業務無線
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業務無線(ぎょうむむせん)とは、仕事で使用する専用の無線通信システムの総称である。
狭い意味では、業務用の情報伝達のための専用無線システムをさす。広い意味では、アマチュア無線(「アマチュア業務」という定義が法律に存在する)と電気通信役務として電気通信事業者が公衆に提供する(携帯電話の事)以外のほぼ全ての無線通信システムをさすことになる。
目次 |
[編集] 種類
通称 | 免許人 | 通信事項 | 備考 |
---|---|---|---|
警察無線 | 警察 | 警察の任務に関する事項 | |
消防無線 | 消防 | 消防の任務に関する事項 | |
防災無線 | 国(国土交通省)、地方公共団体 | 防災に関する事項 | 中央防災無線、市町村防災行政無線 |
鉄道無線 | 鉄道事業者 | 鉄道の安全運行に関する事項 | 列車⇔運行指令との通信 |
船舶無線 | 海運会社、漁船、漁業協同組合 | 船舶の安全運行に関する事項 | 漁業無線など |
航空無線 | 航空会社、国土交通省 | 航空機の安全運行に関する事項 | 航空交通管制、カンパニーラジオ(航行中の飛行機との社内連絡用) |
空港無線電話 | 電気通信事業者 | 空港の業務に関する事項 | |
一般業務無線 | 一般企業 | 業務に関する事項 | 電力会社・ガス会社・水道事業者・新聞社放送局・タクシーなど、公共性の高い業務に使用される。 |
防衛無線 | 防衛省・自衛隊 | 防衛に関する事項 | 防衛省や自衛隊の活動における業務に使用される。 |
[編集] 業務用無線機
[編集] 特徴
- 外観
アマチュア無線と違い、決められた無線局と普通に通信出来れば十分であるため、アマチュア無線機のように運用者の裁量で機能や特性を変更するための、スイッチやつまみは備えられていない。一般的な業務用FM無線機は、電源スイッチ(及び連動する通電表示灯、通話状態表示灯)と音量調整つまみ、スケルチ調整つまみ、チャネル切替スイッチのみである(運用周波数が一つの場合はチャネルスイッチはない。音量・スケルチが内部で調整されていて操作出来ない機種さえもある)。悪天候・荒天・悪条件の中で使用される(特に消防用携帯無線機は裸火に曝され水を被る事さえある)事も想定し、防塵・耐水・対衝撃性に優れた筐体を持つ。
- 回路
アマチュア無線機と比べると、受信感度よりも耐妨害性に重点を置いた回路構成となっている。ゲインは控えめで、ロスは多くても急峻な特性のフィルタが使われる。最近は運用周波数が一つであってもPLLシンセサイザが使われる。VCOのC/N(搬送波対雑音比)には特段の注意が払われる。設計リソースは多機能が要求されない分、高性能・高信頼性に注がれる。