宇宙太陽光発電
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宇宙太陽光発電(うちゅうたいようこうはつでん)とは、宇宙空間上で太陽光発電を行い、その電力を地上に送るという発電方法である。別名マイクロ波発電。
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[編集] 概要
地上と宇宙空間での太陽光発電の効率を比較すると、約10倍程度宇宙の方が有利であり、またこの方法が現実となれば、ほぼ24時間365日太陽光発電を利用することができる。
[編集] 歴史
[編集] 1960年代~1980年代
1968年にアメリカのピーター・グレイザー博士により初めて提唱された。その後、オイルショックをきっかけとして1977年から1980年の間にNASA(米国航空宇宙局)とDoE(米国エネルギー省)により構想検討が行われた。この検討に於いては、アメリカ合衆国全土の全電力を賄う為に、発電性能500万kW、総重量約5万tの超巨大衛星を静止軌道上に年に2機ずつ、合わせて60機程を打ち上げることが計画された。然しながら、この研究は技術的に欠落した箇所が無いとされながらも、財政の緊縮方針により凍結されてしまったのである。
[編集] 1990年代~2000年代
1990年代に入ると日本に於ける研究活動が活発化し始め旧宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構)を中心とした大学及び国立研究所の研究者により1万kW規模の電力の発電が出来る宇宙太陽光発電「SPS2000」の概念設計が行われ、基本的な技術の研究が進められていた。同じ頃に旧通商産業省工業技術院のニューサンシャイン計画の一環として、100万kW規模の電力の発電が出来る宇宙太陽光発電の構想検討が行われた。又、マイクロ波送電の試験として1992年にMILAX飛行機による試験が行われた。これは、マイクロ波を用いて飛行機の飛行に必要な電力をマイクロ波により送電するという試験である。翌年の1993年にMILAX試験で開発された技術を用いてISY-METSロケット試験が行われた。この実験は宇宙空間に於いてのマイクロ波電力伝送を行う物であった。
1990年代後半に入り、アメリカでの活動が再開され再びFresh Lookと言われる検討が行われ、「宇宙太陽光発電は最新の技術を持ってすれば実現可能であり、既存の発電システムと同じ位の発電単価を実現できる」ことが言われた。この報告を受けてアメリカ合衆国の議会はNASAに対して数十億円程度の予算を付け研究開発を開始した。又2004年1月14日にブッシュ大統領が演説・発表した新宇宙計画に於いても、有人火星探査に関する研究の一環として宇宙太陽光発電の研究開発が進められている。
一方日本においては、1998年から旧宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構:JAXA)が調査と研究を進めている。 又、経済産業省に於いても2000年度より検討が開始された。政治サイドの取組みとしても、開発を推進する為の「宇宙エネルギー利用(宇宙太陽光発電)推進議員連盟」が2003年2月27日に結成した。
また欧州にでは1999年よりInvesting in Spaceプログラムの一環として宇宙太陽光発電に関する研究が行われている。
[編集] 長所と短所
[編集] 長所
- 従来の発電方法に比べて発電量が多く、しかも環境汚染を引き起こさず、資源の枯渇の心配も無い。
[編集] 短所
- エネルギーが強いため、誤受信やテロリストの占領によって建造物などの破壊が起きるのではないかと懸念されている。
[編集] 今後の計画
[編集] 米国
宇宙航空研究開発機構の総合技術研究本部の研究チームによれば、2020~2030年の間の実用化を目指し研究中である。
[編集] 日本
100万kW級の実用システムを2020~2030年頃に実用化をする為に、マイクロ波による電力送電方式の部分試作実験、太陽光を直接レーザーに変換をする研究とNASAリファレンスシステムに代わる方式の検討などが積極的に行われている。
[編集] 仕組み
- 宇宙太陽光発電は、宇宙空間上にある太陽光発電衛星と地上の受信局とで構成されており、地上から約3万6千km上空の静止軌道上に設置された衛星で太陽光発電を行い、その電力をマイクロ波又はレーザー光に変換し、地上の受信局(構想では砂漠又は海上に設置される)に送り、地上で再び電力に変換するという構成になっている。
[編集] 構造
[編集] 応用
[編集] 関連項目
- マイクロ波送電
- 太陽光発電
- 宇宙開発
- 宇宙移民
- 発電
- 太陽光発電衛星(英語ページ)
[編集] 外部リンク
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