日本人
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日本人(にほんじん・にっぽんじん)とは一般に以下のいずれかの分類の人々を指す。
- 国家的分類:日本の国籍を有する者。日本国民。日本民族。
- 民族的分類:日本列島に土着の民族であって、文化、言語(日本語)、歴史などを共有する人々。日本民族ともいう。
- 人種的分類:また日本列島の住民の多数派の遺伝的特徴であるモンゴロイドを基準として、人種的、血統的な基準から、文化的・民族的なアイデンティティを異にする人も日本人と呼ぶ場合もあるが、それらの場合日本国民であることを基準とする。
アメリカのような多民族国家と異なり、日本のように一民族が大多数を占める国では、国籍としての日本人と民族としての日本人とが混同される傾向にある。
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[編集] 日本人のルーツ
日本における人類の、確実な最も古い人骨の年代は、2万年前から3万年前の氷河期の時代にさかのぼる。この人々の末裔は縄文時代の人々に直接連なると考えられているが、縄文時代の間も日本列島外部からの人類の渡来があり、混血があったとも考えられている。
縄文人の人骨から遺伝子を採取し、世界各地の遺伝子と対象比較をするとシベリア北部の先住民と近いことがわかる。氷河期に入るまではシベリア北部の気候は夏場は大型動物、草木が生える程度は温暖であり、氷河期に入った時代からの人の生活の痕跡が見つからないことやシベリア特有の石器である楔形石核などの遺跡がシベリア北部から日本列島にかけて弧を描くように見つかっていることから、シベリア北部が氷河期に入って住むことができなくなったために、シベリア北部から樺太を通り、北海道、本州に来たものと考えられる。
氷河期の時代には北の海は氷で覆われ、樺太、北海道、本州はそれぞれつながっていたために、移動が可能だったということも明らかになっている。それに加え、南海から渡来したオーストロネシア語族、さらに中国の長江下流域から照葉樹林文化を携えて渡来した集団など幾派もの移住が重層して形成されたと考えられる。
その後、縄文末期・弥生時代から、大陸から多くの人々が日本列島に移住し、日本列島の在来の人々と交わっていったものとされる。日本列島に渡来した人々の主流は、最近の遺伝子研究では北東アジア起源が有力である。渡ってきた人々は縄文人の流れをくむ人々に比べて明らかに数が多く、日本人のルーツを比較的多く占めている。渡来した人々(弥生人)の集団は在来の縄文人などと混ざりながら西日本から拡大していき、大和政権などの社会が出来ていった。最後に大量の渡来があったのは、白村江の戦いがあった時期である。このとき、日本の同盟国百済から多くの亡命があった。これらはいずれも古代日本における渡来であり、日本人を形成する一部となった。その後帰化、同化していったと思われる。歴史的にもこの頃に、「日本」という枠組みの原型が成り立っていく(明確な自己認識としては、最も遅くて明治時代ともいわれる)。渡来系の人々は主に九州北部や山陰地方から広がったため、地域によって身体的形質や文化にも違いがあると言われ、日本人の二重構造として明治時代から既に指摘されている。とはいえ個人差や地域間移動の影響も大きいため、一般的な印象としては決定的な地域差が感じられるほどではない。遺伝子的にも比較的均一である。
日本人は見た目も言語も遺伝子的にも大差がない同一性のある民族であるため、単一民族と捉えられる場合が多い。ただアイヌや琉球、近代以後に入国した朝鮮系・中国系の人々なども、独自のアイデンティティをもって暮らしている場合がある。
[編集] ニュースなどの扱い
外国で交通機関などの大きな事故(飛行機の墜落、列車の脱線など)や火災、テロなどの大きな出来事が発生すると、多くの場合「乗客(死傷者)に日本人がいるか、現地の日本総領事館で調べています」と報道される。このケースでは国籍的意味の日本人と考えられる。
この扱いについてはごく一部に批判があるが、外国で同様に他国で発生した大きな事故を報じる場合、自国民の安否の報道は行われている。
[編集] 外地保有時代の日本人
日本がかつて外地を保有していた時代にあっては、日本人という語は朝鮮人、台湾人などの日本国籍を付与された外地の先住民族を含む国籍的概念であった。大日本帝国が多民族国家であることは強く意識され、現在の日本国民に相当する人々は内地人と呼ばれた。
南樺太に住んでいたロシア人、ポーランド人、ウクライナ人、ドイツ人、朝鮮人、ウィルタやニヴフのなかには、日本国籍をもっていたものもいた。そのため、終戦後ソ連によって「日本人」として北海道に強制送還された朝鮮人、ウィルタ、ニヴフがいた。また反ソ分子として抑留された者もいた。ポーランド人日本国民の多くはポーランド国籍を取得しポーランドに移住した。
[編集] 身体的特徴
日本人の標準体型(国民健康・栄養調査報告 平成15年度)