阪堺電気軌道阪堺線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

阪堺電気軌道の車両（2003年恵美須町駅にて）

阪堺線（はんかいせん）は、大阪府大阪市浪速区の恵美須町駅から大阪府堺市西区の浜寺駅前駅までを結ぶ阪堺電気軌道の路線である。

[編集] 路線データ

路線距離（営業キロ）：14.1km
軌間：1435mm
駅数：30駅（起終点駅含む）
複線区間：全線
電化区間：全線電化（直流600V）
車両基地：我孫子道車庫

[編集] 概要

大阪市内の東玉出～住吉鳥居前間と堺市内の大道筋の中央を通る綾ノ町～御陵前間は併用軌道となっている。上町線の電車が住吉駅から車庫のある我孫子道駅まで乗り入れている。

堺市には、かねてから東西鉄軌道として構想されていたLRT建設計画があり、阪堺線との有機的な連携が期待されている。一方で阪堺電気軌道は、利用者の減少や、2000年に国土交通省から出された安全対策事業を進めることが資金的に困難だとして、2003年に堺市内区間について廃止を含めた協議を堺市に申し入れた。これに対し堺市では、安全対策事業への補助や、市民参加の支援団体立ち上げといった路線存続に向けた動きを見せている。

この動きを受けて、2006年 12月に堺市が、阪堺電気軌道と親会社の南海電気鉄道のグループとのLRTに関する非公式事前協議で、グループ側から提案された相互乗り入れを受け入れる意向を示した。このため、同路線の存続と、2010年度を目途にLRTとの相互乗り入れ実現を目指す方向で話が進んでいる。

[編集] 運行形態

近年は大幅に減便され、恵美須町～浜寺駅前間の系統が昼間12分間隔で運行されているほか、住吉～我孫子道間には上町線の一部系統が天王寺駅前駅から乗り入れている。

正月三が日には特別ダイヤとなり、恵美須町～我孫子道間を中心に大幅に増便される。

[編集] 歴史

（初代）阪堺電気軌道により建設された。しかしながら、全線が南海鉄道の路線（今の南海本線）と競合することもあり、一時は住吉大社の参詣客や浜寺公園への遊覧客を巡って、激しい輸送競争も行われた。その後、南海に合併されて阪堺線となった。だが1927年～1935年には、今度は阪堺電鉄（新阪堺）という会社によって競合線が敷設された。これは後に大阪市へ買収されて大阪市電阪堺線となり、1944年～1968年にかけて全廃されている。

1980年に大阪馬車鉄道→浪速電車軌道が建設した上町線と共に、南海子会社の（2代目）阪堺電気軌道へ譲渡された。

1911年 12月1日阪堺電気軌道が恵美須町～市ノ町（現在の大小路）間を開業。
1912年 3月5日市ノ町～少林寺橋（現在の御陵前）間が開業。
1912年4月1日少林寺橋～浜寺駅前間が開業。
1915年 6月21日南海鉄道に合併。
1944年 6月1日関西急行鉄道と南海鉄道が合併して近畿日本鉄道が成立。同社天王寺営業局の所属となる。
1947年6月1日旧・南海鉄道の路線を南海電気鉄道に分離譲渡。同社大阪軌道線の一路線となる。
1980年12月1日上町線とともに阪堺電気軌道に分離譲渡。
1990年 10月4日釜ヶ崎で発生した暴動により南霞町駅舎が放火され、5日まで阪堺線が運休。南霞町駅舎は後に北に移設され仮設営業開始（そのまま元の位置に戻ることなく本営業になり、現在に至る）。

[編集] 駅一覧

駅名	営業キロ	接続路線	所在地
恵美須町駅	0.0	大阪市営地下鉄：堺筋線	大阪府	大阪市浪速区
南霞町駅	0.6	西日本旅客鉄道：大阪環状線・関西本線（大和路線）（新今宮駅）南海電気鉄道：南海本線・高野線（新今宮駅）大阪市営地下鉄：御堂筋線・堺筋線（動物園前駅）		大阪市西成区
今池駅	1.0
今船駅	1.3
松田町駅	1.7
北天下茶屋駅	2.0
聖天坂駅	2.4
天神ノ森駅	2.8
東玉出駅	3.2
塚西駅	3.6
東粉浜駅	4.2			大阪市住吉区
住吉駅	4.6	阪堺電気軌道：上町線
住吉鳥居前駅	4.8	南海電気鉄道：南海本線（住吉大社駅）※上町線住吉公園駅と近接（徒歩1分）。ただし乗り換え指定駅とはなっていない。
細井川駅	5.1
安立町駅	5.6
我孫子道駅	6.2
大和川駅	6.8			堺市堺区
高須神社駅	7.3
綾ノ町駅	7.7
神明町駅	8.1
妙国寺前駅	8.4
花田口駅	8.7
大小路駅	9.0
宿院駅	9.4
寺地町駅	9.8
御陵前駅	10.2
東湊駅	10.9
石津駅	12.2			堺市西区
船尾駅	12.9
浜寺駅前駅	14.1	南海電気鉄道：南海本線（浜寺公園駅）