から後々のトラブルに発展するケースも見られる。