真選組
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真選組(しんせんぐみ)は、空知英秋作の漫画『銀魂』に登場する架空の特殊部隊。実在した新撰組がモデル。
江戸の治安を守る武装警察。局長の近藤勲・副長の土方十四郎・一番隊隊長の沖田総悟を中心に数十人[1]で形成している。十隊存在。幕府に属しているので実力や実績、権力もある。犯人逮捕のついでに暴行や破壊活動(特に土方と沖田によるもの)も多い。そのためによく「チンピラ警察24時」と例えられる。お通が一日局長になったこともある。
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[編集] 隊士
[編集] 近藤勲
(こんどう いさお)/声優:千葉進歩
身長184cm、体重80kg。9月4日生まれの乙女座で、三十路近い20代。
隊士たちから多くの信頼を集めている真選組局長。人のいい所を見つけるのは得意だが、悪い所を見つけるのは苦手という、底無しのお人好しな好漢。かつては剣術道場を開いて経営しており、その頃に行く当ての無かった土方や沖田らを門下生として迎え入れていた。天人襲来以降、廃刀令で刀を持てぬ世の中になってからは、門下生とともに幕府へ身を置き真撰組を結成。以降、真選組隊士達をまとめあげ、ここまで引っ張ってきた人物。数々の死線を潜り抜けただけあって、事に際しては冷静であり、局長を名乗るにふさわしい実力を持つ[2]が、脇の甘い性格からボケとしての役回りの方がはるかに多く、その強さが作中で見られる機会はほとんどない。しかし、それでも松平片栗虎長官よりは常識人な為、彼と一緒の時はツッコミ役に回っている。宴会でハメを外し過ぎて全裸になったり、ジェットコースターで恐怖のあまり脱糞したりと、他のキャラより下品な行動が目立ち、隊員達からはあきれられているようにも見える[3]が、時として沖田を殴りつけ厳しく諭すなど、「漢」らしい場面も見せる[4]。敵である桂との出くわし方が、土方や沖田とは異なり、必ず家康像前の待ち合わせ場で会ったりする。
お妙が商売として彼のフォローをしてしまって以来、彼女に一方的な好意を抱きストーカー行為を繰り返している。お妙のあらゆる報復攻撃を受けても死なないタフさと、何度拒絶されても諦めないしつこさは天下一品。お妙の弟の新八を勝手に「義弟」と呼び、お妙が近藤から逃れる為に言ったでまかせにより銀時を恋敵だと思い込んでいる。また、かなりのギャルゲー好き[5]。よく神楽やお妙に「ゴリラ」呼ばわりされ、ゴリラを自称することも多くなった。
『3年Z組銀八先生』では風紀委員長だが、やはりお妙に対する変態っぷりが炸裂している。その変態行為は七不思議の一つと化していたほど。
没デザインは現在の長谷川で、近藤として没になった後に流用された。この近藤は「現在の近藤と長谷川を足して2で割ったら3余った」という微妙なキャラだったらしい。
[編集] 土方十四郎
(ひじかた とうしろう)/声優:中井和哉
身長177cm、体重64kg。5月5日生まれ、20代。 クールで熱い、真選組の副長。名前・キャラクター造形は、新選組の局長や副長をそれぞれ務めたことがあった人物土方歳三より。モデルとなった土方歳三と同様、彼も周囲から「鬼の副長」と呼ばれ恐れられている。また、頭も切れるため「真選組の頭脳」とも呼ばれている。不器用なのか、普段も無愛想で意地っ張り。好戦的で瞳孔は常に開き気味。一方で涙もろく、周りの人間が特に何も思わないような場面で号泣したりもする。異様なマヨラーという点以外では常識人で、近藤・沖田らのツッコミ役である(が、たまに自身がボケることもある)。
昔は誰ともつるまぬ一匹狼で、近辺の道場に片っ端からケンカを売って、そこかしこの侍たちから目をつけられていた。そんな中で近藤に拾われて恩義を感じて以来、近藤を心から慕い、自らの大将としている。故に彼が幕府を護るのも近藤のためである。銀時とはいがみ合っており、一方的にライバル視しているが、銀時と同じく幽霊が苦手だったりと、言動が似てしまっている。沖田と一緒に行動しているが、彼からあからさまに敵視され、命を狙われている故に喧嘩ばかりしている。沖田の姉であるミツバには冷たく接していたが、内心では密かに好意を抱いていたようだ。根っからの弁天堂派で、マリオファン[6]。ちなみに漫画はマガジン派[7]。
かなりのヘビースモーカーで、常にタバコを手放さない。酒も飲むがあまり強い方ではない。大好物はマヨネーズ。焼きそばを「黄色い奴」に変えるほど極度のマヨラーであり、あらゆる料理にマヨネーズを大量にかけて食べる「土方スペシャル」を好物にしている(沖田いわく「犬のエサ」)。周囲にはまるで理解してもらえないどころかドン引きされ、真選組内部でも批判の声が相次いでいる[8]。二枚目でクールなので女性にモテるが、異常なマヨラーであることが災いし、それほどうまくはいかない。
『3年Z組銀八先生』でもマヨラーっぷりは相変わらず。こちらでは教師・銀八とあまり仲違いはしていない模様。風紀委員の副委員長なのに懐に煙草を忍ばせたりしている(原作の設定をそのまま持ってきたと思われるが、さすがに高校生という設定なので吸わなかった)。
没デザインは目の死んでいない銀時そのもの。没になった設定での主人公だった。
[編集] 沖田総悟
(おきた そうご)/声優:鈴村健一
身長170cm、体重58kg。7月8日生まれ。18歳。飲酒シーンがよく見られるが、幕末を基にしている銀魂の世界では15歳前後で成人扱いになるため、問題なしと考えられる。
栗色のサラサラヘアに灰色(アニメ版では赤色)の瞳をしている童顔の美男子。眉目秀麗であるものの内面は極めて腹黒く[9]、土方から副長の座を奪う機会を虎視眈々と狙っている真選組一番隊隊長。昔から身勝手で頑固な性格をしており、負けず嫌いであったせいで友達が1人もいなかった。幼い頃に近藤と出会い、彼を慕って道場に通うようになるが、ある日突然現れた土方が近藤と親しくなっているのに嫉妬し、または自分を女手一つで育ててくれた姉・ミツバの想いに気づきつつも拒んだ上に幸せを踏みにじった怨みから、あらゆる方法で命を狙っている[10]。しかし、なんだかんだ言いつつも土方のことを慕っている。剣の腕前は真選組の誰をも凌ぐ強さで、車をも一刀両断にしたり、柳生四天王の一人に圧勝したりするが、普段は刀での戦闘よりバズーカの使用が目立つ。悪人を捕えるのは得意だが、その度に破壊活動を働いてしまう為、マスコミから多大な批判を受け、真選組のイメージダウンに拍車を掛けている中心人物。いい加減な上に平気で仕事をサボッたりと、同僚(特に山崎)から見れば問題児であるが、不正は許す事ができない正義感を持つ。
自他共に認める強烈なドSで、土方から「サディスティック星から来た王子」と比喩された事がある。語尾に「~でさァ」「~ですぜィ」と付けて喋る江戸っ子口調が特徴。しかし、姉であるミツバの前では一人称が「俺」から「ボク」に変化する上、普段の沖田からは想像もできないほど良い子になる。就寝時は白い着物を着ている。ロボットダンスが得意。趣味は女子格闘技観戦で、女たちが醜い顔でつかみ合っているのを見て爆笑しているらしい。神楽とは犬猿の仲で、戦闘部族の彼女と互角の戦いを繰り広げる[11]。その一方で神楽をそれなりに認めている面も見受けられる。銀時とは腐れ縁の友にあたり、それなりの敬意を持っているようで、彼を「ダンナ」と呼び一応敬語で話す。
『3年Z組銀八先生』ではサボり気味の風紀委員。こちらでも土方や神楽をからかったりし、土方の携帯で出会い系サイトや自殺系サイトへ勝手にアクセスしたりと、腹黒さは相変わらず。PSPのゲームをプレイしながら学園祭の見回りをするなど、こちらでもいい加減さが目立つ。
没デザインはお通ちゃんに似ている女隊士だった模様。この時の傘で戦うという設定は神楽に引き継がれた。
名前は沖田総司より。
[編集] 伊東鴨太郎
(いとう かもたろう)
メガネをかけた真選組参謀。年齢不詳だが、見た目の若さから恐らく20代だと思われる。
真選組に入隊してからまだ1年程しか経っていない新参者だが、能力的にかなり優れているので参謀の地位を任されている。そのためか、局長である近藤を「君」と呼ぶなど、対等に接している。特に政治力に長けている。剣の腕は北斗一刀流免許皆伝。インテリ(知能派)であるが卑怯で、沖田に負けず劣らずの腹黒さを持つ。それ故、副長の土方とはお互い殺してやりたい程に忌み嫌い合っている[12]。本性は卑劣漢かつ鬼畜な男で、真選組を裏で操り私物化しようとした。攘夷派・鬼兵隊との繋がりがある模様。
名前は新撰組参謀・伊東甲子太郎(いとうかしたろう)より。
[編集] 山崎退
(やまざき さがる)/声優:太田哲治
身長169cm、体重58kg。2月6日生まれ。今のところ年齢は不詳。だが、パトカーを運転するシーンが見受けられるため、現実世界と同基準であれば18歳以上である。
真選組の監察方(密偵)。他の部隊とは別に、黒い噂が流れる場所に自らが乗り込む密偵の活動をしている。そのため様々なトラブルに巻き込まれる可哀想なポジションに位置しているが、上司の指令を忠実に従い、ちゃんと仕事をこなしている。決して落ちこぼれ・下っ端という訳ではなく、真選組における数少ないツッコミ役(または土方のパシリ的存在)である[13]。そのため近藤・土方・沖田の3人程ではないが、そこそこ出番は多い。作者本人がきちんと描く数少ないモブシーンの隊士の一人でもある。
まだ真選組の一員としては未熟なせいか、何かと口が軽いところがある。時として上司思いの面を出すこともあり、一応順応で忠実なところから、愚痴を言いながらも土方を慕っている模様。万事屋に所属する新八とはお互い妙な上司を持つ同士として意気投合している。沖田と同じく銀時を「ダンナ」と呼ぶようになり、土方同様にいじられながらも彼を慕っている。隠密活動時には常に非常食としてソーセージを携帯している。
仕事は忠実にこなす一方で、普段は暇さえあればミントン(バドミントン)をしており、勤務時間中にも関わらずバトミントンをしては土方に見つかりボコボコにされている。アニメ版では時折、その趣味(?)が強調している場面が見られる[14]。最近ではカバディにもはまっている[15]。
質問コーナーにて、「表紙になるような山崎は山崎じゃない」と作者に豪語され、山崎本人が単行本の表紙に飾られる事はないと推測される。しかし読者からの人気は高く、人気投票にて5位にランクインしたり、彼のグッズが発売されたりしている[16]。
名前の由来は新選組の諸士調役 兼 監察の山崎烝(やまざきすすむ)より。「退」という名前にはネガティブな意味ではなく、「一歩退いて 物事を冷静に見、ことにあたれ」の意が込められている。
[編集] 原田右之助
(はらだ うのすけ)/声優:三宅健太
坊主でヒゲの巨漢隊士。十番隊隊長。作者本人がきちんと描く数少ないモブシーンの隊士の一人。同僚である山崎とは仲が良い模様。アニメで名前が公開されて以降、原作にも若干出番が増えた感がある。
名前は、新選組十番隊組長・原田左之助より。
[編集] 篠原進之進
(しのはら しんのしん)
山崎と同じく真選組の監察方(密偵)。真選組乗っ取りを企てる伊東に味方する。
名前のモデルは、新選組の諸士調役兼監察の篠原泰之進。
[編集] 稲山
(いなやま)/声優:平野俊隆
真選組屯所で怪談をしていた男。作中で階級が上であるはずの沖田が「稲山さん」と呼んでいた点から、本当に隊士なのかどうかは不明。山崎とは違い、単なる脇役として登場した可能性が高い。
モデルは稲川淳二。
[編集] 作中未登場の隊士達
一番隊隊長の沖田以外の各隊隊長とおぼしき人物が第九訓などに登場しているが、彼らの名前はアニメにおいて特定された原田を除き不明である。
永倉新七(ながくら しんしち)
- 二番隊隊長。名前のモデルは新選組二番隊組長永倉新八。
斉藤終(さいとう しゅう)
- 三番隊隊長。名前のモデルは新選組三番隊組長斎藤一。
杉原忠司(すぎはら ちゅうじ)
- 四番隊隊長。名前のモデルは新選組四番隊組長松原忠司。
武田観念斎(たけだ かんねんさい)
- 五番隊隊長。名前のモデルは新選組五番隊組長武田観柳斎。
井上源二郎(いのうえ げんじろう)
- 六番隊隊長。名前のモデルは新選組六番隊組長井上源三郎。
丘三十郎(おか さんじゅうろう)
- 七番隊隊長。名前のモデルは新選組七番隊組長谷三十郎。
藤堂凹助(とうどう ぼこすけ)
- 八番隊隊長。名前のモデルは新選組八番隊組長藤堂平助。
二木二郎(にき じろう)
- 九番隊隊長。名前のモデルは新選組九番隊組長鈴木三樹三郎。
吉村折太郎(よしむら おれたろう)
- 真選組の監察方(密偵)。名前のモデルは、新選組の諸士調役兼監察の吉村貫一郎。
[編集] 注
- ^ 第三十三訓で沖田が「18人=隊士の半分以上」と言っていたので、組総勢36人前後と考えられる
- ^ 柳生四天王一の実力を誇る東城を手負いながら一撃で撃破するほど。
- ^ 万事屋との虫取り対決では、フンドシ一丁になって体全体に蜂蜜を塗って、甲虫の瑠璃丸(将軍のペットの甲虫)を採ろうとした(近藤曰く「湯けむりハニー大作戦」と言う手法)。そして最後には(土方、沖田、山崎の3名以外)真選組全員でやった。
- ^ その男気溢れる面が尊敬の元でもある。
- ^ 「古今東西あらゆるギャルゲーをやりつくした」と本人は語っており、お妙からは「三次元より二次元に生まれてくればよかったのに」と言われた(近藤本人は褒められたと思っているが実際はその逆)。
- ^ マリオとルイージを「さん」付けで呼んでいる。
- ^ 土方自身が作った真撰組の掟である局中法度に「マガジン以外の漫画、局内で読む事なかれ」という法度がある程。
- ^ 万事屋との虫取り対決では、マヨネーズを木に塗って甲虫の瑠璃丸を採ろうとした(土方曰く「マヨネーズ決死行」という手法)。
- ^ しかも毒舌がある。一部のファンから「腹黒というより鬼畜」という意見が出ている。
- ^ ワラ人形による“呪い”は勿論、外法による妖魔の召喚を試す等をしていた。
- ^ 万事屋との虫取り対決では、甲虫の着ぐるみを着て、木にしがみ付き(沖田曰く「なりきりウォーズエピソードⅢ」(某映画のパロディー))、甲虫の瑠璃丸を採ろうとした。
- ^ しかし伊東にとって、武士の最大の屈辱は「理解されない」事であると考え、自身の器(本性)を土方は誰より「理解」(危険視)していたため、それなりの評価はしていた。
- ^ しょっちゅう土方からぞんざいに扱われたり、局長である近藤を「バカ」と呼ぶシーンも多々見られる。
- ^ テニスの王子様のコスプレをしたり、板金鎧を着てミントンラケットを振る等。
- ^ 「ミントンとカバディしかない俺…」という発言も見受けられる。
- ^ その人気のせいか、「Owee」をめぐるゲーム対決で対戦した新八に「君と俺とでは地味の器が違う」という名言を残している。
[編集] 関連項目
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メディア展開: | アニメ |
登場人物: | 銀魂の登場人物一覧 | |
主な登場人物 | 坂田銀時 | 志村新八 | 神楽 | 志村妙 |
登場する団体: | 真選組 | 鬼兵隊 |
ゲーム: | 銀魂でぃ~えす・万事屋大騒動! | 銀魂 銀時vs土方!? かぶき町銀玉大争奪戦!! |