岡本吉起
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岡本 吉起(おかもと よしき、1961年6月10日 - )は、『GENJI』シリーズなどで知られるゲームプロデューサー。株式会社ゲームリパブリック代表取締役社長。元カプコン専務取締役。愛媛県南宇和郡愛南町(旧・一本松町)出身。創造社デザイン専門学校卒業。
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来歴
カプコン以前
1981年にコナミにイラストレーターとして入社。出世作となるアーケードゲーム『タイムパイロット』は本人の談によれば、当時の上司の「つまらない企画」(教習所をモチーフにしたドライブゲームだったそうだ)を開発するフリをしながら完全に独断で作り上げたものだという(後戻りできない段階でようやく上司に披露し、大いに怒りを買ったとのこと)。発売したところ大人気を呼ぶ。他に『ジャイラス』等を開発。後に藤原徳郎、プログラマのレッド有馬らと共に創業間もないカプコンに入社。 辻本社長と直談判の結果、初任給約35万円からのスタートであった。(直前のコナミ所属時の給与は、額面13万5千円であった。)
当時、東京都新宿区歌舞伎町の松宝ビルに入居していた東京開発室(現在のカプコン東京支社とは異なる)の責任者として、人材採用から開発までを一手におこなう。なお、この時期に採用した人材に、後に『ストリートファイター』等のキャラクターデザインで有名になる安田朗がいる。 その後、東京開発室の閉鎖とともにカプコン大阪本社に引き戻され、第三開発室の責任者となり、『エグゼドエグゼス』や『ソンソン』『1942』『ガンスモーク』『サイドアームズ』『麻雀学園』などのディレクションを担当するが『ロストワールド』を最後に開発現場を引退しその後は作品の広報担当者としてその手腕を発揮した。
1996年、同社取締役開発本部長に就任。1997年にはゲームシナリオの開発会社であるフラグシップを設立、代表取締役社長を兼任する。2001年にはカプコンの専務取締役に就任。
ゲームリパブリック設立後
2003年にカプコンを退社し、ゲームリパブリックを設立。設立当初、三上真司、櫻井政博らのクリエイターに声を掛けるも柔らかく断られる。プレイステーション2用ソフト『GENJI』とXbox360用ソフト『エブリパーティ』を製作。
『GENJI』発売日には、これを記念したイベントを新宿、秋葉原のゲームショップにおいて開催。当初、2万人程度の来場者を見込んでいた(岡本談)が、実際には15人のみの来場となり、結果、イベントは大きな混乱も無くスムーズにとり行われた。また『GENJI』は、週刊ファミ通新作クロスレビューにおいて、ゴールド殿堂入りを果たした。当レビューにおいてのゴールド殿堂入りは、非常に名誉あることとして広く知られている。
漫画家さくらももこのキャラクターを起用したボードゲーム『エブリパーティ』は、週刊ファミ通の新作クロスレビューで好評を博しシルバー殿堂入りを果たす一方で、Xbox360のロンチタイトル(同時発売ソフト)としては最低となる初週売り上げ641本であった。このことから一部では641本吉起と呼ばれ親しまれている。この件に関してはかつて氏本人が二流だと見下していた飯野賢治にインターネットラジオでネタにされてしまうほどであった。またこのゲームにまつわり、マイクロソフトからゲームリパブリックが得た金額について地方のトークショーで公言し、そばにいたマイクロソフトの担当者を大いに青ざめさせた。
その後プレイステーション3の同時発売ソフトとして、『GENJI』の続編である『GENJI -神威奏乱-』を発売。同作品は、2006年のE3にて初公開された。前作ユーザーがスムーズに移行・没入できるようにとの配慮からか、ゲーム中のグラフィックは、前作のものからほぼ進化させていない。また、日本の史実に基づいた内容と表明している一方で、ゲーム中に巨大蟹が登場するなど、次世代機ならではの前衛的な演出も見られる。特にE3発表壇上では、司会者が興奮のあまり、「ジャイアント・エネミー・クラブ!(巨大な蟹だ!)」と連呼してしまうほど、熱狂的に歓迎された。
宮部みゆきの同名小説『ブレイブストーリー』をベースとした、PSP向けRPG『ブレイブストーリー新たなる旅人』は、初週売上8238本を達成した。これは、ほぼ同時期に他社より発売された、他の2プラットフォーム向けの同名ゲームの売り上げを抑えての記録である。本作も週刊ファミ通シルバー殿堂入りを果たした。なお現時点では、売り上げ本数の多寡にかかわらずゲームリパブリックの送り出したゲームは、全て週刊ファミ通殿堂入りを果たしている。
これらゲーム開発のほかに、「総合学園ヒューマンアカデミー ゲームカレッジ」の学園長も兼務。自社製ゲーム(特にボードゲーム)を学習教材として積極的に導入することで、ゲーム専門学校における高度先進教育の実現を目指している。
その他
好きなものは、ボードゲームとエヴァンゲリオン(ただし氏が見ていたDVDは日本版とレーベル面の印刷が違うため、香港正規品という名の海賊版である)。 嫌いなものはアメリカ、英語、アメリカ人、そしてアメリカの飯。 またゲーム会社の社長であり、ゲーム専門学校の学園長であるにもかかわらず、TVゲーム自体は好きではないと公言してはばからない。
あだ名
- 『岡ちゃん』
- 『641本吉起』
- 『下痢パブ』(氏の運営するゲームリパブリック社の愛称)
主な開発作品
主な広報担当作品
- 『ファイナルファイト』シリーズ
- 『ストリートファイター』シリーズ
- 『GENJI』
- 『GENJI the best』(売上本数552本)
- 『ブレイブストーリー 新たなる旅人』(売上本数8238本)
語録
- アメリカ人も嫌いだけどアメリカも嫌いで、英語も嫌いっていう。で、アメリカの飯もさらに嫌いっていう状態なんですけど。(2006年のE3の印象を問われて)
- 利益面のデメリットを背負っても、Xbox360次世代機一本に絞っていきたい。(Xbox360参入の心意気を問われて)
- Xbox360のゲームソフト開発陣営には、日本のゲームクリエイターの主力艦隊が終結するだろう。(同上)
- (話す内容は)なんにも考えて来ていない。だって、考えても他の人と話す内容カブるでしょ?(ゲームソフト開発者向けセミナー壇上にて)
- いくらTVゲームのプレイが上手くても、プレイヤーが「かっこいい」と言わることはない。一方、ボードゲームの「カタン」においては、そのプレイが上手ければ、プレイヤーは「かっこいい」と言われるだろう。(ボードゲーム「カタン」発表壇上において)
- オレは負け戦だと思っている。(カプコン時代、ドリームキャストへのソフト供給について)
- 客商売という意味で、小洒落た餃子屋になりたい。(自らの将来像を問われて)
- 「ゲームが好きだからって、ゲームは作れないよ~ん。はっきり言ってココにいる4人、全員ゲームなんて好きじゃありませんよ」(それを聞いた飯野氏は「俺は好きだよ」と答える。間を入れず岡本氏)「あぁ、だからお前だけは二流なんだよ」(東京ゲームショウの公開対談において)
- メタルギアソリッドのプロモムービー見たんですけど、僕も開発チームに入れてって感じ。うらやましい、もう才能の差を感じちゃったっていうか。僕の時代じゃないと思っちゃいましたね。(E3カンファレンスを終えて)
- (現在開発中のGENJI2の)何処がどうマズイかと言うと「プレイが作業になってしまってる」「○○に○○する予定だったけど、ここに来てパス確定」「全体のボリュームに不安」「神威の調整不足」「カメラの調整」…書き出したらきりがない。(自身のブログにて)