旧制歯科医学専門学校
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旧制歯科医学専門学校(きゅうせいしかいがくせんもんがっこう)は、太平洋戦争前の旧学制における歯科医師養成学校である。戦前は歯科医師養成は大学レベルでは行われなかった。
修業年限は4ないし5年で、最初の2年を基礎医歯学教育、残る2-3年を基礎医歯学教育にあてた。卒業生には学校名を冠した歯科医学士(例えば東京歯科医学士、大阪歯科医学士)の称号が与えられた(東京高等歯科医学校は、歯科得業士の称号を与えた)。
[編集] 歯科医学専門学校の一覧
官立の東京高等歯科医学校を除きすべて私立であることが特徴である。また、設立年月はすべて専門学校令による学校の設立。
- 私立東京歯科医学専門学校(1907年9月設立・現東京歯科大学)
- 私立日本歯科医学専門学校(1909年8月設立・現日本歯科大学生命歯学部)
- 私立大阪歯科医学専門学校(1917年9月設立・現大阪歯科大学)
- 私立九州歯科医学専門学校(1921年7月設立・福岡県に移管され、現九州歯科大学)
- 私立日本大学専門部歯科(1921年4月、東洋歯科医学専門学校(1916年設立)を合併し日本大学歯学医学校設立。1934年、日本大学専門部歯科と改称。現日本大学歯学部)
- 私立日本女子歯科医学専門学校(1922年7月設立・廃校)
- 私立東洋女子歯科医学専門学校(1926年設立・廃校)
- 官立東京高等歯科医学校(1928年10月設立・現東京医科歯科大学歯学部)
[編集] 戦後のA級B級判定
戦後になり歯学教育が大学に一本化されることになり、GHQは各歯科医学専門学校の調査を行い、A級と判定した学校は旧制大学に昇格させ、B級と判定された学校は廃校とされた(これは医学専門学校も同じである)。その結果、東京歯科医専(現東京歯科大学)、日本歯科医専(現日本歯科大学生命歯学部)、大阪歯科医専(現大阪歯科大学)、日本大学専門部歯科(現日本大学歯学部)、東京医学歯学専門学校歯学科(現東京医科歯科大学歯学部)はA級と判定され旧制大学に昇格し、間もなく学制改革により新制大学に移行した。福岡県立医学歯学専門学校歯学科は、同校医学科とともにB級と判定されたが、医学科を廃して新制大学として新たに九州歯科大学の設置申請を行ない、認められた。以上の6校は旧六と呼ばれ、現在でも結びつきが強い。東洋女子歯科医専、日本女子歯科医専はB級と判定され歯学教育が出来なくなり、戦後特設高校となった。東洋女子歯科医専は旧制東洋高等学校を経て東洋女子短期大学英語科として再出発し、東洋学園大学となった。日本女子歯科医専は旧制日本高等学校を経て日本女子衛生短期大学となり歯科衛生士の養成校となったが、昭和39年に短期大学と並んで神奈川歯科大学を開設した。