排他的経済水域
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排他的経済水域(はいたてきけいざいすいいき、EEZ, exclusive economic zone)とは、国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域のことを指す。沿岸国は国連海洋法条約に基づいた国内法を制定することで自国の沿岸から200海里(約370km<1海里=1852m>)の範囲内の水産資源および鉱物資源などの非生物資源の探査と開発に関する権利を得られる代わり、資源の管理や海洋汚染防止の義務を負う。
日本では1977年に改正された領海法と漁業水域に関する暫定措置法が施行されたことにより設定された。
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[編集] 排他的経済水域設定の経緯
海洋は自由航行の認められた公海と沿岸国の主権がおよぶ領海(外国船舶は無害通航権を行使すれば領海内でも航行できるが、沿岸国が設定する無害通航に関する法令の遵守を求められる)とに分けられる。領海について国によって様々な距離が主張された。多くは3海里ないし12海里であったが、中には200海里まで自国の領海であると主張する国が現れてきた。沿岸国に領海を認めることは慣習的に国際法として定着していたが、その距離については長年決着を見なかった。そこで国連が中心になり、沿岸国の権利と自由通航の確保を両立させるための条約制定会議が行われ、その結果定められたのが国連海洋法条約である。
つまり、排他的経済水域とは、沿岸国の権利と自由通航の確保という矛盾する要請を同時に満足させるための方策として考え出されたものである。200海里もの広範な領海を設定していた国の主張を経済的主権に限定して認める代わり、自由航行のできる水域を確保したのである。
排他的経済水域において全ての国は、航行、上空飛行、海底電線・海底パイプラインの敷設、が出来る。
[編集] 接続水域
同条約によって領海から12海里以内の排他的経済水域内では、その国にとって必要な法規制・通関の取締りを行うことが認められている。これを接続水域という。
[編集] 日本の領海・EEZ面積は世界第6位
日本の国土は約38万km2で、世界第60位だが、領海、EEZの広さでは世界6位である。水域面積は広大で、領海(含:内水)とEEZを合わせて約447万km2となる。[1]。日本は漁業や海運などが盛んな海洋国家でもあり、狭い島国などと固定観念を抱いていたとしたらそれは間違いであると言っても過言ではない。
[編集] EEZ領域の各国比較
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[編集] 日本の排他的経済水域設定の根拠となっている法律
- 排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律(漁業主権法)
[編集] 排他的経済水域と領土紛争
領土の基線から200海里を排他的経済水域とできることから、沿岸国の注目するところとなり、各地で領土紛争が起きている。
排他的経済水域の価値を知ってもらうためにひとつ数字を示す。日本の国土は約38万km2で世界第60位だが、領海とEEZを合わせた水域面積で約447万km2を有し、あわせて地球上の約485万km2を占める事となり、これは世界で第9位である。このように排他的経済水域を設定できるか否かで大きな開きが出る。日本最南端の沖ノ鳥島では、侵食が進んでいた岩礁をコンクリートやブロックで固めて補強する工事が行われたが、それも排他的経済水域を維持するためだった。海岸の管理を東京都から国に移し(直轄化)てまで工事を実施するぐらい、排他的経済水域の価値は大きいのである。
そのために今まで不明確だったり曖昧にされていた島々や、領有が確定していた島々でさえも歴史的経緯などを持ち出して領有を主張する国が現れてきて、領土紛争を引き起こしている。
[編集] 日本の排他的経済水域に係わる問題
[編集] 世界の排他的経済水域に係わる領土紛争等
- 南沙諸島(スプラトリー諸島)
- 西沙諸島(パラセル諸島)
- カステロリゾ島
- グリーンランド
- グリスバダルナ
- グリスバダルナ
- クリッパートン島
- クレタ島
- サモス島
- ティモール島
- パルマス島
- フォンセカ湾
- マンキエ・エクレオ諸島