全国高等学校駅伝競走大会
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全国高等学校駅伝競走大会(ぜんこくこうとうがっこうえきでんきょうそうたいかい)は、毎年、12月に都大路・京都市を舞台に開催される「高校駅伝・日本一」を決める大会。全国高等学校総合体育大会の一つ。スタートしたのは1950年。女子は39年後の1989年に初開催された。 現在の都大路が舞台となったのは1966年からで、それまでは大阪府が舞台であった(大阪時代に奈良県もコースに含まれていた時もあった)。
施行は女子が午前、男子が午後に行われる。コースは発着点となるのが西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場。女子はマラソンの半分(ハーフマラソン)の21.0975kmを5人、男子はフルマラソンの42.195kmを7人で繋いで行く。共に最長は1区。女子は平野神社前まで、男子は烏丸紫明まで走る。折返し地点は女子が烏丸鞍馬口の室町小学校前、男子は宝ヶ池の国立京都国際会館である。なお、女子のTV解説者は1992年バルセロナ五輪代表で第一生命・陸上部監督の山下佐知子、男子のTV解説者は1976年モントリオール五輪・84年ロス五輪代表で旭化成・陸上部顧問&九州保健福祉大学・名誉教授の宗茂が毎年務めている。
又、この大会から翌月の1月に女子は男子の高校駅伝と同じコースで開催される(区間編成は異なる)都道府県対抗女子駅伝、男子は平和都市・広島市で開催される都道府県対抗男子駅伝に出場する選手も少なくは無い。又、5年に1度に記念大会として47校(47都道府県)に地区代表の11校を加えた58校に出場校が増える。尚、この大会は毎日新聞社が主催。NHKの総合テレビ・ラジオ第1・衛星ハイビジョンおよび海外向けテレビ番組配信の「NHKワールド・プレミアム」にて生中継(2004年大会からハイビジョン製作)されている。なお、総合テレビのアナログ放送とNHKワールド・プレミアムではスポーツ中継としては珍しく14:9の画面サイズ(2004・2005年は16:9のレターボックス形式で放送)で放送される。
目次 |
[編集] 女子コース
西京極陸上競技場発着/京都市立室町小学校前折返し:5区間 21.0975㎞
大会最高記録:1時間06分26秒(埼玉栄/1996年)
[編集] 1区(6.0km) 西京極⇒平野神社前
西京極陸上競技場(スタート)→(五条通)→西大路五条→(西大路通)→第1中継所(平野神社前)
- 最長区間の1区。中間点の西大路四条から始まる上りは残り1㎞の西ノ京円町で更にきつさを増す。各校とも力があるランナーが走る。
1区区間記録保持者:新谷仁美 18分52秒 (岡山・興譲館3年/2005年)
[編集] 2区(4.0975km) 平野神社前⇒烏丸紫明
平野神社前→(西大路通)→金閣寺道→(北大路通)→堀川北大路→(堀川通)→堀川紫明→(紫明通)→烏丸紫明→(烏丸通)→第2中継所(烏丸鞍馬口)
- 2区は交差点を多く通る区間。金閣寺道、堀川北大路、堀川紫明、烏丸紫明と実に4ヶ所も通るのでそれだけ位置取りやカーブの回り方も重要視される。男子の行きの1区と帰りの6区もここを通る。
- 千本北大路から大徳寺西まで続く船岡山の大上り・大下りは男女共にかなりの負担となる。女子は行きがこの2区、帰りは始まったばかりの4区。男子は行きが1区で帰りは6区が受け持つ。
2区区間記録保持者:小林祐梨子 12分37秒 (兵庫・須磨学園2年/2005年)
[編集] 3区(3.0km) 烏丸紫明⇒室町小前(折り返し)⇒船岡山・北大路口
烏丸鞍馬口→(烏丸通)→室町小学校前(折り返し)→(烏丸通)→(堀川)→(紫明通)→(北大路通)→第3中継所(船岡山・北大路口)
- 3区も交差点を多く通る区間。堀川北大路、堀川紫明、烏丸紫明と実に3ヶ所も通るので2区同様に位置取りやカーブの回り方も重要視される。
3区区間記録保持者:鳥海裕子 9分25秒 (埼玉栄3年/1996年)
[編集] 4区(3.0km) 船岡山・北大路口⇒北野中前
船岡山・北大路口→(北大路通)→(西大路通)→第4中継所(北野中学前)
- 4区はスタートしてから天神前まで一気に上り坂で後は一気に下り。又、風は北大路では右から左に吹いており西大路に入ってからは左大文字からの追い風が吹いている。この追い風が強くなると・・・。
- 女子での最大の勝負ポイントは短い3・4区。ここに力のある選手を置けるかが優勝への近道となる。
4区区間記録保持者:田中梨沙 8分59秒 (埼玉栄2年/1996年)
[編集] 5区(5.0km) 北野中前⇒西京極
北野中学前→(西大路通)→(五条通)→西京極陸上競技場(ゴール)
- 最終区はスタートして阪急西院までの最初の2㎞は下り坂。後は略、ゴールの西京極まで平坦。男子7区と全くの同区間。
5区区間記録保持者:菅野勝子 15分31秒(福島・田村3年/1998年)
[編集] 男子コース
西京極陸上競技場発着/京都国際会館前折返し:7区間 42.195㎞
大会記録:2時間01分32秒(宮城・仙台育英/2004年)
- この記録は実質的に高校最高記録であるにも拘らず、外国籍留学生選手が出走したという理由で「日本高校国内国際最高記録」として別枠で扱われ、物議を醸している。なお、全選手が日本人で構成された最高記録である「日本高校最高記録」は2時間03分18秒(兵庫・西脇工/1997年)また、上記の外国籍留学生選手を出走させていない学校では、佐久長聖(長野県)や西脇工業(兵庫県)、さらには近年上位に食い込んでいる豊川工業(愛知県)などが有名であり、かつ毎回優勝候補に顔を揃えている。
[編集] 1区(10km) 西京極⇒烏丸鞍馬口
西京極陸上競技場→(五条通)→(西大路通)→(北大路通)→(堀川通)→(紫明通)→(烏丸通)→第1中継所(烏丸鞍馬口)
- 女子同様に最長区間の1区。男女合わせた全12区間の中で最長の距離を走る。『花の1区』と言われる様に各校共にエースを送り込む所がポイント。前半はわら天神前までの上り坂をどの様に料理するのかがポイント。後半は金閣寺道、堀川北大路、堀川紫明、烏丸紫明と実に4ヶ所も通るのでそれだけ位置取りやカーブの回り方も重要視される。進行方向は逆だが、正月に開催する都道府県対抗女子駅伝のアンカー・第9区と同じコースを走る。
- 男子・女子とも出場校が58校に増える5年に1度の記念大会ではスタート直後500Mのトラックは勿論、五条通・国道9号に出るまでの転倒に特に注意が必要。また、一部の、外国人留学生を律する学校は大抵この区間に配置する。その場合、やはり日本人選手と大差が開いてしまう場合が多く、結局はその差で勝負が決まってしまう時もある。近年大会で例を挙げると、2006年度の第57回大会と2005年度の第56回大会では、この区間に外国人留学生を配置した仙台育英高校(宮城)と、世羅高校(広島)で優勝と準優勝を独占している。あと、正月恒例の箱根駅伝では、この区間を経験した選手が活躍する場合も多い。例えば、前10000m高校記録保持者の上野裕一郎(長野・佐久長聖高校出身)や、10000m高校記録保持者の佐藤悠基(長野・佐久長聖高校出身)、時代をさかのぼれば、マラソンランナーとして活躍し、箱根駅伝でも圧巻の走りを見せた瀬古利彦(三重・四日市工業高校出身)など数々の名ランナーがいる。
1区区間記録保持者:ジュリアス・ギタヒ 27分48秒 (宮城・仙台育英2年/1995年) 1区日本人区間記録保持者:上野裕一郎 28分54秒 (長野・佐久長聖3年/2003年)
[編集] 2区(3.0km) 烏丸鞍馬口⇒河原町丸太町
烏丸鞍馬口→(烏丸通)→(丸太町通)→第2中継所(河原町丸太町)
- 2区は最短の3㎞。コースのほとんどを京都御苑の周回道路で占める。
2区区間記録保持者:佐藤清治 7分55秒 (長野・佐久長聖2年/1998年)
[編集] 3区(8.1075km) 河原町丸太町⇒国際会館前(折り返し)
河原町丸太町→(丸太町通)→(東大路通)→(今出川通)→(白川通)→(宝ヶ池)→国際会館前(折り返し)・第3中継所
- 3区は準最長区間でもあり交差点を多く通る区間。前半は熊野神社前、百万遍、銀閣寺道の順に交差点を3度、通るので1区の後半同様に位置取りやカーブの回り方も重要視される。後半は叡山電鉄のガードのアップダウンの走り方にも注意が必要。
- 白川通りは北上するので風は例年だと比叡山からの向かい風となる。是が異常に強くなると、高校生ランナーには計り知れない負担となる。
3区区間記録保持者:サムエル・ワンジル 22分40秒 (宮城・仙台育英3年/2004年)
[編集] 4区(8.0875km) 国際会館前(折り返し)⇒河原町寺町
国際会館前→(宝ヶ池通)→(白川通)→(今出川通)→(東大路通)→(丸太町通)→第4中継所(寺町丸太町)
- 4区は3区を逆走する区間。したがって白川通りは南下となる。風は例年だと追い風となるので、この風をいかにして味方につけるかがポイント。
4区区間記録保持者:佐藤悠基 22分44秒 (長野・佐久長聖2年/2003年)
[編集] 5区(3.0km) 河原町寺町⇒烏丸紫明
寺町丸太町→(丸太町通)→(烏丸通)→第5中継所(烏丸紫明)
- 5区は2区の逆走区間。烏丸丸太町からは北上する為に北山からの向かい風が強く吹くことも。短いからといってあなどってはいけない、これが高校駅伝の面白さのひとつでもある。3区の比叡颪同様に・烏丸丸太町から始まる当区の北山颪も風が毎年、変わる。最短区間であり、チーム7番目の選手が配されることが多いため、30年以上区間記録が更新されていない。
5区区間記録保持者:浅井利雄 8分22秒 (新潟・小出3年/1972年)
[編集] 6区(5.0km) 烏丸紫明⇒北野中前
烏丸紫明→(烏丸通)→(紫明通)→(堀川通)→(北大路通)→(西大路通)→第6中継所(北野中学前)
- 6区はほぼ女子の3区と4区を合わせた区間。最後の7区へ向けて後続に対してどれだけのアドバンテージを取れるのかがポイント。
6区区間記録保持者:木庭啓 14分16秒 (兵庫・西脇工2年/1993年)
[編集] 7区(5.0km) 北野中前⇒西京極
北野中学前→(西大路通)→(五条通)→西京極陸上競技場
- 女子の5区と同様に走るこの7区。駅伝の甲子園、都大路を制するのは?最終区のトラック勝負まで目が離せない。
7区区間記録保持者:森口祐介 13分58秒 (兵庫・西脇工2年/1998年)
[編集] 歴代優勝校
年度 | 男子回 | 男子優勝校 (都道府県) | 男子・優勝回数 | 女子回 | 女子優勝(都道府県) | 女子・優勝回数 |
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1950年 | 1 | 世羅(広島) | 初優勝 | |||
1951年 | 2 | 世羅 (広島) | 2年連続2回目 | |||
1952年 | 3 | 玉名(熊本) | 初優勝 | |||
1953年 | 4 | 筑紫野(福岡) | 初優勝 | |||
1954年 | 5 | 筑紫野(福岡) | 2年連続2回目 | |||
1955年 | 6 | 飾磨工(兵庫) | 初優勝 | |||
1956年 | 7 | 常磐(福岡) | 初優勝 | |||
1957年 | 8 | 小林(宮崎) | 初優勝 | |||
1958年 | 9 | 常磐(福岡) | 2年ぶり2回目 | |||
1959年 | 10 | 西条農業(中国・広島) | 初優勝 | |||
1960年 | 11 | 小林(宮崎) | 3年ぶり2回目 | |||
1961年 | 12 | 小林(宮崎) | 2年連続3回目 | |||
1962年 | 13 | 福岡大学附属大濠(福岡) | ||||
1963年 | 14 | 中京商業(愛知) | ||||
1964年 | 15 | 盈進(広島) | ||||
1965年 | 16 | 福岡大学付属大濠(福岡) | ||||
1966年 | 17 | 中京商業(愛知) | ||||
1967年 | 18 | 中京(愛知) | ||||
1968年 | 19 | 小林(宮崎) | ||||
1969年 | 20 | 福岡大学付属大濠(福岡) | ||||
1970年 | 21 | 相原(神奈川) | ||||
1971年 | 22 | 中津商業(大分) | ||||
1972年 | 23 | 世羅(広島) | ||||
1973年 | 24 | 小林(宮崎) | ||||
1974年 | 25 | 世羅(広島) | ||||
1975年 | 26 | 大牟田(福岡) | ||||
1976年 | 27 | 大牟田(福岡) | ||||
1977年 | 28 | 小林(宮崎) | ||||
1978年 | 29 | 小林(宮崎) | ||||
1979年 | 30 | 中京商業(岐阜) | ||||
1980年 | 31 | 中京商業(岐阜) | ||||
1981年 | 32 | 報徳学園(兵庫) | ||||
1982年 | 33 | 西脇工業(兵庫) | ||||
1983年 | 34 | 報徳学園(兵庫) | ||||
1984年 | 35 | 報徳学園(兵庫) | ||||
1985年 | 36 | 報徳学園(兵庫) | ||||
1986年 | 37 | 市立船橋(千葉) | ||||
1987年 | 38 | 埼玉栄(埼玉) | ||||
1988年 | 39 | 大牟田(福岡) | ||||
1989年 | 40 | 報徳学園(近畿・兵庫) | - | 1 | 市立船橋(千葉) | |
1990年 | 41 | 西脇工業(兵庫) | - | 2 | 群馬女子短大付属(群馬) | |
1991年 | 42 | 大牟田(福岡) | - | 3 | 筑紫女学園(福岡) | |
1992年 | 43 | 西脇工業(兵庫) | - | 4 | 市立船橋(千葉) | |
1993年 | 44 | 仙台育英(宮城) | - | 5 | 仙台育英(宮城) | |
1994年 | 45 | 西脇工業(近畿・兵庫) | - | 6 | 仙台育英(宮城) | |
1995年 | 46 | 西脇工業(兵庫) | - | 7 | 埼玉栄(埼玉) | |
1996年 | 47 | 報徳学園(兵庫) | - | 8 | 埼玉栄(埼玉) | |
1997年 | 48 | 西脇工業(兵庫) | - | 9 | 埼玉栄(埼玉) | |
1998年 | 49 | 西脇工業(兵庫) | - | 10 | 田村(福島) | |
1999年 | 50 | 仙台育英(宮城) | - | 11 | 筑紫女学園(福岡) | |
2000年 | 51 | 大牟田(福岡) | - | 12 | 立命館宇治(京都) | |
2001年 | 52 | 仙台育英(宮城) | - | 13 | 諫早(長崎) | |
2002年 | 53 | 西脇工業(兵庫) | - | 14 | 筑紫女学園(福岡) | |
2003年 | 54 | 仙台育英(宮城) | - | 15 | 須磨学園(兵庫) | |
2004年 | 55 | 仙台育英(宮城) | - | 16 | 諫早(長崎) | |
2005年 | 56 | 仙台育英(宮城) | - | 17 | 興譲館(岡山) | |
2006年 | 57 | 世羅(広島) | - | 18 | 須磨学園(兵庫) |
[編集] 参考文献
- 執筆・長岡民男ほか、編集・月刊陸上競技『高校駅伝50年史』(出版芸術社、2000年) ISBN 4882931818