アムロ・レイ
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アムロ・レイ (Amuro Ray) は、アニメ作品群「ガンダムシリーズ」のうち、『機動戦士ガンダム』に始まる宇宙世紀を舞台とする作品に登場する、架空の人物。アニメ『機動戦士ガンダム』及び『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における主人公で、富野由悠季監督作品のガンダムシリーズ全体における主役の1人である。声優は、古谷徹。
アムロの劇中での「メカオタク」で内向的な少年としての描かれ方が、従来のロボットアニメの明るくて強い主人公像とは大きく異なり(古谷はこれまでの類型にはまらないアムロの役作りには苦労したと回想している)、当時の青少年世代に「自分たちと同じような等身大の主人公」としてのイメージを持たれ、話題となった。
公表されているテレビ第1作の設定資料では、姓の「レイ」は「嶺」と表記されていた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 経歴及び劇中での活躍
ガンダムシリーズには多数の派生作品があり登場人物の事蹟も異なる場合があるが、ここでは特に断りのない限り、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Ζガンダム』及びアニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における事蹟を基準に記す。
[編集] 生誕から一年戦争前期まで
宇宙世紀0064年(一説によれば0063年11月4日)、父テム・レイと母カマリア・レイの一人息子として生まれる。AB型。生誕から幼少まで過ごした地域は北アメリカの太平洋沿岸地域の町プリンスルパート(劇場版設定)、あるいはロサリト(『THE ORIGIN』設定)、日本の山陰地方(テレビアニメ版設定)、旧モンゴリアなどと諸説あり、定説を見ない。
幼い頃に母と別れ、父テム・レイと共に宇宙へ移民した。宇宙のどこで暮らしていたかは定かではないが、サイド7への移民が開始されたのは宇宙世紀0078年5月からであるため、他のサイドで暮らしていたとするのが通説である。ただし、テム・レイがコロニーの建設現場を見せるため、始めからサイド7付近で暮らしていたとする説もある。
父が仕事で家を空けることが多いため、自宅では一人で過ごすことが多かった。そのためか、コンピューターや機械いじり好きの内向的な少年に育った。サイド7移民後は、隣家に住んでいた少女フラウ・ボゥとその家族によく面倒を見てもらっていた。機械いじり好きを証明するものとして、ペットロボットハロを自分一人で作り上げている。なお、暴力を受けた経験はないようである。
[編集] 一年戦争後期 (『機動戦士ガンダム』)
宇宙世紀0079年9月18日、地球連邦軍の新造艦ホワイトベースを追ってジオン公国軍の巡洋艦ムサイが周辺空域に侵入、コロニー内へのザクII強襲に遭遇する。当時15歳の彼は、避難の最中に「V作戦」の極秘ファイル(ガンダムの操縦マニュアル)を偶然入手し、アイドリング状態だったガンダムに乗り込みザクを倒すために起動。強襲を仕掛けたザクを初陣にして2機撃破する。なお、この戦闘が歴史上初の実戦におけるモビルスーツ同士の対戦であった。また、父親のテム・レイはこの戦闘で宇宙空間に放り出され行方不明となる。
その後は民間人でありつつもホワイトベースの乗組員としてガンダムに搭乗し、ホワイトベース地球降下を阻止すべく執拗に追い迫るジオン軍のエースパイロット、そして以後宿命のライバルとして戦い続けることとなるシャア・アズナブルの追撃を振り払う日々が始まる。この頃はなし崩しとは言え、まともにガンダムを操れたのはアムロのみであった事から、何時の間にか地球連邦軍の正規パイロットのように扱われるようになる。地球降下前まではアムロ本人もまんざらではなく、新しい玩具を手に入れた子供のように嬉々としてガンダムの凄さをクルーに語ったりもしていた(テレビアニメ版のこの頃は、まだ当時主流の熱血主人公の欠片が見え隠れしていた)。
しかし地球降下以後、「生き残る」という以外に戦う意義を見出せぬまま、戦争の真っ只中に連日晒されていたアムロの精神は日に日に疲弊し、心のバランスを崩していく(戦闘疲弊症)。その最中、自分を戦争の駒のように扱う二代目ホワイトベース艦長のブライト・ノアとは度々衝突をし、唯一のアイデンティティとなっていた「ガンダムのパイロット」の地位さえ、ブライトの「リュウに任せよう」という発言から脅かされることとなる。これを偶然聞いてしまったアムロは半ば発作的に脱走を決意し、ガンダムに乗って砂漠の大地に消えていった。この脱走中、砂漠の町のレストランに立ち寄ったところ、偶然ジオン公国の軍人ランバ・ラルと出会う。ランバ・ラルの愛人であったクラウレ・ハモンと共に大変気に入られたが、敵同士であったが故に戦場で再会、対峙することになる。ラルの駆るグフを退けたものの、その口から「勝てたのは腕ではなくモビルスーツの差でだ」と指摘され、ここで初めて「あの人に勝ちたい」と、パイロットとして「生き残る」以外の意味を見出した。その後、アムロの目の前で軍人として殉じたランバ・ラルの姿は、敵同士であったとは言え父性の欠如していたアムロにとっては越えねばならぬ父親のような存在としてそびえ立ち、大きな影響を与えることとなったのである。そして、ラルの仇を討つ為にホワイトベースに特攻を仕掛けたハモンに、逆に特攻を仕掛けたリュウ・ホセイの死が、彼の中に生きる意味を問いかける事となる。
シャア・アズナブル、ランバ・ラル、黒い三連星等、数々のジオンの戦士と戦う中でニュータイプとしての覚醒を見せ始め、マチルダ・アジャンより“エスパーか”とも評された。ジャブローから再び宇宙に舞い戻ってからも、ドレン大尉率いるキャメルパトロール隊のムサイを撃沈し、コンスコン機動艦隊との交戦では、敵艦隊擁する12機のリック・ドムのうち9機を3分で撃破した上に、コンスコンの乗る旗艦チベまでも撃沈して見せた。それ以降もアムロのニュータイプ能力は拡大し続け、ソロモン攻略戦など、幾多の戦闘で大きな戦果を挙げる。ジオンからは、“赤い彗星”シャアと対比して連邦の白いヤツ(バンダイのゲーム作品では白い悪魔、バンプレストのゲーム作品では白き流星)と恐れられるようになる。やがて、その超人的な反応速度に対しガンダムが反応しきれなくなるが、マグネット・コーティングを施される。その頃にはシャアのゲルググを通常のパイロットではありえない距離(ララァの実験の際にはかなりの苦痛を伴う距離)から正確に狙撃するほどの鬼神の働きを見せる。そして、最終決戦となったア・バオア・クー攻略戦でシャアの駆るジオングと交戦、両者相打ち(但し、ジオングは撃破、ガンダムは中破である)となりガンダムは破壊されるものの、最終的に一年戦争を戦い抜く。なお、彼の撃墜スコアは連邦軍内においては第2位であったのだが、1位の数値がアムロ以下と大差をつけていること等もあり、アムロの突き抜けた英雄視を嫌った上層部による情報操作という見方もある。どちらにしろ、地球連邦軍の勝利の一翼を担った英雄として軍の歴史教科書に載るほどとなった。
上記の通り、彼の成長の影にはセイラ・マスやリュウ等のホワイトベース乗組員や、憧れの人となるマチルダ等の魅力的な大人との出会いがある。その中でも、サイド6に於いてララァ・スンとの出会いは彼の人生を決定付けたと言っても過言ではない。同程度のニュータイプであるララァとの邂逅によってニュータイプとしての能力に磨きがかかる。そのララァとの交戦中、ニュータイプ同士としての精神の交感を体験するが、その最中に襲い掛かるシャアに反撃した際、シャアを庇ったララァを戦死させてしまう。これは彼の人生の大きな悔恨となり、終生彼を苦しめることになる。
[編集] グリプス戦役 (『機動戦士Ζガンダム』)
一年戦争後は英雄的扱いを受ける。彼に注目した多くのジャーナリストから「ニュータイプとは何か?」と取材を受けることになるが、彼の発言は大衆にとって抽象的で難解なものとしか理解されなかったと言われる。やがて大尉に昇進し、北アメリカのシャイアン基地に勤務。しかし、地球連邦政府のニュータイプを危険視する思惑から事実上の軟禁状態に置かれていた。彼も、ララァを撃ち落したことの後悔を引きずり鬱屈した生活を送っていた。また長期軟禁の影響で精神的な疲弊が起きていたのか、当初はMSへ再び乗ることを躊躇していた。
しかし宇宙世紀0087年、かつての幼馴染でありハヤトの妻になっていたフラウ・ボウと再会しカツ・コバヤシに説得され共に監視を抜け出す。空港で輸送機を奪いエゥーゴの支援組織カラバに合流。その際、シャア(クワトロ)と7年振りの再会を果たす。また、昔の自分を思い出させるカミーユ・ビダンや、ベルトーチカ・イルマによって刺激され、再びモビルスーツで戦うことを決意する。7年のブランクを感じさせない卓越した操縦技術でエゥーゴを援助。リック・ディアスやディジェを駆って、キリマンジャロ攻撃作戦やダカールでの戦いなどで活躍した。ただ、シャアに宇宙に上がることを薦められた際には、死んだララァに出会うような不安を抱き、宇宙に上がることはできなかった。
- フォトストーリー『ガンダム・センチネル』の設定などによると、グリプス戦役終盤では、アウドムラの第18飛行部隊の隊長として、Ζプラスに搭乗していたとも言われている。また、アトラクション『ガンダム新体験 グリーン・ダイバーズ』や3DCGアニメ『GUNDAM EVOLVE../9 MSZ-006 Ζ-GUNDAM』などによると、戦争終結前後に確認されたZガンダム3号機のテストパイロットの1人で、「ホワイト・ユニコーン」のコードネームで呼ばれる人物ではないかという説も存在する。グリプス戦役期にこれら搭乗機体・参加した戦闘が複数存在するのは、カラバにより情報操作ないし影武者が仕立てられたからである、などの見解がある。連邦軍の監視の目を掻い潜ってカラバに参加したアムロには連邦政府からの追っ手がかかっており、彼を捕えさせない為の措置であったと考えられる。
[編集] 第一次ネオ・ジオン抗争 (『機動戦士ガンダムΖΖ』)
第一次ネオ・ジオン抗争においては全く姿を見せることは無かったが、アーガマが地上に降りた時のブライトとハヤト・コバヤシとの会話から、この時既に宇宙に上がっていたことが分かる。これ以降、消息不明となったシャアの居場所を探るべく、数年にわたる密偵を開始する。
[編集] 第二次ネオ・ジオン抗争 (『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)
宇宙世紀0092年、外郭新興部隊「ロンド・ベル」のモビルスーツ隊隊長として、リ・ガズィやνガンダムを駆り、歴戦の名艦長ブライト・ノアらと共に、シャア率いるネオ・ジオンとの戦いに挑む。当時の階級は大尉。
第二次ネオ・ジオン抗争が勃発した宇宙世紀0093年3月4日、地球連邦軍本部があるチベットのラサに向け小惑星5thルナの落下を目論むネオ・ジオンを阻止する為にリ・ガズィに搭乗して戦闘に参加。ヤクト・ドーガを駆るギュネイ・ガスを退けるのには成功したものの、サザビーで出撃してきたシャアには圧倒された上に、落下阻止限界点を越えてしまい、5thルナを巡る攻防は惨敗に終わる。その後、未だフォン・ブラウン市の工場で開発中であったνガンダムを半ば強引に受領し、シャアとの決戦に備える。
アクシズ落としを目論むシャアの動きを看破したアムロ達ロンド・ベル隊はアクシズへ急行する。宇宙世紀0093年3月12日、アクシズの防衛ラインを単機で突破し、シャアとの決戦では、サザビーとのMS戦だけではなく生身での白兵戦(舌戦も含め)も交えた激戦を繰り広げ、再びMSに搭乗して全ての武装を使い果たした後もガンダムの殴打攻撃でサザビーを圧倒し、これによってサザビーからシャアの乗る脱出ポッドが放出される。その時、ブライト達が行った落下阻止の為のアクシズ分断作戦が裏目に出て、片割れがそのまま地球への落下を開始する。アムロはシャアを逃がすまいと脱出ポッドを捕まえるが、シャアはブライト達がやったことのおかげでアクシズ落下という目的を果たせると、アムロに自分の勝利を宣告する。
これに怒ったアムロはシャアの脱出ポッドをアクシズの壁面に食い込ませ、地球へ落下していくアクシズの片割れを押し出そうとする。そのとき観測された光の虹(サイコフレームの共振現象とも言われるが詳細は不明。「人の心の光」とも形容される)が、敵味方問わず「地球への落下を阻止する」という意識の統一を促し、数多のMSがアムロに同調して落下阻止に駆けつけた。その内に多くの人の意思を集めたサイコフレームは、驚異的な規模で光の虹を広げ、摩擦熱で熱暴走を起していたνガンダム以外のMSを振り払い、光の虹が地球を取り囲むほどの規模までに拡大すると、アクシズは奇跡的に軌道を変え、地球への落下は阻止された。「地球の重力に魂を縛られた人々」に絶望し、大罪を犯してまで人類を次のステージ-いわゆるニュータイプに上げようとしたシャアに対し、アムロは愚直なまで人類の可能性を信じていた。この甘さともとれる信念が地球を救ったといえる。しかし、同時にアムロとνガンダム、そしてシャアは閃光に包まれ行方不明となる。連邦軍の公式記録では戦死したことになっており(小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では捜索は数年間続けられていたが、不明のまま打ち切りとなる)、以後の消息は語られていないが、伝説的英雄の生存を信じ続ける者は少なくなかったという。
[編集] その後
宇宙世紀0104年、秘密結社マフティーの主導者マフティー・ナビーユ・エリンから、アナハイム・エレクトロニクス社にアムロ・レイ大尉の遺志を継ぎ、νガンダムの次である "ξ" (Ξ) の文字がつけられたガンダムを開発して欲しいという要望があった。その主導者とは、アムロやシャアといったニュータイプを見てきたハサウェイ・ノアであった。(機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ)
宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発された。1号機にはアムロの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター「A.R」が搭載され、宇宙世紀0122年までの長きにわたり実験が繰り返されている。(機動戦士ガンダムF90)
宇宙世紀0133~0136年の間には、木星帝国残党にガンダムのコアファイターのデータが盗まれ、一年戦争時代のアムロの戦闘データを用いたコピーが作られる事件が発生している。このコピーはトビア・アロナクス、グレイ・ストークら歴戦のパイロットを圧倒していたが、最後は撃破される。(『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』)
[編集] 小説版での相違
富野監督による小説版『機動戦士ガンダム』では、作品終盤にシャア率いるニュータイプ部隊の一人、ルロイ・ギリアムの駆るリック・ドムに撃墜され、戦死している。主人公が物語途中で死亡する展開は当時のファンに大きな衝撃を与えた。ただし、この作品が『機動戦士Ζガンダム』以降の作品を否定するものではないと作者によって述べられており、アニメとは異なるストーリー(パラレルワールド)であると見るべきだろう。実際に、作者も角川スニーカー文庫からの再販時に、続編と辻褄を合わせるためにアムロとハヤトを殺さない内容に改稿を試みたものの、過去の自分を否定する行為であるとして結局断念したとの事である。
小説版『機動戦士ガンダムΖΖ』(この小説版は遠藤明範の手による)でも、ストーリー中盤アムロが登場し、シュツルム・ディアスに乗り、ジュドー・アーシタが宇宙へ上がるのを助けている。なお、「最初はつまらない大人の一人」だと感じていたジュドーであったが、別れの際には「カミーユと初めて会った時と同じような宇宙のビジョン」を、アムロの中に見ている。また、この作品ではアムロは「自分が宇宙へ上がる時はシャアと決着を付ける時」と発言している。
角川文庫版の小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』においては、ベルトーチカ・イルマとの関係が続いており(劇場版では別れている)、彼女のお腹の中にはアムロとの子どもが宿っている。また、乗機がHi-νガンダム(劇中では、あくまでデザインの異なるνガンダムとして扱っている)と大きな違いがある。これは、元々劇場版第一稿として富野監督により書き上げられたものだが、「ヒーローに子どもが居るのはおかしい」という理由で現在のものに差し替えられている。
[編集] 主な搭乗機
設定上では、Ζ、ΖΖ、百式を使ったジュドー・アーシタと同じく、アムロはガンダム、Ζガンダム、νガンダムの3種類のガンダムを使いこなしたことになる。
機動戦士ガンダム
機動戦士Ζガンダム
ガンダム・センチネル(未登場、設定のみ)
- MSZ-006A1 ΖプラスA1型 (ブルー塗装→オレンジ塗装)
ガンダム新体験 グリーンダイバーズ(アトラクション)
- MSZ-006-3 Ζガンダム3号機
GUNDAM EVOLVE../9 MSZ-006 Ζ-GUNDAM
- MSZ-006-3 Ζガンダム3号機 "ホワイト・ゼータ"
機動戦士ガンダムΖΖ(小説版)
- RMS-099S シュツルム・ディアス
機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス(漫画作品)
- MSZ-009M メガゼータ
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
[編集] アムロ・レイ最強説
日本アニメ史上に残るアニメの主人公の一人であり、ニュータイプという特殊な能力を元に圧倒的な技量で戦場を駆け抜けたアムロ・レイを、「宇宙世紀史上最強のパイロット(つまり、ガンダムシリーズ最強)」と主張するファンは数多い。宇宙世紀シリーズの主人公は他にカミーユ、ジュドー、シーブック、ウッソと存在し、彼らはいずれもエースであるが、どのパイロットも一年戦争終盤と第二次ネオ・ジオン抗争におけるアムロとは違い、一般兵を撃墜するのに手間取る場面もあり、アムロより被弾数も多かったことがアムロ最強説を後押しする原因となっている。アムロほどナチュラルに圧倒的な強さを他の主人公が示せていないのである。
その他にもアムロ最強説を裏付けるものとして以下の論がある。
- 3分でリック・ドム9機と戦艦を落とした。これに類する活躍を見せたパイロットは他にいない。
- アムロの搭乗したガンダムは、物語終盤に登場した量産型のゲルググとほぼ同等(カタログスペック上はゲルググの方が上。1年戦争末期にはジオンには熟練パイロットはほとんど戦死しており、大半が学徒動員による新人パイロットだったが)の性能となってしまったにも関わらず、それに搭乗したシャアを圧倒した。
- ニュータイプのララァが操るビットをビームサーベルのみならず、軌跡を読んでビームライフルで落としている。
- アムロがパイロットとして活躍していた時期は、一年戦争末期の3ヶ月のみであり、カミーユやジュドーと比べ圧倒的に短い。
- グリプス戦役にて約7年ぶりにリック・ディアスに搭乗し戦線復帰した際、(覚醒途上とはいえ)カミーユにさえ見えていなかった敵を感知し、ランドセル(背部のバーニア)のみ撃破するなど、カミーユ以上の超高等な操縦テクニックを持っていた。
- ジェダに装備されているノーマルなビームライフルを、散弾のように使う事ができる。
- νガンダムのビームライフル連射は機能ではなく、アムロの技量によるもの、という裏設定がある(石垣純哉のHPより)。
- 木星帝国がコアファイターのデータを用いて作ったコピー「アマクサ」は、新生クロスボーン・バンガードの機体を次々と撃破し、数々の戦いを乗り越えてきたトビアとストークを苦戦させた。
これに対し、勿論以下の様な反論もある。
- ガンダムと拮抗するゲルググとは言え、搭乗していたのが実戦経験のない学徒兵ばかりであったため、結局ガンダムというアドバンテージは生きている。
- シーブックは数度の出撃で一定以上の技量を発揮しない限り解除されないF91の最大出力を引き出した(開発者が母のため、バイオコンピューターとの相性も良かったが)。
- ウッソの参戦期間は2ヵ月半であり(但し、幼少の頃からコンピューターによるトレーニングは施されている)、実戦期間はアムロよりも短い。
- どんな分野(特にスポーツ)でも勃興期は個体差が激しく、適応能力の差がその分野における絶対的な優劣の指標となりがちである。しかし、歴史を重ねることでノウハウの蓄積が起こり、その恩恵を受けることで適応能力の差が絶対とはならず、全体的に上へ上へと平均化、即ち個体差は縮まり分野の全体レベルは上がっていく傾向にある。これと同じように、一年戦争はモビルスーツ同士の対戦が行われた初めての戦争であり、アムロはその中でも適応能力が圧倒的に高かっただけで、ノウハウの蓄積されたグリプス戦役では一年戦争程の活躍は期待できない。
- 上記の通り、一年戦争はモビルスーツ同士の対戦が初めて行われた戦争であるため、搭乗者によって練度・実戦数が大きく異なっていた。その中でV作戦の中心であるホワイトベース隊のエースとしてガンダムを駆っていたことが、結果的にジオンのエース・パイロットに狙われ続ける理由となり、それがアムロに質量共に稀有な実戦経験を与えたという大きなアドバンテージがあった。
- 一年戦争でジオン軍モビルスーツに性能では劣るジムが良好な戦果を挙げられたのは、アムロ搭乗のガンダムから得られた実戦データを反映させたOS(教育型コンピュータ)に拠る所が大きいといわれている。優秀なパイロットによる数多の実戦データが得られており、モビルスーツ開発がアナハイム・エレクトロニクスの寡占状態となっているアクシズ戦役以降、陣営によってOSに大きな差も出ないと予想できるため、全く状況が違う。要するに、ニュータイプ並みの反応を機械がサポートしてくれるため、固有の技量やニュータイプ技能の有無が絶対的な差とはなりにくい。
再反論として、「『逆襲のシャア』でもアムロは圧倒的に強い」というものもあるが、「『逆襲のシャア』のνガンダムはコスト度外視の超高性能機体であり、サイコフレームの存在が大きい(サイコフレームはシャアからのリークによるものである)。実際にリ・ガズィではサザビーを駆るシャアに手も足も出ていない」と反対論者は返すのが常であり、『逆襲のシャア』公開から20年近くたった今でもファン同士による堂々巡りが引き続き行われている。
なお、第二次ネオ・ジオン抗争時代のアムロ・レイのニュータイプ能力は一年戦争時に比べると激しく劣化していると言われている。それを裏付ける描写として、ロンデニオンにおいて直接視認するまでシャアを察知出来なかった点があげられている(シャアはロンデニオンでの会議を終えた時、「近くにいるなら私を感じてみろ--!」と心の中で呟いていた)。なお、劇場版の基となっている富野監督が書いた小説『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』内においても、アムロ自身が一年戦争に比べニュータイプ能力が衰えていることを自覚している。以上のことから歴代のガンダム主人公の中で、この時代のアムロ・レイのニュータイプ能力は最低であると判断できる。そもそも数多くのニュータイプは戦争という極限状態の中でその素養を開花させ、先鋭化させていったこと、そして小さな子供(ジュドーを導いたエルピー・プルやプルツー等)ほど感度が高い事を考えると、長らく一線から離れていた上に29歳となっていたアムロの衰えは必然であると言える。
しかし、いざ戦闘においては十二分に敵を感知し、α・アジールに乗ったクェスを「邪気が来た」と把握し軽くあしらっているところから、敵の存在を感知して先読みし、サイコミュ兵器を使いこなして戦闘に勝つ、つまり「兵士」としてのニュータイプ能力は、この時でも充分に保持していたと言える。それに加え、サイコフレームの助けがあったとは言え、フィン・ファンネルによるIフィールドバリアの展開という予想外の機体の機能を引き出し、チェーン・アギの死をきっかけとしたサイコフレームの共振によるアクシズと地球を包んだ奇跡の中心に位置していたことから、全く衰えていないという意見も存在する。
いずれにせよ、様々な情報を総合した上で確実に言えるのは「第二次ネオ・ジオン抗争の時点での地球連邦軍最強のパイロットはアムロ・レイ」という事であろう。また、ガンダムのテレビゲームにて、個別に能力が数値化をされている場合は、基本的にはアムロが総合的に最強の能力を有しているため、世間的には「アムロ最強」が定着しているといえる。ただ、アムロはニュータイプとしてはオールドタイプ的感性を持っていることを富野監督は月刊マガジンのインタビューで語っている。「カミーユに比べてアムロは学習できないためオールドタイプとして死んでいくしかない」という部分である。これはあくまで本当の意味でのニュータイプのカミーユと比べての評価であり、パイロット(戦士)としてはアムロが最も優れているというのが大多数の評価と言える。なお富野監督は『逆襲のシャア』の舞台挨拶で「操縦技能最高はアムロ。ニュータイプ能力最高はカミーユ。総合的なパイロット最強はジュドー」と発言しているとされている(ジュドーにおける「パイロット最強」とは、「パイロット適性」「適応能力」が最も優れていることであると思われる)。また、「迷いを捨てたシャアはアムロの敵ではない」とも語っているため、条件が整えば「シャアが最強」というのが富野監督の中にはあるようだ。
ロボットアニメに限らず、1990年代以前の戦闘要素の存在するアニメの主人公は、挫折と敗北を繰り返し、敵に打ち勝っていくというパターンが常であった。その流れが物語に抑揚を与え、視聴者を興奮させるお約束の流れであったためである。その中で、アムロはあらゆる定石を打ち破り、終盤はライバルであるキャラさえも圧倒し、鬼神の如く敵を撃破していった。このような主人公を擁するガンダムという作品の異端さと人気が、「アムロ・レイ最強説」を導いたとも考えられる。
余談であるが、ロボットを扱う作品における「最強パイロット論争」おいて、アムロは『装甲騎兵ボトムズ』の主人公キリコ・キュービィと共に常に名前が上がる筆頭的な存在でもある。
[編集] 女性関係
一応ヒーローという位置づけながら彼ほど女性関係が多い例は特殊と言える。映像作品では作品ごとに恋人が違っており、又、小説なども加えるとセイラ・マスとは肉体関係が濃く描かれており、『ベルトーチカ・チルドレン』ではベルトーチカ・イルマが妊娠している。そういったことから彼に男性として否定的な目を向けるガンダムファンも多い。
[編集] その他
劇場版アニメ『機動戦士ガンダムII 哀・戦士』公開当時に、「口惜しさと哀しみの中で死んでいかざるを得なかった幾百幾千の戦士たち。彼らの怨念と希望(夢)とを呑みこみ、この現実を突破し得る力をアムロに持たせたい」と監督の富野は語っている。
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