氷
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氷(こおり)とは、固体の状態にある水である。天文学では宇宙空間に存在する一酸化炭素や二酸化炭素、メタンなど水以外の低分子物質の固体を「○○の氷」と呼ぶこともある。
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[編集] 氷の特徴
無色透明で六方晶系の結晶を持つ。融点は通常の気圧で摂氏0度。この氷は「氷1」と呼ばれる。気圧が高い状態では氷2から氷10がある。
冷蔵庫などで作った氷は白い気泡が混じっているが、これは水中にあった空気(二酸化炭素やその他不純物)が閉じ込められたものである。気泡を防ぐにはゆっくり凍らせる、一度煮沸した水を使うなどの方法があるが、完璧ではない。
水が固体になるときは凝固潜熱として1キログラムあたり 80 kcal (335 kJ) の熱を周囲から奪う。
0.9168 と比重が軽いため、通常気圧では水に浮く。
凍る際は体積が増加するため、水が密閉された状態で凍ると周囲の物質を破壊する。また、氷は水に浮くが、このように固相の方が液相よりも密度が低い物質は非常に珍しい。岩の隙間に水が入り込んで氷になると、岩を破壊する。冬季の寒冷地では水道管の破裂を防ぐため、夜間は水抜栓を用いて水を冷気の及ばない地中に落とし、凍結を防ぐ。清涼飲料水類の缶にも「凍らせないでください」という注意書きが書かれている。
水が凍る際には、不純物が排出されるため、結果としてできる氷は一般に非常に純度が高い。
[編集] 用途
[編集] 食用
[編集] 冷却用
- 冷蔵庫 — 初期の冷蔵庫は、単に断熱性のある筐体の天井部分に巨大な氷を詰めて冷やすだけのものであった。
- 生鮮食品の鮮度維持 — 生鮮食品の鮮度を維持するため、生鮮食品と氷を一緒にして保存する。魚の鮮度維持によく使われる。
- 人体の冷却 — 発熱時等に氷枕(氷嚢)として冷却を行なう。
[編集] その他
[編集] 氷の利用
近世以前、人為的に冷却効果を得る技術が登場するまでは、前述のように氷自身を冷却源として利用していた。氷を冷やすことのできるものはなかったため、冬季または寒冷地で得られた氷を、なるべく融かさないように運搬し保管する努力が様々に講じられた。
保管方法としては、地下や洞窟の奥などに空間を作りなるべく大量の氷を置いて冷却効果を得ようとするものが多く、日本ではこれを氷室(ひむろ)などと呼んだ。
氷の冷却効果の主な要素は、融けて固体から液体になる際に多くの熱量を吸収しようとすることで周囲の熱を奪い取ることによる。このことによる蓄熱(熱の吸収)効果は高いが、現実には氷を作り出すことに必要なエネルギーを考慮するとあまり経済的とは言えなかった。
しかし昨今では、冬に降った大量の氷雪を保管しておいて夏期の冷房に利用しようとする試みや、気温が低く電力需要も少ない夜間に製氷しておき昼間の冷房に役立てようとするサービスなどが普及しつつある。
[編集] 自然界の氷
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