大畑駅
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
大畑駅(おこばえき)は、熊本県人吉市大畑麓町にある、九州旅客鉄道(JR九州)肥薩線(えびの高原線)の駅。スイッチバックとループ線を併せ持った、日本でもこの駅にしかない構造を持つ。
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[編集] 駅構造
肥薩線の山線と呼ばれる険しい区間にある駅。日本で唯一、ループ線の中にスイッチバックを併せ持つ駅としても知られる。通過不可能なスイッチバック構造で、かつて運転されていた優等列車も必ず停車しなければならなかった。
駅は島式ホーム1面2線を持ち、ホームから構内踏切を渡って駅舎に行くことができる。木造の駅舎開業当時のもので、周りの駅とよく似ているが、当駅のみ「いさぶろう」・「しんぺい」のリニューアルにあわせて窓枠を木造に戻すなど、開業当初の雰囲気を再現する改装が行われた。無人駅である。
[編集] 駅周辺
「こば」とは焼畑を意味した言葉で、その昔大きな焼畑があったことからこの地名が付けられたという説がある。
- 人吉梅園(徒歩5分)
- 大野渓谷(徒歩約30分)
[編集] 歴史
開業当時に走っていた蒸気機関車のために設けられた、信号所と給水所としての役割が大きかった駅で、現在でも駅の周りには人家がなく、大畑の集落に出るには徒歩1時間近くかかる。
人吉駅から連続した勾配を登ってきた蒸気機関車は、この駅で給水をし、機関士たちは駅のホームにある湧水の洗顔場ですすに汚れた顔を洗っていたという。人吉駅から大畑駅まで、D51形蒸気機関車で1トンもの石炭を消費し、1分間に250リットルもの水をボイラーに送り続けていたというから、機関士たちの苦労は計り知れないものがあった。特に、1927年まではこのルートが鹿児島本線とされ、多くの重量貨物列車が往来したというから、苦労は言わずもがなとされるところであった。
この駅で一休みした列車は、さらに険しい矢岳駅への勾配へ挑んでいった。スイッチバックを併せ持ったのは勾配途中に平坦な場所を設け、そこに停車場を建設するためであった。
- 1909年(明治42年)12月26日 鹿児島本線所属駅として鉄道院が開設
- 1927年(昭和2年)10月17日 海岸ルート(川内本線)全通に伴い肥薩線所属に変更
- 1986年(昭和61年)11月1日 電子閉塞装置導入により無人化
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承