幕末
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日本の歴史 |
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幕末(ばくまつ)とは、ある幕府による政治の末期のことをいう。単に「幕末」といった時は、江戸幕府末期の時代を指す。
目次 |
[編集] 概説
幕末の期間に関する厳密な定義はないが、1853年の黒船つまりアメリカ合衆国のマシュー・ペリー率いるアメリカ海軍のサスケハナ号、サラトガ号、ポーハタン号、ミシシッピ号による艦隊の来航から、1867年(慶応3年)に徳川慶喜が大政奉還をおこなって幕府が日本の全国政権としての地位を失い、翌1868年に明治天皇が即位して元号が「明治」と改元されたときまでとするのが、一般的である。
幕末は、徳川宗家の当主が征夷大将軍・源氏長者として幕府の主宰者として君臨する幕藩体制が変質し、崩壊していく過程であり、また、鎖国すなわち海禁政策を抛棄して開港し、外国との通商貿易の開始によって日本が世界的な資本主義市場経済に組み込まれ、社会そのもののあり方が劇的に変化していく過程でもある。
幕末の過程は、多くの文学作品に描かれており、たとえば島崎藤村の長編小説『夜明け前』などが挙げられる。
政治史では幕末をどう把握するかについては、単なる過渡期とするか、あるいはそれ以前以後とは異なった独自の国家状態もしくは国家体制とするかの2つの見方に分かれる。
幕末の思想の特徴は、幕藩体制の根拠を説明しあるいは批判するもの、またその体制に代わり得るあたらしい国家像を模索することである。さらに、天皇や将軍といった権威と権力の源泉についてのあらたな意味づけを模索していることも、大きな特徴のひとつである。 幕末においてもっとも力と意味を持った思想潮流は、「尊王攘夷」の思想であると言われている。あらたな国家像や天皇像もまた、この思想とのかかわりで構築されていった。
[編集] 出来事
- マシュー・ペリー艦隊来航
- プチャーチン艦隊来航
- 日米和親条約締結
- 日米修好通商条約締結
- 安政の大獄
- 桜田門外の変
- 坂下門外の変
- 寺田屋事件
- 文久の改革
- 生麦事件
- 薩英戦争
- 八月十八日の政変
- 池田屋事件・禁門の変
- 第一次長州征伐
- 第二次長州征伐
- 薩長連合
- 大政奉還・王政復古
- 戊辰戦争
[編集] 施設
[編集] 幕末の思想
- 主権
- 対外関係
[編集] 組織
[編集] 幕末の兵器
幕府・各藩は海防のため、後には倒幕のために、競って西洋の最新兵器を揃えようとした。 しかし長い鎖国の間に西洋の軍事技術との差は開いて自製は困難であったから、ほとんどは外国商人から購入してまかなった。
- 小銃
- 前装式
- 弾と火薬を銃口から込める方式。
- 後装式
- 弾と火薬がセットになった弾薬筒を銃尾から込める方式。隊列を変えたり展開したりと、歩きながら装填が出来るようになり、その可動性が勝敗を分けたとも言われている。また、伏せた状態や銃剣を装着した状態での弾込めも可能となった。
- 火縄銃 - 戦国時代以来の銃。
- ゲベール銃 - 前装滑腔銃で、火縄以外の点火方法と、頬に当てる和式銃床ではなく肩に当てる洋式銃床を持つもの。火縄を用いないため運用が楽になったが、フリントロック式では命中精度は火縄銃並以下、パーカッション式も、命中精度、射程距離共に火縄銃と変わらない。国内でも生産された。
- ヤーゲル銃 - 前装ライフル銃。ライフリングを付けたことにより命中精度は格段に高くなったが、ライフリングに弾丸を食い込ませる必要があるため、弾込めが難しくなった。
- ミニエー銃 - フランス製の前装ライフル銃。「ミニエー弾」と呼ばれる弾丸の発明により、弾込めが簡単になる。命中精度も高かったため、両軍の主力銃として用いられた。
- エンフィールド銃 - イギリス製の前装ライフル銃。エンフィールド銘柄のミニエー銃を幕末日本ではこう呼ぶ。
- ドライゼ銃 - プロイセン製の後装ライフル銃。実用後装ライフル銃としては世界初のものだが、薬莢は紙製であった。ボルトアクション式。ツンナール銃とも。
- シャスポー銃 - フランス製の後装ライフル銃。フランス皇帝ナポレオン3世より幕府に送られたもので、幕府軍の精鋭部隊に与えられた。当時最新鋭の銃であるが、戦局に影響を与えることはなかった。
- スナイドル銃 - イギリス製。ミニエー銃・エンフィールド銃を後装式に改造した銃。金属製の薬莢を使用する。明治初期の陸軍の主力小銃となる。
- スペンサー銃 - アメリカ製の後装ライフル銃。七連発が可能。
- 大砲
- アームストロング砲 - 鋼鉄製の後装式ライフル砲。装薬が充填され信管が取り付けられている尖頭砲弾を使用し、当時最強の火力を有した。肥前佐賀藩が使用し、戊辰戦争では多大な戦果を挙げた。
- 四斤山砲
- 四斤野砲
- その他
- 洋式帆船
- 要塞
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 『維新資料』 野田勝一、富田政信編。
- 福地源一郎 (幕吏・ジャーナリスト); 『幕末政治家』; 岩波書店; ISBN 4-00-331861-7 (岩波文庫, 2003年) - 初版は明治33年
- 日本歴史学会編; 『明治維新人名辞典』; 吉川弘文館
- 宮崎十三八他編; 『幕末維新人名辞典』; 新人物往来社