海外
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海外(かいがい)とは、英語のoverseasの訳語で、海洋を隔てた地域のことを指す。
いくつかの国では、「海外」という言葉は「外国」「国外」「国際」と同義として用いられる。そうでない国でも、「海外」という語は、少なくとも「遠距離」という意味合いで用いられる。例えば、海を隔てた島であっても、近距離であれば「海外」とは言わない。
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[編集] 各国における「海外」
アメリカ合衆国においては、overseasはヨーロッパ・アジア・アフリカを指し、南北アメリカは含まない。オーストラリアでは、overseasはオーストラリア国外のことを指すが、ニュージーランド・パプアニューギニアのような近接した国をoverseasに含めないことがある。イギリスにおいてもoverseasは、国境を接するアイルランドを除くイギリス以外の国の意味である。日本においては、四方が海に囲まれており国境には必ず海があるため、「海外」は「日本国外」と同義として用いられる。
[編集] 概説
現代では地球規模の地理が把握され、20世紀以降は飛行機(空路)による海外旅行が確立しているが、五大陸の把握も曖昧だった頃は外国へ渡る手段は陸路か海路しかなく、後者の場合は冒険や探検の意味合いが強かった。15世紀に始まった大航海時代を経て、帆船による航路が確立されると、大洋を隔てた海外への渡航は飛行船へと引き継がれた。
上記の歴史的経緯から、ここで言う海とは多くの場合大洋を指し、海の外であっても歴史的観念上では近距離のものは含まない。
海外という概念は、未知の世界へ乗り出した帆船航路開拓時代の名残りであり、海外への移動手段の主役が船舶から飛行機へ移った現代でも、多くの名残りがみられる。
[編集] 航路開拓時代の名残り
- 飛行船(Airship):気球を船に見立てる。
- 空港(Airport・エアポート):飛行場を港に見立てる。
- 航路:空路を海路に見立てる。
- 渡航:船舶以外の移動でも用いられる。
- パスポート(Passport):海港(sea port)や都市城壁の門(porte)の名残り。