神奈川県立外語短期大学附属高等学校
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神奈川県立外語短期大学付属高等学校(かながわけんりつがいごたんきだいがくふぞくこうとうがっこう)は、神奈川県立外語短期大学に付属する全国でも珍しい外国語専門の高等学校である。男女共学。通称「外短(がいたん)」(外部の者が多く使用する名称)「外語(がいご)」(内部の者が多く使用する名称)。専門学科でありながら、普通科トップ校並みの進学校であったが、統廃合のためか、年々難易度が低下してきている。また大学からの推薦入試枠も多い。ただし、2008年度に神奈川県立外語短期大学が神奈川県の意向により、廃校となるため、同時に当該校も廃校となり、新しく、神奈川県立六ツ川高等学校と統合し、新しく、「国際情報」科を有する高校へとなる。しかし理念や歴史、学力レベルの異なる共通性のない高校との統合のため、困難が予想される。現在卒業生の間で、現役生、卒業生が統廃合による不利益を被らないよう活動が進められている。
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[編集] 概要
- 学科 全日制課程貿易外語科
- 沿革
- 1965年 開校 (開校時は、貿易外語高等学校という校名であった。)
- 1968年 校地内に神奈川県立外語短期大学を創設。それにより神奈川県立外語短期大学付属高等学校と校名を改称。
- 2003年 文部科学省よりSELHiの指定を受ける。
- 2005年 度の入試より、英語のみの独自入試を始めた。旧学区は全県であった。
- 2006年 3年間の研究期間を終え、SELHiの指定を再び受ける。
- 2008年 に神奈川県立六ツ川高等学校と合併し、国際情報科を有する高校になる事が決まっている。新校名は未定。現在生徒、保護者、神奈川県教育委員会を中心に話し合いがすすめられている。
[編集] 教育
通称、「外語」と言われるだけあり、英語教育が盛んである。とくに、全単位が必須科目となっている1年生については、2006年現在、英語授業が全31単位中、9単位存在している。そのため、神奈川県の優秀な英語教師は神奈川県立外語短期大学付属高等学校の英語教師に赴任する確率が高い。また、英語だけではなく第二外国語が必修となっているのも特徴のひとつである。第二外国語にはフランス語、中国語、スペイン語、ドイツ語がある。統合後、国際情報科を有する高校になる(新校名は未定)際に、朝鮮語、アラビア語が新しく新規導入されると言われている。
[編集] 特徴
外国式の教育を取り入れ、制服着用義務が無く私服通学が可能。チャイムはテストでも鳴らず、各自が時計を見て行動する。「自由と自律」を重んじる校風である。また、一足制をとりいれており生徒に好評であるが、統合先である神奈川県立六ッ川高等学校では二足制のため、どちらにするかで揺れている。 統合後、42期生と来年度入学の43期生については、42期生は1年間、43期生は2年間新校で外国語科の生徒として、卒業する予定になっているものの、外国語科はこれで消滅という形になる。
[編集] 統廃合について
神奈川県立外語短期大学付属高等学校と神奈川県立六ッ川高等学校は平成20年4月に統合し、国際情報科を有する高校になる(新校名は未定)が、両校は理念、歴史、教育内容に全く共通点がなく、両校の現役生、卒業生など関係者の間からは「無理な合併」として批判の声が上がっていた。 例えば、外語短期大学付属高等学校の卒業生の80%以上は、慶應、早稲田、上智、東京六大学などを含む大学に現役で進学を果たし、上位進学校と言われているが、六ッ川高等学校の4年制大学への進学率は近年は25%~35%程度で横浜南部学区のうち学力的には中下位校の順位にあった。 また両校の校風が全く異なることも、統合後の新校の将来を悲観視する大きな要因となっている。外語短期大学付属高等学校では「自由と自律」の校風のもと、制服の着用義務づけもなく、またチャイムも鳴らず生徒が自主的に行動するように期待されている。しかし、六ッ川高等学校では多くの公立高校と同様に、制服の着用やチャイムによる秩序維持が行われている。 新たに出来る国際情報科高校と、外語短期大学付属高等学校との関係が不透明な点も、混乱に拍車をかけている。外語短期大学付属高等学校は、そのホームページの中で「「外語短期大学付属高等学校」がさらに発展し、「国際情報科」という、時代の要請に応じた最先端の「単位制による国際情報の専門高校」として、あらたな母校として誇れるものとなるよう職員一同力を合わせて努力していく所存です。」と述べ、新たな国際情報科高校は、外語短期大学付属高等学校の発展的統合と説明している。 しかし、新学校の校名案を決める、神奈川県教育委員会の校名検討懇話会で委員が「新しい学校を作ろうというときに、(校名として)これだけ思いの強い言葉は残ってしまうと、新しい態勢にならないと思います。」などと発言をしているように、校名検討懇話会は、校名問題に拘泥するあまりに新高校はまったく外語短期大学付属高等学校とは別種の新設する高校のような印象を与えている。両者の説明には混乱が見られ、委員も合併に至るまでの経緯や説明をふまえて議論をしてるのか疑問があるが、この矛盾点をどのように整理していくかが、この学校が上位進学校として維持されるのか、それとも中下位校に転落するかの鍵となろう。 統廃合を進める行政側は、外語短期大学付属高等学校の持つ進学実績や英語教育などの 優れた部分のみは新学校に引継ぎつつも、あくまでも外語短期大学付属高等学校は廃校としたいという意図が見え隠れしているとされる。 新たに出来る国際情報科高校はどのような高校になるのか、まだ概要は見えてこない。
[編集] エピソード
- 昔は男子が10人未満だったときもあった。
- 兄弟姉妹、親子でこの高校に通う人が多い。
- 独特で排他的な雰囲気があり文化祭は他校生の人からは不評である。
- バスが新たに開通したのでバス通学をする生徒が増えている。
- パントマイム部や女子サッカー部、ラクロス部など他校には見られない変わった部活動がある。
- 部活の顧問は教師の間で当番制になっている為か部活動にやる気の無い教師も多く、部活動が盛んではない。
- 夏休みには任意参加の「サマープログラム(通称サマプロ)」という行事プログラムがある。内容は趣味・教養を深めるもので「尾瀬自然教室」「大使館見学」「テーブルマナー講習 会」「一日記者体験」など盛り沢山。
- サマプロ中でも名物は一年生がみんなで行く「English Camp」。3泊4日原則英語のみを使って英語劇などさまざまなイベントを楽しむ行事である。入学したての一年生にとって は親睦旅行のような役目も果たしてくれる。
- 帰国子女入試も行われている。帰国子女入学した生徒は1・2年生の間は1組にクラス配分され、能力に応じて英語と国語は特別授業を受ける。一方、一般入学で入る帰国子女は「隠れ帰国」と呼ばれる。しかしあくまで一般生徒扱いである。3年生になると帰国子女入学の生徒も一般クラスになる。
- 「外語」という校名は、全国で唯一の校名である。(大学では「東京外国語大学」「大阪外国語大学」がある。)
- 昔はマンドリン部があり、70~80年代は校内で最も華やかな部活だった。α祭のほか、外部会場でのコンサートも何度か開催された。
- 同期会、同窓会活動は一般に低調である。自由を標榜する本校は、同窓会が一部の有力高校で見られるような上意下達組織にしないため、設立当初から同窓会組織を忌避する風潮があった。そのために統廃合の際にさしたる抵抗も出来ず、また学校当局の消極的姿勢を招いてきたのは、皮肉と言える。