峠の釜めし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
峠の釜めし(とうげのかまめし)とは、「荻野屋」が製造・販売する駅弁である。
目次 |
[編集] 歴史
「おぎのや」は1885年(明治18年)に荻野屋として創業(横川駅の開業と同時。なお、高崎~直江津間が全通したのは1893年(明治26年))。
信越本線横川駅~軽井沢駅間は、碓氷峠に阻まれ、1997年(平成9年)10月1日の長野新幹線開業までは、全ての列車がここで機関車の付け替えまたは補助機関車の連結を行っていた。そのため停車時間は長く、駅弁を販売するには絶好の環境であった。
峠の釜めしは、1958年(昭和33年)発売。前年に厚生大臣賞を受けたという記録がある。この頃、おぎのやは業績が低迷していたが、峠の釜めしがヒットを飛ばし、現在の隆盛へとつながるきっかけをつかむ。発売同年には天皇の富山国体への行幸列車への積み込みに採用され、1967年(昭和42年)にはテレビドラマのモデルになったこともあり、峠の釜めしは全国でも有名な駅弁の一つと数えられるようになった。
その後、モータリゼーションの進展を受けて、各地の駅弁業者は軒並み苦戦を強いられるようになる。しかしおぎのやは、1962年(昭和37年)にこれを逆手にとって国道18号線沿いに 「峠の釜めしおぎのやドライブイン横川店」を設置、そこで釜めしを販売するようにしたためドライバーたちにも受け入れられ、現在の隆盛に至っている。
現在では、上信越自動車道横川SA上り線、長野新幹線あさまの車内販売にも進出。なお、新幹線の販売は新鮮さを保たさせるため、高崎~軽井沢間の両駅に停車する列車のみ販売されている。また、全国各地の百貨店での駅弁大会の常連でもあり、横川駅での売上は総売上の1%にも満たない。
信越本線横川駅~軽井沢駅間、廃止前日となった1997年(平成9年)9月30日には史上最多の販売個数(9000個以上。一説によると1万個を突破したとの情報もある)を記録。同日ニュースステーションなど、報道番組でも峠の釜めしが取り上げられた。
[編集] 外観・内容
- 直径15cmほどの栃木県産の益子焼の釜に入った醤油味の炊き込みご飯である。
- 釜の上半分の上薬が塗ってある茶色い部分には「横川駅」「おぎのや」という文字が刻まれている。
- 釜の上には厚さ5mmほどの蓋が付いており、さらにその上に包装紙が被せられ紐で割り箸とともにくくりつけてある。
- 具は鶏肉、ささがき牛蒡、しいたけ、たけのこ、うずらの卵、紅生姜、栗、杏。
- 別に香の物が付く。
- また、皇室専用の釜めしがあり、しいたけではなく松茸が入っている。
[編集] 他の商品
なお、同社は他にもいくつもの弁当を販売している。主なものを記す。