救援車
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救援車(きゅうえんしゃ)とは、鉄道事業者が使う事業用車両の一つである。災害、鉄道事故や除雪現場などに出動し、枕木等の応急復旧資材や工作機械の保管・運搬、作業員の休憩所代わりに用いられる。
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[編集] 車両
ほとんどの場合、営業用としては古くなった車両を改造して製作される。また、廃車した車両の台車や機器などを用い、車体を新製する場合もある。
[編集] 車両内部
車内のスペースは、資材の積載スペース、作業員の休憩スペース、簡易な厨房設備、トイレなどからなる。スペースの配置や規格については、車種や配置先の実態などにより大きく異なる。
[編集] 出動機会
現在は道路網が充実しており、災害などの緊急時には機動性のあるトラックや自動車等で現地に駆けつける場合がほとんどである。このため、救援車が出動する機会は道路から離れた場所での災害、事故に限られており、実際に使用することは極めて稀な事態とも言える。都心部では廃車が進み必要最小限度の保有となっており、残存する車両も側線で、朽ち果てるように留置されているのが現状である。
[編集] 事業者別の救援車
[編集] 国鉄・JR
旧日本国有鉄道および現在のJR各社における記号は「エ」。ほとんどが旧型客車車両や用途廃止された荷物車、郵便車を流用・改造している。このため種車はバラバラで、同じ形式でも外見や内部の形状が異なる場合が多い。窓は、元の種車と比べると、塞がれるなどの改造が施されているためピッチは不連続になっている。また、側扉は片側2以上が配置される。扉や窓に鉄格子が嵌っていることも多いことから外見は荷物車に似る。塗装色は茶色かブドウ色。側面に白文字で「救援車」と書かれている場合もある。
国鉄末期の1986年に郵便荷物輸送が廃止になり、製造から10年に満たないにもかかわらず余剰となった50系客車のマニ50やスユニ50を救援車代用として使用する事になったため、車齢の古い旧型客車の救援車は一掃された。尚、救援車代用貨車は現在も各所に配置されている。
[編集] 主な救援車
[編集] 過去に存在した国鉄の救援車
- 電車
- クモエ21
- クエ28
- 客車
- 貨車
- エ810
- 新幹線車両
- 941形
[編集] 京浜急行電鉄
京浜急行電鉄では旧1000形を改造したクト1形を2両保有する。
[編集] 阪神電気鉄道
阪神電気鉄道では、旧型電車からの転用ではなく1987年に新造された救援車が存在する(110形)。両運転台を持つが、制御車であり動力装置は持たず単独運転することはない。営業用車両の前後に連結されて、事故現場へ復旧資材の運搬等を行う。外観はコバルトブルーで正面にバーミリオンの赤帯が入る。
- 110形(110号とも)
- 155形(廃車)
[編集] 阪急電鉄
阪急電鉄では920系を改造した4050形救援車を4両保有している。動力装置は持たず、営業用車両で救援車を牽引する。
[編集] 山陽電気鉄道
山陽電気鉄道では旧2000系の3550形を改造した1500号救援車を保有する。
[編集] 西日本鉄道
西日本鉄道では600形を改造したモエ901-クエ902の2両固定編成の救援車を筑紫車両基地に配置している。固定編成での自走が可能である。