山陽電気鉄道
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
略称 | 山陽、山電、山陽電鉄、山陽電車 |
本社所在地 | 653-0843 兵庫県神戸市長田区御屋敷通三丁目1番1号 |
設立 | 1933年6月6日 |
業種 | 陸運業 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 他 |
代表者 | 代表取締役社長 天野文博 |
資本金 | 100億9,029万158円(2005年3月31日現在) |
売上高 | 196億円(2004年度・単独) |
従業員数 | 993人(2005年3月31日現在) |
主要株主 | 2002年3月31日現在 阪神電気鉄道株式会社 16.9% 株式会社三井住友銀行 5.0% |
主要子会社 | 2006年3月31日現在 株式会社山陽百貨店 大阪山陽タクシー株式会社 株式会社山陽フレンズ 山陽タクシー株式会社 山電サービス株式会社 株式会社神戸山陽バス 上記主要6社はじめ計22社が連結子会社 |
外部リンク | www.sanyo-railway.co.jp/ |
山陽電気鉄道株式会社(さんようでんきてつどう、英称 Sanyo Electric Railway Co.,Ltd.)とは、兵庫県南部で神戸と姫路を結ぶ鉄道と、神戸市垂水区を中心に沿線都市で路線バスや、沿線都市と他都市を結ぶ高速バスを運営している会社。準大手私鉄に分類されている。
本社は兵庫県神戸市長田区御屋敷通3丁目1番1号。自動車営業本部は神戸市垂水区清水が丘2丁目10番22号。 通称は「山陽(さんよう)」または「山電(さんでん)」。 大証1部に上場している(証券コード9052)。
スルッとKANSAIでカードに印字される符号はSYである。
目次 |
[編集] 沿革・歴史
旧・兵庫電気軌道に由来する兵庫~明石間の軌道と、旧・神戸姫路電気鉄道に由来する明石駅前(現在の山陽明石)~姫路駅前(現在の山陽姫路)間の鉄道が路線の母体となっている。
先行して開業した兵庫電気軌道(以下、兵電)は、開業以来経営が不安定な面があり、明石以西への延長の際に別会社・神戸姫路電気鉄道(以下、神姫電鉄)を設立することでリスク回避を図った。しかし、播州鉄道(現在のJR加古川線の前身)経営陣による兵電の敵対的買収により、播州鉄道傘下となった兵電と旧兵電派の神姫電鉄は疎遠となった時期もあった。
それらの混乱収拾と併せて自社の売電先確保を狙った戦前の大手電力会社・宇治川電気(関西電力の前身の一つ)が両社を併合、自社の鉄道事業部門とした。のち、宇治川電気が本業への絞り込みにより鉄道部門を分離した際に新たに設立されたのが、現在の山陽電気鉄道である。なお、この時代、後に作家となる椎名麟三が昭和4~6年(1929~1931年)にかけて車掌として勤務しており、その経験をもとに「美しい女」という短編を発表した。現本社前には椎名麟三の文学碑が建立されている。
合併前2社の路線規格の相違など困難な条件を克服して直通運転を実現。県庁所在地の神戸と、播磨の中心地である姫路とを直結する都市間連絡路線へと成長した。さらに、1940年には沿線での工員輸送を目的に支線の網干線を開通させている。
戦後は近隣にある川崎車両→川崎重工業が協力し大型車両の採用や先進的な設計の電車の投入など積極性を発揮、特に1962年には高速電車としては日本初のオールアルミニウム車を導入している(逆に川崎重工が山陽の路線をテストに使うこともあるなど両者の関係は密接であった)。また戦後も長年にわたって神戸市内における併用軌道区間(路面走行区間)が残存していたが、1968年には神戸高速鉄道の地下線直通を開始して併用軌道を廃止した。併せて京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)および阪神電気鉄道からの直通列車乗り入れが行われるようになり、三宮・大阪方面との結びつきが強められた。
1970年代に入ると沿線の重工業地帯において、ことに製鉄業の低迷傾向が顕在化した。網干線の建設理由であった新日本製鐵(富士製鉄←日本製鐵)広畑製鉄所の高炉群の休止とそれに伴う大規模なリストラなどは、山陽電鉄の経営にも大きな打撃を与えた。また沿線に郊外地域が多いという条件から、モータリゼーションの影響も深刻となってきた。その上、神戸市内及び明石駅近辺までJRの山陽本線と完全に並行していることから、神戸・明石市内では山陽電鉄より速くて運賃も安いJRに乗客が奪われつつある。またJR線と離れる明石~姫路間の利用者も、両社の駅が接する明石や垂水などでJR線へ大きく流出する現象が見られる。このため「1dayチケット」などの企画切符を発売して、乗客の逸走防止や新規獲得を目指している。
全駅の自動改札化、網干線のワンマン化、主要駅以外の各駅の巡回駅化(実質的な無人化。係員の定期的巡回とモニタカメラ遠隔監視を行う)、普通列車の一部の編成短縮、など徹底的な合理化を実施し、一方で阪神・淡路大震災後に積極策として企画された阪神梅田への直通特急運行を実現して一定の成功を収めている。しかし、山陽電鉄沿線から神戸市中心部に行くためには必ず神戸高速鉄道、大阪方面に行くためにはさらに阪神電気鉄道または阪急電鉄の運賃が加算されるため、これがJRとの競争の足かせになっているとの指摘も多い。
神戸高速鉄道の開業以降は、阪急電鉄と阪神電気鉄道がそれぞれ山陽電鉄の発行済み株式総数の5%を保有していたが、1998年に阪急が山陽区間への乗り入れを休止した後、阪急が阪神に保有株式を売却したため、現在は阪神電気鉄道が筆頭株主となっている。ただし、2006年10月1日付けで阪神電気鉄道は阪急電鉄とともに阪急阪神ホールディングスの100%出資子会社となり経営統合している。
- 1933年(昭和8年)6月6日 山陽電気鉄道を設立。宇治川電気の軌道と鉄道を継承。
- 1936年(昭和11年)5月1日 神明自動車の路線を引き継ぎバス事業を開始。
- 1941年(昭和16年)7月6日 網干線が全通。
- 1968年(昭和43年)4月7日 神戸高速鉄道を経て阪急電鉄・阪神電気鉄道と相互直通運転開始。
- 1998年(平成10年)2月15日 阪急電鉄との相互直通運転を中止。阪神梅田~山陽姫路間を結ぶ直通特急を運転開始。
- 2005年(平成17年)1月27日 貸切バス事業の一部と高速バス3路線(学園都市~徳島線、三宮・学園都市~阿波池田・井川線、垂水~三宮線の一部の便)の運行を100%出資子会社の神戸山陽バスに移管。
- 2007年(平成19年)3月29日 7月2日に兵庫電気軌道から創立100周年を迎えることを機にロゴマークを変更。
[編集] 鉄道事業
[編集] 路線
[編集] 車両基地
- 東須磨車庫
- 東二見車庫
- 飾磨車庫
[編集] 車両
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山陽5000系(直通特急「大阪ライナー」)現在はタイガースの副標識以外の副標識の取り付けは行われていない。
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かつては車体の上半分をクリーム色、下半分を紺とした阪神電気鉄道の「ジェットカー」(青胴車)と似たような塗装だったが、現在の塗装はアルミ車が赤帯のみ、鋼製車がアイボリー地に赤と黒の帯である。この鋼製車塗装が「田舎電車の趣がある」という向きもあり、旧塗装への愛着を捨てきれない層もある(スルっとKANSAIが発売するここ最近のグッズの中にはこの旧塗装をモデルにしたものが幾つかある)。なおこの旧塗装は現在、山陽タクシーが使っている。
車両の機器類は長らく富士電機の制御装置と三菱電機のモーターという組み合わせだったが、5030系だけは制御装置もモーターも富士電機のものを使用している。
現有車両
過去の車両
過去の車両発達過程については山陽電気鉄道の旧型電車の項を参照のこと。
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児は半額・10円未満切り上げ)。2004年12月1日現在。
キロ程 | 運賃(円) |
初乗り2km | 150 |
3~4 | 180 |
5~7 | 230 |
8~10 | 290 |
11~13 | 360 |
14~17 | 430 |
18~21 | 500 |
22~25 | 550 |
26~29 | 600 |
30~34 | 650 |
35~39 | 680 |
40~44 | 710 |
45~49 | 740 |
50~54 | 770 |
55~60 | 790 |
[編集] その他
- 2007年2月現在、ウェブサイト上での運行情報提供は行っていない。
[編集] バス事業
[編集] 概要
関西のバスでは珍しく分社化されておらず自動車営業本部の管轄である。所在地は〒655-0031 神戸市垂水区清水が丘2丁目10番22号で、ここに車庫も置かれている。
路線バスは、神戸市垂水区のほぼ全域と明石市西部を営業エリアとしている。垂水地区の路線は、鉄道駅の連絡などのために神戸市須磨区・西区・明石市にも少し乗り入れる。利用者はかなり多い。また、2006年10月1日から明石市交通部が二見地区で運行していた路線の移譲を受け、新たに二見線として運行を開始した。通称名の山陽バス(さんようばす)で呼ばれることが多いのも特徴。
神戸市営バスと競合の末、陸上交通事業調整法に基づき戦時買収された神明自動車(神戸バス)が前身であり、神戸市に買収されず取り残された部分が山陽電鉄に合併・継承された。従って、今日まで神戸市営バスとの棲み分けがなされている。なお、近年まで狭隘路線が多かったため、車掌が乗務していた。全てワンマン化されたのは1997年5月である。
同社の路線バス車両は全車いすゞ製であるのが特徴である。これはかつて、いすゞ車の車体架装を同社と密接な関係の川崎重工が行っていたためで、わずかな西日本車体製の車両を除き、いすゞ車はほとんど全ての車両を純正車体で導入している。但し高速バスにはふそう車や明石市委託のコミュニティバスでは日野車なども存在している。他に、坂道の多い地理的背景から、エンジンの出力が高い(280~300PS)車両が多いことも特筆されよう。
[編集] 路線
[編集] 高速バス
おにおん60・明石海峡大橋シャトル便・垂水~三宮線が座席定員制(予約不要)である以外は座席指定制である。
- すだち120
- おにおん60
- 明石海峡大橋シャトル便(座席定員制)
- 垂水~三宮・神戸空港線(座席定員制)
以下の路線(神戸山陽バスへ運行移管した路線)は、予約・発券業務のみを行う。
- 阿波やまびこライナー
- すだち90
- 学園都市駅前・高速舞子~鳴門公園口(徳島行のみ停車)・高速鳴門・松茂(徳島とくとくターミナル)・徳島駅前
- 運行会社:神戸山陽バス・徳島バス(愛称:エディ)
[編集] かつて運行されていた高速バス路線
- 神戸・姫路~熊本(熊本電鉄と共同運行)
[編集] 一般路線
主な系統(☆印の系統は神戸市営バスとの共同運行路線)
垂水線
- 1系統 垂水駅→歌敷山中学校→霞ヶ丘小学校→垂水駅(循環系統で車輌が限定されている。)
- 2・9系統 垂水駅~星陵高校前~清水が丘(9系統は8時台~17時台、旧道経由垂水駅行きのみ運行)
- 3系統 垂水駅~星陵高校前~ゴルフ場
- 4系統 垂水駅~上高丸団地~ゴルフ場~清水が丘(垂水駅行は一部本多聞介護センター前が始発)
- 5系統 垂水駅~上高丸団地~ゴルフ場~掖済会病院~学が丘~奥畑~名谷駅
- ☆48・171系統 垂水駅~星陵高校前~舞子高校前~学園都市駅(実質48系統は山陽電鉄バス、171系統は神戸市営バスが担当)
- ☆59系統 垂水駅~星陵台~舞子駅
名谷線
- 10系統 垂水東口~上千鳥(中型車輌限定)
- 11系統 垂水東口~学が丘~学園都市駅
- 12系統 垂水東口~名谷小学校前~名谷駅
- 13系統 垂水東口~なめら~つつじヶ丘~名谷駅 (2005年7月に新道経由から路線変更)
- 14系統 名谷駅~学が丘~学園都市駅(舞子高校前)
- ☆15系統 青山台~奥畑~名谷駅(神戸市営バスは北須磨高校回り)
- 22系統 つつじが丘→桃山台→掘割→垂水東口(朝ラッシュ時の垂水東口行きのみ運行)
- 23系統 つつじが丘~桃山台~青山台~垂水東口
- 30系統 松風台→塩屋北町循環
舞子線
- ☆50系統 学園都市駅~明舞北センター~朝霧駅
- ☆51系統 舞子駅~県商前~舞子高校前~学園都市駅
- ☆52系統 舞子駅~明舞北センター~朝霧駅
- ☆53系統 舞子駅~舞子高校前~学園都市駅
- ☆54系統 舞子駅~多聞団地センター~学園都市駅
- ☆55系統 朝霧駅~神陵台~伊川谷高校前(神陵台~伊川谷高校前は整理券区間)
- ☆56系統 学園都市駅~学園緑ヶ丘
- ☆191系統 舞子駅~西部障害者センター~掖済会病院~舞子駅(循環路線、いすゞエルガ限定)
二見線(運賃は乗車区間により180円~220円)
- 70系統 JR土山駅南口~山陽西二見駅~南二見人工島~山陽西二見駅~JR土山駅南口(朝・夕方・夜運行)
- 71系統 山陽西二見駅~JR土山駅南口~山陽東二見駅~山陽西二見駅~南二見人工島~山陽西二見駅(昼間運行)
[編集] 明石市コミュニティバス(Tacoバス)
明石市が大久保・魚住地区で試験的に運行していた路線を、2006年4月1日より正式な路線として運行を開始した明石市の委託路線。
車両は、すべて日野・リエッセ
- 1ルート JR魚住駅→青葉台→守池住宅→JR魚住駅(一方向循環・運賃100円均一)
- 2ルート JR魚住駅→清水西→JR魚住駅(一方向循環・運賃100円均一)
- 3ルート JR魚住駅~江井ヶ島~(魚住方面:山陽中八木駅経由・大久保方面:大久保浄化センター南経由)~明石医療センター~JR大久保駅・南口(運賃は乗車区間により100円~200円)
[編集] 関連会社
JR山陽本線などの前身にあたる山陽鉄道や、山口県にあった路面電車の山陽電気軌道、およびその後身のサンデン交通と通称が似ているが全く関連はない。
[編集] 野球チーム
1950年から1952年の3年間、プロ野球の独立二軍チーム「山陽クラウンズ」を保有していた。
[編集] 外部リンク
大手私鉄 | ※☆阪急電鉄・☆※阪神電気鉄道・☆京阪電気鉄道・☆南海電気鉄道・近畿日本鉄道 |
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中小私鉄・第三セクター等 | ☆※能勢電鉄・☆※北大阪急行電鉄・☆大阪府都市開発(泉北高速鉄道)・☆※神戸電鉄・☆神戸高速鉄道・☆北神急行電鉄・☆山陽電気鉄道・☆神戸新交通・☆大阪高速鉄道(大阪モノレール)・京福電気鉄道・比叡山鉄道・叡山電鉄 |
公営地下鉄 | ☆大阪市交通局・☆神戸市交通局・☆京都市交通局 |
公営バス(外郭団体を含む) | ☆大阪市交通局・大阪運輸振興・高槻市交通部・尼崎市交通局・尼崎交通事業振興・伊丹市交通局・神戸市交通局・神戸交通振興・京都市交通局 |
民営バス | ☆※阪急バス・※阪急田園バス・近鉄バス・南海バス・南海りんかんバス・南海ウイングバス金岡・南海ウイングバス南部・☆大阪空港交通・京都バス・☆京阪バス・京阪シティバス・京阪宇治バス・山陽電気鉄道・※阪神電気鉄道・※阪神バス・神鉄バス・★神姫バス・★神姫ゾーンバス・和歌山バス・和歌山バス那賀 |
関西圏での参入予定社局 | ☆京阪京都交通・★奈良交通・★エヌシーバス |
関西圏外の事業者 | ★岡山電気軌道・★両備ホールディングス(両備バス)・★下津井電鉄 |
関西圏外での参入予定社局 | ★静岡鉄道・★しずてつジャストライン |
相互利用 | ★JR西日本(ICOCA) |
- 記号の意味
- ☆印の社局はPiTaPa加盟社局。
- ★印はPiTaPaのみの加盟社局・相互利用対応(スルッとKANSAIは非対応)。
- ※印の社局は阪急阪神東宝グループ。
- 無印の社局はスルッとKANSAIのみ対応。
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