恐怖の2番打者
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恐怖の2番打者(きょうふのにばんだしゃ)とは、プロ野球で使われる俗語。バントをしない2番打者とも呼ばれる。
主に日本の野球界での2番打者の役割というと、ランナーに出た1番打者を次の塁に進め、あるいは自らがどんな形でも塁にでて、クリーンアップに繋げる役目が一般的である。しかしバントなどをほとんどせず、長打をしばしば放つ2番打者が中には存在する。そういった選手のことが、俗に「恐怖の2番打者」と呼ばれる。
かつて豊田泰光(元西鉄)は2番で4番並の結果を残し、「恐怖の2番打者」と呼ばれたが、以降は存在しなかった。小川亨(元近鉄)や基満男(元西鉄)など2番打者で長打が打てる選手はいたものの、彼らは「堅実な打者」と言われ、繋ぎ役に徹していた。だが1990年代より主軸級の活躍をする2番打者が増え始め、カズ山本(元ダイエー)を皮切りに「バントをしない2番打者」が続々現れた。
その中でも特に小笠原道大(現巨人、元日本ハム)は球界でも屈指の最強打者の1人であったが、当時の日本ハムのビッグバン打線は田中幸雄、片岡篤史、シャーマン・オバンドー、ナイジェル・ウィルソンといった大物打者が数多くいたために打たせる打順が無くなり、本人も1番で結果が出せなかったことから上田利治監督は2番に据えたところ、大活躍し、2番打者のイメージを覆した。
近年は打高投低の傾向が強くなっている上に、2番打者に限らず送りバントを用いない戦法を取る監督が多いことから、大幅にこの手の選手が増加している。代表的な存在はアダム・リグス(ヤクルト)。古田敦也兼任監督に「ランナーを溜めて2番に繋ぐのがウチの勝ちパターン」とまで言わしめており、実質的な主砲として活躍している。
メジャーリーグにおいては、バントをしない長打力のある2番打者は特別珍しいものではない。特にビッグボール派のチームでは出塁率を重視するためバントは好まれない。