田中宇
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田中 宇(たなか さかい、1961年5月7日 - )は、日本のフリージャーナリスト。
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[編集] 経歴
1961年、東京生まれ。東北大学経済学部卒業後、東レ勤務を経て共同通信社に入社する。そこで外信部に配属され、英語のニュース記事を多読するうちにそれらに魅了される。その頃コンテンツの充実を模索していたマイクロソフト社に誘われて同社に入り、ニュースの配信業務に従事する。その後、独立。
[編集] 国際ニュース解説
日本語の他、中国語(繁体字)、韓国語でもニュースの配信をおこなっている。但し、本人の希望的観測で書かれる事がしばしばあり、予想が外れる事も少なからずある。このため、逆神と揶揄される事も多い。
[編集] 近年の論調
- 新保守主義は多極主義者である
新保守主義者(ネオコンサバティブ)は、米国一極覇権主義の体裁をとっているが、実際には過激な外交戦略によって米国を自滅へ導いている。このことから、ネオコンの中にはわざと米国を衰退させる勢力がいると推測でき、田中はネオコンの中の米国衰退化勢力を「隠れ多極主義者」と呼ぶ。隠れ多極主義者は国際資本と繋がっており、資本投下(投資)によって効率良く稼げる方法を常に求めている。米国を頂点とする先進国(G7、ロシアを除く)は、すでに急成長の余地がなく、投資しても大した利益にはならない。一方、中国やインド、ロシア、南米などは急成長(投資による大きな見返り)が望める地域だが、米国など先進国が覇権を維持している間は、これらの地域は発展を妨げられる(先進国は自国が成長する間、後発国が成長せず、自国製品の市場となることを望み、巧妙に発展を阻害してきた。後発国とは大抵は旧植民地の国家であるが、独立後も経済的な従属は維持されていた)。これらの地域を効率よく成長させるために、G7の力を削ぎ、世界を多極化させる必要があるが、米国で多極主義(米国は覇権を弱め、諸国を成長させるべき)を掲げれば、政治家やマスコミ、国内産業に叩かれてしまう事は明白である。このため、国内にも国外にも、米国は覇権を強めている振りをして、実際には力を弱める戦略をとるという回りくどいやり方をしなければならない。ブッシュ政権を牛耳るのはネオコンであり、同時に過激派の振りをした多極主義者である。
- イラク戦争は自滅戦略である
イラク戦争とその後の統治は完全に失敗である。米国には国際関係の専門家が世界一いるのだから、本気でやれば失敗するはずがない。これをわざと失敗することで(すなわち、小規模の兵力でイラク政府をつぶし、そのまま占領政策を取り、反米勢力への対抗を不十分にして、治安を悪化させる。イラク国民をテロ容疑などで弾圧し、反米思想を高める。イラク全体を反米としてしまう。)、米国の軍事的敗北と、外交的な権威の失墜、戦費による財政の悪化を図り、全ての面で米国の覇権を崩壊させる事を目的とした戦争であろう。これもネオコン内の多極主義者の策略と考えられる。
イギリスとイスラエルは、冷戦中の米国の戦略、すなわち、ユーラシア大陸諸国を日・米・西欧で押さえ込み、発展を阻害する戦略を好む地位にあり、冷戦を通じて米国内に影響力を増してきた。冷戦後、これらの戦略を維持する為に、911後の米国の一極主義的な対テロ戦争を使用して、新たな大陸封じ込め戦略をとろうとした。しかし米国の多極主義者は、イギリスとイスラエルを米国から引き剥がす為、一極主義をやりすぎる(イラク戦争・統治の失敗、世界民主化計画による地域不安定化と反米化)ことによって、米国の覇権を崩壊させ、米国を利用しての覇権拡大を困難にさせようと画策している。特に、中東の不安定要因であるイスラエルは、米国が中東に駐留することを望んであるが、イラク戦争の失敗で覇権が弱まれば、イスラエルはアラブ世界で孤立し、現在の対パレスチナ強硬路線は不可能となろう。イスラエルと融和を図っているエジプトやヨルダン、ペルシャ湾岸諸国といったアラブ親米国は、反米諸国の台頭によって、国内の反米世論が高まり、政府・王室と国民が乖離している。これらの国が世論に推されて反米・反イスラエルに転向すれば、イスラエルは滅亡するか、アラブと積極的に融和するしかない。結果、イスラエルが強硬路線を続けて、戦争によって自滅しようと、アラブとの融和を選ぼうと、長期的にはアラブは安定し、欧米支配を離れて自立する。ネオコンはユダヤ系米国人と親しいが、ユダヤ人資本家はイスラエル人と違い、利益を第一に考えることから、多極主義者と同調し、イスラエルを見捨てている。
- アジアも多極世界の一極となる
米国はイラク戦争以来、どちらかといえば反米的なロシアやイラン、ベネズエラに敵対的な態度をとることで、これらの発言力を意図的に大きくしている。しかも、口で挑発するだけで、具体的にこれらの国を弱らせる戦略をとっておらず、むしろ強くさせている(イランには経済制裁を行っているが、核問題に関する対立では、口先での挑発に終始し、なおかつイラン人を反米化し、中東の英雄国家に仕立て上げている)。これらの国は地域の核となり、多極化に貢献するだろう。東アジアでは、中国が一極として覇権を拡大する。現在のところ、中国自身は多極主義者の戦略を、米国の罠だと警戒して、覇権の急拡大や反米的な態度をとっていないが、いずれは多極主義者の意図に気づき、覇権を拡大するだろう(北朝鮮問題・六者協議を中国任せにしているのは、この戦略と考えられる)。韓国は既に米国の意図に気づいて、多極化に向けた準備をしている。イラク戦争による在韓米軍空洞化によって、戦争回避のために積極的な北宥和政策を行い、外交軍事では独自の戦略をとりながら、対中重視に移行している。
- 日本はどうするか
日本は小泉政権下で意図的に中韓露を挑発し、北朝鮮拉致問題を拡大して、周辺国全てと対立する構図をうまく作った。これは、対米重視を続けようとする意思の現れ(小泉政権は米国の多極化の意思に気づき、米国に離れてほしくない為に周辺国と対立した)であるが、多極主義者の積極的な自滅戦略により、日本の戦略は破綻に近づいている。日本は戦後60年にわたり、自分で何も考えないですむ対米従属を選んできた。これは、「自分で考える外交」(アジアでの覇権拡大)を80年間やった結果、英米によって「悪の帝国」に仕立て上げられ、大戦争で滅亡の危機を味わった経験によるものだと推測でき、首相官邸も外務省も防衛庁も、強大な米国への従属を前提とした戦略しか持っていない(冷戦中に独自外交をやろうとすれば、再び悪の国家に仕立て上げられると恐れたからであろう)。しかし、イラク戦争によって米国は着々と覇権を弱める戦略をとっており、在日米軍も空洞化しつつある(すでに在韓米軍はイラク戦争によって空洞化している)。周辺国との敵対戦略は、いずれ必ず破綻し、日本も中国を中心とした一極に協力しなければならないだろう。ただし、東南アジアでは中国人による政治経済の支配に反感があると考えられ、日本がアジアでの覇権拡大を進めることを歓迎するだろう。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: スタブ | 1961年生 | 日本のジャーナリスト