秋保温泉
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秋保温泉(あきうおんせん)は、宮城県仙台市太白区秋保町湯元(旧国陸奥国、明治以降は陸前国)にある温泉。仙台都心からも近いため、宿泊のみならず、日帰り入浴にも利用されている。同じ宮城県の鳴子温泉、福島県の飯坂温泉とともに奥州三名湯に数えられた。
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[編集] 泉質
[編集] 温泉街
名取川にそって旅館ホテルが建つ。「秋保・里センター」を中心に広がる。初めに温泉街として発展したのは「秋保・里センター」の西側に当たる湯元地区である。この地区には平安時代に起源を有する宿のほか、数百年の業歴を持つ旅館が建ち並んでいる。
温泉街には、仙台都心から20-30分と近く、高級ホテルのスイートルームに匹敵する部屋(離れ)を有する施設が複数存在し、仙台都市圏で最高の価格とサービスを提供しているため、賓客接待にも用いられている。同様に松島にも高級ホテル・旅館が存在することから、仙台都心にいわゆる高級ホテルが立地出来ない要因ともなっている。
[編集] 歴史
開湯時期は不明だが、古墳時代にはすでに存在したとする説も存在する。秋保温泉が歴史に登場するのは、第29代欽明天皇の代である。在位中(531年~539年)に小瘡(皮膚病)に感染し、八方手を尽くして治療を行ったが一向に治らなかったが、秋保温泉の湯を搬送させ沐浴したところ数日で全快したとされ、天皇はその喜びを歌に詠んだ。
“覚束な雲の上まで見てしかな鳥のみゆけば跡はかもなし”(な鳥のみゆ=名取の御湯)
以後、秋保温泉は皇室の御料温泉の一つとして位置づけられ「御湯」の称号を賜り、別所温泉(信濃御湯)、野沢温泉(犬養御湯)(あるいはいわき湯本温泉(三函御湯))と共に「日本三御湯」と称せられるようになった。「名取の御湯」は、「拾遺集」「大和物語」などにも歌われている。御湯であるが、日本三古湯(有馬・道後・白浜)ではない。
平安時代から戦国時代にかけて、秋保温泉の「湯守役」を勤めていたのが佐藤家である。伊達政宗の仙台入府後、秋保温泉に藩主の御殿湯が整備されたが、この管理も佐藤家に任せられた。(現在のホテル佐勘の祖)
江戸時代初期までは、秋保温泉の源泉は一つで入浴場も一箇所のみであった。この入浴場の周りに宿泊所が設けられていた。当初、この宿泊所も佐藤家だけが管理していたが、寛永2年(1625年)に岩沼屋が、また元禄年間には水戸屋が、佐藤家と縁を結ぶ形で旅籠を開設する。武家はもちろん庶民の利用も活発となり、広く親しまれる湯治場の一つとして賑わうようになった。
大正時代に入ると秋保温泉と長町の間に、秋保石の採掘運搬を目的とした馬車軌道が開通。後、秋保石材軌道、秋保電気鉄道へと発展。戦後にかけ湯治客の輸送に大きく寄与した(鉄道は1961年に廃止されている)。
戦後、各旅館とも近代的な大型観光ホテルとして成長し、秋保町の仙台市への編入合併・政令指定都市化、およびバブル景気の際は新進の旅館も登場し、週末夕方の周辺道路はいつも渋滞するほど大きく発展した。バブル景気までは、各ホテル・旅館とも会社の社員旅行や宿泊を伴う大型忘年会などで賑わい、宴会部門を主な収入の柱にした経営をしていた。
仙台市との合併後、温泉街を経由しないルートに国道286号が変更された。また、国道48号からは林道のみのアクセスだったが、新たに道路が建設され、更に国道457号もできた。道路の整備で仙台都心から車で30分程度の利便性を得たが、バブル景気以後は旅行の少人数化で宴会を伴わない客層に変化し、団体客が減少して宴会部門の収益が激減した。そのため、倒産したり、買収される旅館も出るなど、各ホテル・旅館とも収益構造の変化を強いられた。その中で、域外資本による低価格販売路線を打ち出す宿の登場や、既存の宿の方向性転換による個人客向け高級温泉宿など様々な宿が存在する温泉街へと変化した。
平成15年全国観光動向による周辺部も含めた年間訪問客数は262万人で、仙台都心856万人、松島370万人に次いで宮城県内3番目の観光地、および宮城県内の温泉地で入り込み客数最大となっている。
[編集] 周辺観光地
- 磊々峡(らいらいきょう)
- 秋保大滝
- 仙台万華鏡美術館
- 秋保工芸の郷
- 二口渓谷(二口峡谷)
- 国営みちのく杜の湖畔公園
- 仙台市都心部
- 山寺(峠が林道である宮城県道62号仙台山寺線を通って奥羽山脈を越える必要あり)
[編集] アクセス
- 自家用車(距離は秋保入口交差点まで、MapFan Webで計算。時間は実走)
- 東北自動車道仙台南ICから、国道286号、宮城県道・山形県道62号仙台山寺線:8.4km、約10分。
- 東北自動車道仙台宮城ICから、国道48号(愛子バイパス)、宮城県道132号秋保温泉愛子線:11.3km、約15分。
- 広瀬通・一番町交差点から、仙台西道路、以降上記2と同じルート:16.3km、約20分
- JR仙台駅から、青葉通り、以降上記3と同じルート:18.4km、約30分