機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
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機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 |
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ジャンル | ロボットアニメ |
OVA | |
監督 | 高山文彦 |
アニメーション制作 | サンライズ |
話数 | 全6話 |
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『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(きどうせんしガンダム ダブルオーエイティ ポケットのなかのせんそう、Mobile Suit Gundam0080 War in the Pocket)は、ガンダムシリーズのOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品で、1989年に全6話が制作された。
それまでガンダムシリーズを手がけてきた富野由悠季から初めて他の監督へ交代したことで有名。また一連のガンダム作品の中で最初のOVA作品でもある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 物語
一年戦争の末期、地球連邦軍が新型ガンダムを開発しているという情報を掴んだジオン公国軍の特殊部隊「サイクロプス」は、機体を奪取すべく北極の連邦軍基地を襲撃する。しかし、作戦は失敗、目標物は宇宙へと飛び立ってしまう。
その後偶然入手した情報により、新型ガンダムが中立コロニーのサイド6に運び込まれていると知ったジオン軍側はサイクロプス隊をサイド6に送り込み、再び新型ガンダムの奪取の任務に就かせるルビコン計画を参照。
物語は、新型ガンダム奪取作戦を縦糸に、そしてサイド6に住む小学生アルフレッド・イズルハ(アル)とサイド6に潜入したサイクロプス隊の新兵バーナード・ワイズマン(バーニィ)との関わりを横糸に展開する。新型ガンダム(RX-78NT1 アレックス)はニュータイプ専用に調整された機体であり、連邦軍内で「ニュータイプ部隊」と位置づけられていたホワイトベースのアムロ・レイに渡されるはずの機体であったという設定はあるものの、基本的に『機動戦士ガンダム』本編とストーリー上の直接的接点のないサイドストーリーである。
なお、小説版ではアニメとラストが若干異なっており、その評価は分かれるところである。しかし、両作品間のテーマ性が大きく異なっている訳ではない。
[編集] 作品解説
『機動戦士Zガンダム』以降のガンダムの商業的成功により、サンライズ経営陣とスポンサーであるバンダイは、ガンダムのアニメ作品を継続的に供給し続ける事を望んでいた。しかし2年に渡るテレビシリーズ(『Ζ』『ΖΖ』)と劇場作品(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)を終えた直後、製作現場に新しいテレビシリーズをこなせる体力は残っていなかった。そこで経営と製作サイド両面の条件を満たす為、企画開始に当たって二つの大きな方向転換が行われた。一つは、現場の仕事量を削減する為、テレビシリーズではなく、より短期のOVAシリーズとして供給する事。もう一つは、3作品に渡って現場で指揮を取り最も負担の大きかった富野由悠季に休息を与える為、別の監督を起用する事であった。
初めて富野由悠季以外の監督(高山文彦)が手がけた作品であり、主人公が小学生という点でも異色作となった。しかし、ストーリーの秀逸さや機械描写の緻密さは、当時としては画期的だったものと思われる。過去のガンダムは特殊な能力を持った人間を主軸に物語を紡ぎ出したが、本作では全く普通の人間達が主役であり、またサイド6という、中立地帯であるコロニー上での局地戦を舞台としたため、平穏な生活の中での「戦争」を実感させる作品となった。故に、人間が命を賭して戦うことを決断する様と、その行為が大局の中では些細な意味しか持たない様が同時に描かれており、架空の物語でありながらも、実際の戦争に於ける不条理を強烈に感じさせる作品として仕上がっている。そのため、ドラマ性という点ではガンダムシリーズ最高傑作と取る向きもある。ただし、MSの戦闘シーンが少ないという批判の声もある(リリース当初はMS戦を多く描いた1巻から次第に売り上げが低下し、NT-1アレックスが登場する4巻で売り上げが伸びた。そして、次の5巻ではまた売り上げが下がり、そして最終話になってまた売り上げが伸びる、という風に、当時のファンはMS戦を期待していた事が伺われる)。
登場するモビルスーツ等のデザインも出渕裕の手によってリファインされているほか、ジオン軍の新型モビルスーツ(ケンプファー)も登場している。これらのモビルスーツおよび艦船のリファイン作業においては、企画当初では『機動戦士ガンダム』放映当時のアニメ技術では描き切れなかった部分をよりリアリティのあるデザインで描く、という手法で行われていたはずだった。つまり、MS-06FZ ザク改と現在呼ばれている機体はあくまで『機動戦士ガンダム』第1話から登場した「ジオン軍の代表的モビルスーツ・MS-06 ザクII」の表現記号をクリーンアップしたデザインであるはずだったのである。ところが、この「ザク改」のみならず、ゴッグ、ズゴック、ジム等も、それぞれ「ハイ」「E」「コマンド」などを名前に冠され、“オリジナルの機体とは別に採用・生産された機体”として確立されることとなる。
これはプラモデル等の商品化を考慮しての事であるのは明白だが、この作品以降、OVA等において“オリジナルの機体とは別に採用・生産された機体”が過剰に細かく(しかも作品ごとに設定されているため、他作品との整合性を考慮しにくい)バリエーション化された量産機群が生み出され続けていくことを当然のこととしてしまった。こうした現象にはファンの間で賛否両論があるものの、そういった意味でも、この作品はガンダム史において非常に意義深いものがある。 また、この作品に前後してガンダム作品は「設定(後付けなども含む)」の整理・導入を積極的に行いはじめ、まさしく過渡期にあたる作品といえる。劇中で重要な意味を持つシドニーなどに関する台詞で後の作品や「設定」と矛盾が見られたりするのは、そのためである。
まだ当時、無名の新人だった林原めぐみは、この作品で主要キャラを演じ、人気声優への道を踏み出した。[要出典]
[編集] 主要登場人物
詳細は機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争の登場人物を参照。
- アルフレッド・イズルハ(アル)(声:浪川大輔)
- バーナード・ワイズマン(バーニィ)(声:辻谷耕史)
- クリスチーナ・マッケンジー(クリス)(声:林原めぐみ)
- シュタイナー・ハーディ(声:秋元羊介)
- ガブリエル・ラミレス・ガルシア(声:島田敏)
- ミハイル・カミンスキー(ミーシャ)(声:島香裕)
なお、アル役の浪川大輔は当時12歳で、これはガンダムの主人公を演じた声優の中では最年少にあたる。
[編集] スタッフ
- 監督:高山文彦
- 構成:結城恭介
- 脚本:山賀博之
- デザインワークス:出渕裕
- キャラクターデザイン:美樹本晴彦
- モビルスーツ原案:大河原邦男
- メカニカルデザイン協力:明貴美加・石津泰志
- 美術監督:池田繁美
- 撮影監督:奥井敦
- 編集:瀬山武司
- 音楽:かしぶち哲郎
- 音響監督:藤野貞義
- 原作:矢立肇・富野由悠季
- 企画・制作・著作:サンライズ
[編集] 主題歌
[編集] 各話リスト
- 戦場までは何マイル?
- 茶色の瞳に映るもの
- 虹の果てには?
- 河を渡って木立を抜けて
- 嘘だといってよ、バーニィ
- ポケットの中の戦争
[編集] 関連項目
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