成歩堂龍一
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成歩堂 龍一(なるほどう りゅういち 1992年 - )はカプコンのゲーム『逆転裁判』シリーズに登場する架空の人物。
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[編集] 概要
逆転裁判シリーズの「逆転裁判」「逆転裁判2」「逆転裁判3」「逆転裁判 蘇る逆転」(以下、それぞれ「1」「2」「3」「蘇る~」)、及び同漫画版の主人公。現在開発中の「逆転裁判4」では主人公が代がわりし、第一話の依頼人かつ主人公の師匠の親友として登場をしている。
苗字の由来は「なるほど」。名前の由来は音楽家の坂本龍一。開発時は「爽果なるほど(そうか なるほど)」という名前だったが、その後現在の名前である成歩堂龍一におちついた。ゲームの開発そのものが紆余曲折したため職業や外見などが開発当初とは大きく違うものになったらしく、その辺りの事情については「1」の公式ページの開発者コラムに詳しい事が記載されている。
英語版での名前は"Phoenix Wright"だが、Phoenixはそのままフェニックス、不死鳥の事で「(不死鳥のように)何度も蘇る」事からの命名(「蘇る~」の第5話「蘇る逆転」の英語題は"Rise from the Ashes"つまり“灰の中から立ちあがる”であり、ここでも不死鳥とかけてある)。
ゲーム中の彼の声は、生みの親である巧舟自身によるものである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 人物
刑事事件専門の弁護士。2014年に勇盟大学芸術学部を卒業。法学部でないのは入学当初は法律家を志望していなかったため(芸術学部を選考した理由についてはゲーム中触れられた事がないがメディアワークスの書籍「逆転裁判ファンブック」でディレクターの巧氏から「シェイクスピア役者をめざしていた」と語られた)。その後、司法試験に奇跡的に現役合格して「綾里法律事務所」へ入所した。身長176cm、体重は不明だが特に痩せ過ぎでも太り過ぎでもない。生年月日は明確にされていないが1992年度(学校年度)生まれの筈で、2013年の4月11日の時点ですでに21歳である事などから誕生日は4月の2日~11日の間と考えられる。出身地・家族構成などの詳細は不明(兄弟はいないらしい。入所の際、事務所へ通うために引越して来ている事から、大学生の頃は離れた場所に住んでいたと思われる)。
服装は弁護士になってからはいつも青系のスーツに赤系(ディレクターの巧舟によればピンク)のネクタイ。特徴的なギザギザした髪型をしているが、これはセットしているわけではないらしい。本人曰く「小さいころからこんな髪型」で、小学生時代と大学生時代の彼の姿をゲーム中で見ることが出来るが確かに両時代でも同じ髪形をしている。劇中でこのギザギザの髪型についてはどちらかと言うとバカにした言い方をされる事が多く、やや外見にコンプレックスを持っているフシがある。
「3」では人物ファイルの中に彼自身の写真も含まれているが、「写真写りよくないね」などと評価はかなり悪い。本人も「撮り直した方がいいかも」と思っているらしい。
「4」では弁護士を辞め、自称ピアニストとなっている。但し、ピアノはたまにしか弾かず、実際は喫茶店でポーカーのプロとして活躍しており、7年間で一度も負けたことはないらしい。パーカーにトレードマークの髪型と眉毛を全部隠すニット帽(ニット帽にはPaPaの文字、「蘇る~」で宝月茜がつけているバッジに類似している物がついている)、さらに無精ヒゲとほとんど面影が残っていない姿で登場。この姿はファンに大きな衝撃を与えている。
好きなものは明言されていないがラーメンは豚骨、飲み物はグレープジュース、風邪薬なら“カゼゴロシ・Z”。嫌いなものは“裏切り”と“毒薬”、理由は本人曰く「最も卑怯で人を深く傷つけるから」。高所恐怖症でもある。機械は苦手で少ししか扱えない。車の免許は持っていない。電動自転車に乗る若者には批判的。考えが顔や目に出やすい性質らしく、他人に見抜かれる事が多い。
好きな女性のタイプなどは不明。女性を見て「綺麗な人だな」と思うことはあるようだが、特定の女性に好意を抱くことはないようだ。3で大学時代の彼が登場した際彼女がいたことが判明したが、ある原因により別れることとなる。
小学4年生の時、当時同級生だった御剣の給食費を盗んだ疑いをかけられ事は学級裁判にまで発展したが、被害者である御剣本人、そして同じく同級生だった矢張政志の弁護によって助けられた。これがきっかけで成歩堂は二人と親友になったが、程なくして御剣は転校して行ってしまう。大学の2回生の頃、転校して行ったきり会う事の無かった御剣が、弁護士になるという小学生の頃の夢とは正反対の検事になっている事、そして御剣の周囲で囁かれる黒い噂の事を知り、御剣に会うために自分が弁護士になる事を決意。3回生の頃に冤罪で殺人事件の被告人になってしまうが、後に師匠となる綾里千尋(あやさと ちひろ)の弁護によって無罪判決を受けた。
その後、上述の通り大学卒業と司法試験合格を経て「綾里法律事務所」に身を置く事となったが、所長である千尋がある殺人事件で死亡した事から千尋の妹・綾里真宵(あやさと まよい)と共に「成歩堂法律事務所」を設立する。
成歩堂の受け持った依頼人は、無実であるにも関わらず有罪判決寸前の絶体絶命のピンチである事が多い。しかし、成歩堂は些細な証言の矛盾も見逃さずにつっこみ、確たる矛盾を見つけられない時はハッタリをかます事で証言を引き出し、矛盾の証拠をつきつけることで殆どの案件で無罪判決を(ギリギリ)勝ち取っている。親友矢張を冤罪から救った最初の法廷にて、その様子を見ていた師匠の千尋から「恐怖のツッコミ男」とあだ名をつけられた。
推理物の主人公故か、『3』までに5件の殺人事件に巻き込まれており(『1』2話、『2』2・4話、『3』1・5話)、7年後の世界である『4』の第1話、さらに現在別冊ヤングマガジンにて連載されている漫画版の第3話でも殺人事件に巻き込まれた。
[編集] 生活、仕事
成歩堂の事務所は以前綾里法律事務所だった建物を、持ち主であった綾里千尋の希望もありそのまま受け継いだもの。事務所には受付と所長室が、そしてバスルームがある(ただし会話の中で存在が出てくるのみでグラフィックは無い)。所長室には千尋の遺品である法律関係の本や観葉植物(コルディリネ・ストリクターという種)のチャーリーくんなどが大事にそのまま置かれている。その所長室にはポスターが一枚貼られているが、これは時々貼り変えられている(タイトルが不明だが千尋が見て初めて泣いたという映画のポスター→トノサマンのポスター→元の映画のポスター)。ビルの向かいには「ホテル・バンドー」(旧・板東ホテル)がある。自宅についてはマンションであるという事以外不明。ゲーム本編において自室で就寝中にかかってきた電話に出るというシーンがあるが、真っ暗な中でセリフしか表示されなかった。
通常弁護士は同時に依頼をいくつも受け持つが、成歩堂はつねに1件ずつしか受け持たない(このゲームの世界の裁判は『序審法廷』で、最長三日で終わらせなければならないという事情もある)。今まで劇中で成歩堂が被告の弁護を担当した13の殺人事件(「1」でDL6号事件を含めて5件、「2」で4件、「3」で3件、そして「蘇る~」で新しく1件)の内、無罪判決を勝ちとったのは12件。数字の上では素晴らしい成績をあげているがそのわりに依頼は1ヶ月に1件来れば良い方で、「1」第3話の「どうしよう、今月の家賃…」と言う台詞や第4話で「(御剣に)今月の家賃も全額払ってくれ」と呟いていることからも判るようにその月の事務所の家賃も払えるか払えないかの状態。依頼人には御剣怜侍(検察官)やマキシミリアン・ギャラクティカ(世界的マジシャン)のような高額所得者もいるものの、真宵(霊媒師)や須々木マコ(警察官。後にウエイトレスに転職。その両方で一回ずつ成歩堂の弁護を受けた)のような低額所得者もおり、果ては矢張のような依頼料を払わない人物もいるため収入は(はっきりした記述はないが)あまり安定しているとは言えない。
仕事を選ぶタチと言うか、基本的に無実の人間の依頼にのみ応じる主義の持ち主である。こなす仕事の数がやけに少ないのは持ち込まれる依頼の絶対数が少ない事もあるかもしれないが、成歩堂の意思での取捨選択が影響している可能性も少なからずある。
ただし上記の担当事件数はあくまでゲーム中で担当した事件数である。「1」第4話の時点では「三件しか担当していない」という発言があるが「蘇る~」では以降二ヶ月の間に何件か依頼が来たという発言がある(もっとも全部断っていたが)ためそれ以降はゲーム中でみられない依頼を受けている可能性がある。ゲーム中でみられない案件でいくつ無罪判決を勝ち取ったのかは不明だが「2」第4話では「完全無敗の経歴」と言われているためおそらく一件も有罪判決を出していないものと思われる。
[編集] 関連人物
[編集] 成歩堂龍一に対する呼称
- 国内版 - 一人称は「ぼく」。以下に掲げるもの以外にも様々な呼称がある(リューイチくん、リュウちゃんなど)がここではメインキャラクターから呼ばれたものを記す。
- 「成歩堂さん」
- 依頼人など、一般的な呼称。「蘇る逆転」で助手役を務めた宝月茜の呼び方もこれであり、2代目主人公、王泥喜もこう呼んでいる。
- 「弁護士さん」
- 成歩堂と出会ったばかりの頃、真宵がこう呼んだ。
- 「なるほどくん」
- 千尋、真宵、春美からこう呼ばれる。
- 「なるほどさん」
- 弟子になるずっと前、依頼人だった成歩堂を当時新米弁護士だった千尋が緊張のあまり間違えてこう呼んだ。
- 「成歩堂」
- 矢張と御剣から。小学校からの知り合いである彼ら三人は苗字を呼び捨てにしあっている。
- 「成歩堂くん」
- 裁判長などの年長者からこう呼ばれる。
- 「弁護人」
- 審理中の呼ばれ方はこれが多い。
- 「弁護士」
- 「1」に登場した狩魔豪検事にこう呼ばれていた。
- 「成歩堂 龍一」
- 「2」で登場した狩魔冥検事にはフルネームで呼ばれた。その影響で他の人物(裁判長など)にも呼ばれたことがある。
- 「まるほどう」
- 「3」に登場したゴドー検事にはなぜかこう呼ばれた。
- 「ミスタ・ベンゴシ」
- 「1」で登場した小中からの呼び名。後にも先にもこう呼んだのは小中のみ。
- 英語版
- 「Nick」
- 英語版では親しい人からこう呼ばれる。