体験版
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体験版(たいけんばん)とは、主にパソコンのソフトウェアやテレビゲームなどで、販売促進の為に機能を制限して頒布するバージョンのこと。試供品とは異なり、必ずしも「完成済みの作品」である必要はなく、依然開発中の作品を切り出しても問題ないため、いわゆるアルファ版やベータ版の意味合いでもって体験版とする事もある。
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[編集] 機能制限の例
- 使用期間を設ける(30日等)
- 一定時間しか実行できない(10分等)
- 一定ステージまでしかプレイできない(1面のみ等)
- 特別編(本編のシナリオの代わりに、オリジナル展開が用意される)になっている
- ファイルやクリアを記録出来なくする
- 解像度が低い
- BGMや効果音が無い
- 画面やデータの一部に体験版を示す表記が出る
これら様々な方法を組み合わせている場合もある。また、利用料金を支払うことで、そのまま製品版に移行できるタイプの体験版も存在する。
[編集] 不完全版・有料体験版
製作中のβ版(ベータ ばん)として、実際に販売される内容とは異なる状態で頒布されるケースも多く見られる。その為、中途半端な体験版を頒布することは販売促進において逆効果となってしまう場合もあるので消費者・生産者ともに注意が必要である。
体験版の殆どは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金(媒体の料金や郵送費は含まない)を課す場合も見られる(有料体験版)。こうした手法は、開発のための資金を得つつ、作品の質を安定させる為に行われるが、「未完成品を売り物として良いのか?」「完成する見込みが無くなったので出来上がった分だけ売るという魂胆ではないのか?(完成版は出ないのではないか?)」という批判が向けられることもある。ちなみに、製品版として一度世に送り出されたものであっても、質が特に良くない場合には、逆に「ユーザに金を払わせてバグ出しをさせるソフト」という皮肉を込めて「有料体験版」と揶揄したりする。
[編集] 頒布形態
- 以前は体験版を記録したCD等の記録媒体を雑誌や店頭で配布する事が多かったが、2000年以降ブロードバンドの普及に伴い、ウェブサイトで配布される事が多くなった。ただし、テレビゲームに関してはコピープロテクトの関係もあり未だに前述の方式で配布される事が殆どである。また、Macromedia Flashなどを使って擬似的に内容を再現することで体験版としている作品もある。
[編集] 家庭用ゲーム機における体験版
- 1990年代以前は店頭デモやイベントでの試遊が主で、体験版の配布が行われることはまれだった。任天堂がスーパーファミコン向けのサテラビューで体験版を配布したことがあったものの、システム自体の敷居が高く普及は進まなかった。
- 1990年代、スクウェアが開発中の大型タイトルの体験版を新作ゲームソフトにバンドルする手法を取り入れた。「ファイナルファンタジーVII」の体験版が付属した「トバルNo.1」、ファイナルファンタジーVIII」の体験版が付属した「ブレイブフェンサー武蔵伝」がヒットしたが、ソフト本体が体験版のおまけのような扱いをされてしまった。
- 2000年代半ば以降、無線LANを搭載した携帯ゲーム機(ニンテンドーDS、プレイステーション・ポータブル)向けに店頭端末を用いて体験版を配布するサービスが行われている。(→DSステーション、プレイステーションスポット)
- 同じく、インターネット接続機能がある据置型ゲーム機(Xbox 360、プレイステーション3、Wii)に体験版を配布するサービスが行われている。(→Xbox Live、PLAYSTATION Store、WiiConnect24)
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
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