東京魔人學園伝奇

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東京魔人學園伝奇（とうきょうまじんがくえんでんき）は、1998年 6月16日に発売されたプレイステーション用ソフト『東京魔人學園剣風帖』を第一作とする学園伝奇ジュヴナイルゲームシリーズ、およびその世界設定を共有するコミックス・小説・CDなどの総称である。総監督は今井秋芳、キャラクターデザインは小林美智、南志安永（外法帖・符咒封録のみ）。音楽は新田高史。

[編集] 概説

シリーズ第一作である『東京魔人學園剣風帖（けんぷうちょう）』は、シャウトデザインワークスにより製作され、アスミック・エースエンタテインメントを発売元として1998年6月16日に発表された。発売当初は目立ったタイトルではなかったものの、その堅実な作りがユーザーの静かな評判を呼び、口コミによって次第に売上げを伸ばしていった。大規模な宣伝を打たなかったにもかかわらず、このような口コミによって売れていった作品は当時のプレイステーション用ソフトでもほとんど見当たらず、剣風帖はその意味で非常に珍しい存在であるといえる。

ついで1999年 4月12日に、剣風帖のファンディスクとして『東京魔人學園剣風帖朧綺譚（おぼろきたん）』が発売され、メインキャラクター全員分のエンディングや外伝など、本編の補完がなされた。剣風帖本編と朧綺譚の二作品は後に1パッケージにまとめられ、『東京魔人學園剣風帖繪巻（けんぷうちょうえまき）』として2000年 7月13日に再発売されている。 2002年 1月24日には待望のシリーズ第二作『東京魔人學園外法帖（げほうちょう）』が発売され、剣風帖の題材である現代学園ものから一転し、幕末を舞台にした時代劇というチャレンジングな作りが話題を呼んだ。この外法帖は2004年 8月12日にプレイステーション2をプラットフォームに変え、マーベラスインタラクティブを発売元としてシナリオの追加や細部の仕様変更などを加えた『東京魔人學園外法帖血風録（げほうちょうけっぷうろく）』としてリメイクがなされている。

東京魔人學園伝奇の基幹作品は、2006年3月現在で、上記の『剣風帖』『外法帖』の二作であるが、これ以外にも剣風帖の主人公が異界に誘われる番外編ともいうべきカードゲーム『東京魔人學園符咒封録（ふじゅほうろく）』が2000年 10月12日にワンダースワン用ソフトとして発売され、2004年4月1日には同タイトルがゲームボーイアドバンス用ソフトとして移植されている。また、2004年9月16日にアトラスより発売されたプレイステーション2用ソフト『九龍妖魔學園紀（くーろんようまがくえんき）』は、魔人學園伝奇と同じシャウトデザインワークスの製作によるゲームであり、世界設定を完全に共有しているほか、魔人學園シリーズと関係を持つキャラクターが複数登場していることから、事実上、魔人學園伝奇の一環をなす作品として位置づけて良いだろう。

なお、アスミック・エースエンタテインメントから発売されたプレイステーション2用ソフト転生學園幻蒼録は、ゲームシステムは東京魔人學園伝奇シリーズの「感情入力システム」を採用しているが、作品としての関連性は一切無い。また、転生學園幻蒼録に、東京魔人學園伝奇の開発を担当したシャウトデザインワークスおよびその開発スタッフは一切関わってないことを、今井秋芳監督が明言している。

ゲーム以外にもCDドラマ『東京魔人學園退魔陣（たいまじん）』『東京魔人學園月紅伝（げっこうでん）』『東京魔人學園妖鬼譚（ようきたん）』『東京魔人學園黄龍祭（こうりゅうさい）』などがあるほか、小説として『東京魔人學園双龍変シリーズ』がプレリュード文庫より全7巻で発売された。また、剣風帖の主要キャラクターの一人、壬生紅葉（みぶくれは）を主人公としたスピンオフ作品『妖都鎮魂歌（トーキョーレクイエム）』があすかコミックスDXより発売されている。

東京魔人學園伝奇シリーズは全三部作構成であることがかねてからアナウンスされており、現代の『剣風帖』、幕末の『外法帖』をつなぐミッシングリンクとして、昭和初期を舞台にした最終作が現在構想されている。

2007年1月より、アニマックスにてTVアニメ版「東京魔人學園剣風帖龍龍」が放映開始。（「龍龍」で漢字一文字。読みは「トウ」）

[編集] 特徴

東京魔人學園伝奇シリーズのゲームとしてのスタイルはADVとSLGの二部構成であるが、本シリーズの最大のゲームシステム的特徴としてあげられるのが、ADVパートにおける『感情入力システム』である。これは登場人物たちと主人公（プレイヤー）とのやり取りを通常のADVのような会話選択で行うのではなく、コントローラーの各ボタンに対応した愛・友・同・喜・悩・怒・悲・冷の8種類（加えて『無視』もできる）の『感情』で表現する手法で、その場その場の主人公（プレイヤー）の、より細やかな感情を直接にゲームに反映させることができるほか、敵に愛を囁いたりヒロインに対して怒りや冷たさをぶつけるなどの破天荒なプレイも自由に可能となっている。

すなわち主人公の個性が規定されておらず、プレイヤーが100人いれば100通りの行動を選択しうるのみならず、その具体的内容をあえて描かず抽象化することによって想像力の余地を十二分に残し、もってプレイヤーと主人公の強い一体感を抱かせる効果をあげているものである。また、この多様な感情表現によって、対話相手のキャラクターの感情をも左右でき、その結果として、敵として、あるいは味方として登場してくるキャラクターたちを仲間にすることができたりできなかったり、と言う「仲間集め要素」が楽しめることにもなっている。

物語上の特徴としては『ジュヴナイル』的作品観に貫かれていることがあげられる。ジュヴナイルとは少年少女を主人公とした冒険青春群像劇、とでもいうべき物語形式であるが、魔人學園におけるジュヴナイルはこれに伝奇的要素を強く盛り込み、合わせて番長や不良など大時代的な要素を意図的に導入してノスタルジックな感覚を持たせた、良い意味でのB級作品といった語り口となっている。

感情入力システムは次のとおり。

愛：愛情を込めた返事。やたらと使うと気持ち悪がられることもある。

友：友好的な返事。ほとんどの場面では無難な選択肢。

同：うなずく。感情のこもらないただの同意として使われやすい。

喜：喜ぶ返事。仲間が大変な目に遭った時に使うと怒られることもある。

悩：悩む状態。完全には同意できないときなどに用いやすい。

怒：同意できない意見に対して腹立ちを表現する。

冷：感情的でない否定や、冷たい返事として表現される。

悲：話題に対して同情や悲しみを表現する。

無：何も押さないと無視の扱いとなる。

このシステムは、同シリーズとは無関係の転生学園幻蒼録とその続編の転生学園月光録でも使用される。