南宗寺
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龍興山 南宗寺(りゅうこうざん なんしゅうじ)は大阪府堺市堺区にある臨済宗大徳寺派の寺院で三好氏の菩提寺。開山は大林宗套、本尊は釈迦三尊である。茶人の武野紹鴎、千利休が修行をした、ゆかりの寺であり、沢庵和尚が住職を務めたこともある。堺の町衆文化の発展に寄与した寺院である。
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[編集] 起源と歴史
河内飯盛城主・三好長慶(みよしながよし)が父、三好元長の菩提を弔うため、弘治3年(1557年)、大徳寺90世の大林宗套を開山として創建したものである。創建当時は堺市宿院町付近にあったと伝える。天正2年(1574年)の松永久秀の兵火で焼け、さらに慶長20年(1615年、7月に元和と改元)の大坂夏の陣では堺の市街とともに焼失したが、その後、当時の住職であった沢庵宗彭によって現在の場所に再興された。現存する仏殿、山門などは沢庵の没後、17世紀半ばに整備されたものである。第二次世界大戦で一部の建物を失ったが、境内は江戸時代の禅宗寺院の雰囲気をとどめている。
[編集] 境内
- 仏殿 承応2年(1653年)建立の禅宗様仏殿。入母屋造、瓦葺き、一重もこし付き(1階建てだが屋根は2層になっている)。内部は石敷きの土間で、中央仏壇上に本尊釈迦三尊像を安置する。山門、唐門とともに1993年12月、国の重要文化財に指定されている。
- 唐門 仏殿の右方にある小規模な門で、仏殿と同時期の建設と思われる。
- 山門 甘露門とも称する。正保4年(1647年)の建立。
建造物は他に総門、鐘楼、禅堂、坐雲亭、方丈、実相庵などがある。茶室実相庵は千利休好みと伝えられ、1963年に再建されたものである。また、方丈の枯山水庭園は古田織部の作と伝えられ、国の名勝に指定されている。
境内には他に、徳川家康のものと伝えられる墓、武野紹鴎の供養塔、千利休一門の供養塔、三好一族の墓所、津田宗及一門の供養塔などがある。