東中野修道
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東中野 修道 (ひがしなかの しゅうどう、昭和22年(1947年)-)は、吉田松陰をはじめとする幕末政治思想や、「南京事件/南京大虐殺」問題を研究する歴史研究者・著述家で,亜細亜大学法学部教授。 日本「南京」学会会長。一般には南京大虐殺に否定的な研究者として知られる。専門は元々、日本思想史、東ドイツ史であり中国研究の専門家ではなかった。
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[編集] 経歴
1971年鹿児島大学法文学部卒。1977年大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学後、西ワシントン大学客員教授、ハンブルク大学客員研究員を歴任。現在、亜細亜大学法学部教授(政治思想史、日本思想史、政治思想史)。1995年、東ドイツシュタージ(国家保安省)に関する研究で、立正大学にて博士(文学)を取得。
2001年、著書『「南京虐殺」の徹底検証』の記述をめぐり、1937年12月13日に南京南東部の2家族11人(13人とも)が襲われ、皆殺しにされた事件の生存者であると主張する夏淑琴から、名誉毀損で提訴された。審理は南京市の地裁で行なわれたが、出版元の展転社と東中野は共に出廷しなかった。夏は2006年7月、東京地裁に提訴。同年8月、中国・南京市の玄武区人民法院により、東中野の賠償金支払・謝罪広告掲載・出版差し止めを内容とする判決が出された(但し、日中両国間に司法に関する協定が締結されていない為、判決の執行力は日本には及ばない)。 2007年には映画南京の真実製作記者会見に出席し、南京大虐殺虚構論証明への意気込みを語った。
2003年、論文「南京『虐殺』―第二次国共合作下のプロパガンダ」において、日本軍が南京を占領した1937年12月以後約3年間の中国国民党の宣伝工作を記録した『中央宣伝部国際宣伝処工作概要』(1941年)が台湾で発見されたと発表。同文書では南京の虐殺の有様を著述したイギリス紙記者ハロルド・J・ティンパーリの著作内容が紹介されており、このことからティンパーリの著作は中国国民党の宣伝書籍であり、また「南京大虐殺」の根拠は崩れたという主張を展開している[1]
2005年には著書『南京事件「証拠写真」を検証する』において、「南京大虐殺」の証拠とされている写真のほとんど全てがトリックや捏造であった主張し話題となった。一方で同書は虐殺肯定派の研究者である笠原十九司らによって批判されており、学界・論壇では継続的に論争が行なわれている。
2007年3月、民主党「南京事件の真実を検証する会」で“国際委員会、英米の領事、国民党中央宣伝部などの文書を検証した結果、日本兵個人の不祥事はあったが、蒋介石政府ですら非戦闘員の虐殺があったとは言っていない”と結論づけた(産経新聞蔣介石秘録取材班・編『蔣介石秘録』第12巻「日中全面戦争」で蔣自身が“あった”旨語った事実を無視している)。
旧東ドイツ事情に関する著書もある。
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『国家破産――東ドイツ社会主義の45年』(展転社, 1992年)
- 『東ドイツ社会主義体制の研究』(南窓社, 1996年)
- 『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社, 1998年)
- 『1937 南京攻略戦の真実――新資料発掘』(小学館文庫, 2003年)
- "The Nanking Massacre: Fact versus Fiction, A Historian's Quest for the Truth" (Tokyo: Sekai Shuppan, 2005)
- 『南京事件――国民党極秘文書から読み解く』(草思社, 2006年)
- 『南京「百人斬り競争」の真実』(ワック, 2007年)
[編集] 共著
- (藤岡信勝)『「ザ・レイプ・オブ・南京」の研究――中国における「情報戦」の手口と戦略』(祥伝社, 1999年)
- (小林進・福永慎次郎)『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社, 2005年)
- 西尾幹二編『新・地球日本史(2)――明治中期から第二次世界大戦まで』(扶桑社, 2005年)
[編集] 学術論文
- 「吉田松陰の忠の思想」(『日本思想史学』第23号、1991年、日本思想史学会)
- "The Over All Pictures of 'Nanking Massacre', in Nanking 1937 (New York: M.E.Sharpe, 2001)
- "Nanking Massacre as War Propaganda Keeping Still Alive, in The 29th International Congress of Military History: War, Military and Media from Gutenberg to Today" (Bucharest: Military Publishing House, 2004)
[編集] 編著
- 『南京「事件」研究の最前線――日本「南京」学会年報 平成14年版』(展転社, 2002年)
- 『南京「事件」研究の最前線――日本「南京」学会年報 平成15年版』(展転社, 2003年)
- 『南京「事件」研究の最前線――日本「南京」学会年報 平成16年版』(展転社, 2004年)
- 『南京「事件」研究の最前線――日本「南京」学会年報 平成17・18年合併版』(展転社, 2005年)
- 『南京「事件」研究の最前線――日本「南京」学会年報 平成19年版』(展転社, 2007年)
[編集] 訳書
- ハインリッヒ・デュモリン『吉田松陰――明治維新の精神的起源』(南窓社, 1988年)
[編集] 注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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