小包郵便物
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小包郵便物(こづつみゆうびんぶつ)とは、日本郵政公社が提供する郵便サービスの一つで、小口荷物の宅配サービス。単に小包とも呼ばれる。小包郵便物には幾つか種類があるが、その中でも一般小包(ゆうパック)が最も有名である。
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[編集] 概説
郵便制度の始まった明治時代以来、旧国鉄の鉄道小荷物とともに、小口荷物輸送サービスの主役であったが、1976年に登場したヤマト運輸の宅急便を始めとする民間宅配便サービスにシェア(市場占有率)を奪われた。
後に民営化をにらんだ日本郵政公社への移行を控え、配送時間の短縮や新商品の開発等が行われ、公社移行後は料金の設定を重量からサイズ主体に切り替えたり、大手コンビニエンスストアチェーンである「ローソン」を窓口として取り込んだ結果、2005年2月16日の生田正治総裁の発表によれば、この時点でのシェアは6%としている。
コンビニとの提携については、宅配便最大手であるヤマト運輸が独占禁止法違反として公社を提訴するなど波紋が広がっている。その最中、コンビニエンスストアチェーンの一つ「ミニストップ」も、2005年6月から全店舗で「ゆうパック」を取り扱うと正式発表した。裁判については、2006年1月19日にヤマト運輸の全面敗訴の判決が東京地裁で下された。このため、「ゆうパック」を取り扱うコンビニエンスストアチェーンが増える可能性もある。
基本的に集荷・配達は集配局の局員が行うが、近年の拡大路線により要員が足りなくなり「赤帽」など他運送会社に配達業務を委託をしている場合もある。その為、以前は土日配送は原則的に行われなかったが、今現在は対応し、民間宅配便と同等のサービス(配達日、および配達時間帯の指定が可能)が行われている。
[編集] 商品
日本郵政公社では、次のような商品を取り扱う。
[編集] 一般小包郵便物(ゆうパック)
最も代表的な小包郵便物であり、単に小包と呼んだ場合、このゆうパックを指すことも多い。
長さ・幅・厚さの合計が1.7m以内、重量30kg以内で、危険物などの禁制品と信書を除いた物品を送付できる。
「ゆうパック」の料金はサイズと運送距離で決まる。民間の宅配便と異なり、重量は料金に影響しない。 「ゆうパック」という愛称は1987年にロゴマークとともに制定。「ゆうパック」の「ゆう」は郵便や郵政の意味であるが、英字表記での「ゆうパック」は、“Yu Pack”ではなく“You Pack”になっている。
郵便職員の間での俗称は「コツ」。なお、現在、「ゆうパック」は一般小包サービスの愛称だが、もともとは郵便局が販売する専用段ボール箱の商品名であった。
[編集] 保冷郵便(チルドゆうパック)
0~5℃の温度で輸送するもの。長さ1m以内で、長さ・幅・厚さの合計が1.5m以内。重量は30kg以内。
[編集] 冊子小包郵便物
書籍やカタログなどの冊子状のものや、CD/DVD、磁気テープなどの電磁記録媒体を、割安な料金で配送するもの。かつては書籍小包やカタログ小包というサービスであったが、1998年9月1日に統合されて冊子小包となった。投函する際には、封筒の表面に「冊子小包」と明記し、内容物が確認できるように封筒の一部を切り欠くか、封筒の一部に透明なフィルムを用いなければならない。密封する場合には、郵便局の窓口で内容物を確認してもらうか見本を提示する必要がある。送付できる小包の重量は最大3kg。2kgを超える場合には、別の手段(「ゆうパック」、あるいは宅配便など)で送付した方が割安になる場合もある。
差出はポスト投函が可能。配達は、一般小包とは異なり受箱配達であり、通常郵便物と一緒に配達するため、実務上は小包郵便物というよりむしろ通常郵便物と同じように使われる。
なお、大口割引として、1ヶ月間に500個以上差し出す場合には、料金を割り引く特別料金制度が存在する。
[編集] 定形小包郵便物(EXPACK 500、エクスパック)
500円の専用封筒(248mm x 340mm)で送る全国均一料金のサービス。速達扱いであるため、通常郵便物の速達に準ずるくらい速く、全国に送ることができる。郵便ポストからでも差出できるが、市中のポストの大部分は投函口が狭く、物理的に投函できない場合も多いので注意を要する。
控シールに記載されている「お問い合わせ番号」を用いて配達状況の追跡が出来るが、損害賠償制度はない。配達は手渡し(受取人の受領印をもらう)で行われる。ただし、差出人が伝票に「指定場所(受箱)」のように明記して差出した場合に限り、受取人不在時に郵便受箱へ配達する。
利用には専用の封筒が必要で、郵便局や一部のコンビニなどで購入できる。エクスパックを販売しているコンビニの例としてローソンがあるが、あまり売れる商品ではないため、店によっては取扱いがなく、郵便局で購入するのが確実である。最寄の集配郵便局へ連絡すればゆうパック同様に無料で集荷してもらえる。
[編集] 簡易小包郵便物(ポスパケット)
民間業者のメール便に対抗し、2006年4月1日にサービス開始。A4サイズ(250mm x 340mm)以内、厚さ3.5cm以内、重量1kg以内のものを全国均一400円で送れるサービス。速達扱いではない。配達は定形小包郵便物(エクスパック)と違い、受箱配達であり、手渡しではない。控シールに記載されている「お問い合わせ番号」を用いた配達状況の追跡ができる。
差出は郵便ポストへの投函でも可能(物理的に投函できない場合もあるのはエクスパックと同じ)。封筒等(規定内の大きさ・厚みなら段ボール箱等も使える)は差出人が用意し、郵便局で配布している専用シール(無料)と400円分の切手を表面に貼付して差し出す。
[編集] ふるさと小包
財団法人ポスタルサービスセンターが中心となり、郵便局を窓口にしている通信販売サービス。郵便局にあるカタログ、チラシ等に記載された商品を郵便振替で申し込むと、「ゆぅパック」を使って2~4日程度で配達される。商品は、各地の農産物・畜産物・水産物、これを加工した食品(辛子明太子、かまぼこなど)、当地の菓子などがほとんどである。 ポスタルサービスセンターが注文情報の取り次ぎ、代金の収納代行などを行っている。郵便局のほか、会員制で、下記ポスタルサービスセンターのサイトへアクセスし、インターネットから注文(支払いはクレジットカード)することも可能である。
[編集] 聴覚障害者用小包郵便物
図書館から聴覚障害者のために貸し出すビデオソフトを、福祉のため非常に安い料金で配送する。
[編集] Yahoo!ゆうパック
ヤフー株式会社と伊藤忠商事との提携により、コンビニエンスストアのファミリーマートのFamiポートやローソンのLoppiで「Yahoo!ゆうパック」[1]として、自分で重量を量るなどの手間はかかるが、ものによっては通常のゆうパックよりも安い料金で発送することができる。
主にインターネットオークションの品物の送付用として開始されたため、外寸と距離で料金が規定されている一般の「ゆうパック」と異なり、重量と距離で料金が規定されている。そのため、大きいが軽い荷物を送る場合は安い。また、最大補償額が50万円まで(一般の「ゆうパック」は30万円まで)などのメリットがある。ただし、Yahoo!のユーザID取得後に、専用ページから事前に情報を入力し、取り扱いコンビニエンスストアのマルチメディア端末への入力操作が必要となること、配達日の指定はできない(時間帯の指定は可能)、長さ・幅・厚さの合計が1.5m以内、重量が最大21キロまで、ファミリーマートかローソンのマルチメディア端末が設置してある店舗でないと利用できない、などの制限がある。
[編集] 特記事項
- 2004年11月18日 - コンビニエンスストアのローソン全店舗からのゆうパックの受付を開始。
- 2005年6月1日 - コンビニエンスストアのミニストップ全店舗からのゆうパックの受付を開始。
- 2005年6月1日 - コンビニエンスストアのデイリーヤマザキ、am/pm両チェーンの東京都内全店舗からのゆうパックの受付を開始した。両チェーンとも9月には全国の店舗でも受付開始。
- 2005年11月15日 - コンビニエンスストアのサークルKサンクス全店舗からのゆうパックの受付を開始。
- 2006年1月19日 - ローソンの「宅急便」から「ゆうパック」への切り替えに際して、ヤマト運輸が独占禁止法違反(不当廉売など)として郵政公社を提訴した裁判で、ヤマト全面敗訴の判決が東京地裁で下された(同年2月1日にヤマト運輸が控訴)。
[編集] 関連
[編集] 外部リンク
- 一般小包郵便物(ゆうパック)
- 定形小包郵便物(EXPACK 500)
- 簡易小包郵便物(ポスパケット)
- Ms.小包送料の検索比較
- 小包案内Windows用小包運賃検索比較ソフト