ナトリウム
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一般特性 | |||||||||||||||||||
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名称, 記号, 番号 | ナトリウム, Na, 11 | ||||||||||||||||||
分類 | アルカリ金属 | ||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 1 (IA), 3 , s | ||||||||||||||||||
密度, 硬度 | 968 kg/m3, 0.5 | ||||||||||||||||||
色 | 銀白色 |
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原子特性 | |||||||||||||||||||
原子量 | 22.98976928(2) amu | ||||||||||||||||||
原子半径 (計測値) | 180 (190) pm | ||||||||||||||||||
共有結合半径 | 154 pm | ||||||||||||||||||
VDW半径 | 227 pm | ||||||||||||||||||
電子配置 | [Ne]3s1 | ||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 8, 1 | ||||||||||||||||||
酸化数(酸化物) | 1 (強塩基性酸化物) | ||||||||||||||||||
結晶構造 | 体心立方構造 | ||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||
相 | 固体 (常磁性) | ||||||||||||||||||
融点 | 370.87 K (97.7 ℃) | ||||||||||||||||||
沸点 | 1156 K (882.9 ℃) | ||||||||||||||||||
モル体積 | 23.78 ×10-3 m3/mol | ||||||||||||||||||
気化熱 | 96.96 kJ/mol | ||||||||||||||||||
融解熱 | 2.598 kJ/mol | ||||||||||||||||||
蒸気圧 | 1.43×10-5 (1234 K) | ||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | 3200 m/s (293.15 K) | ||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||
クラーク数 | 2.63 % | ||||||||||||||||||
電気陰性度 | 0.93 (ポーリング) | ||||||||||||||||||
比熱容量 | 1230 J/(kg*K) | ||||||||||||||||||
導電率 | 21*106/m Ω | ||||||||||||||||||
熱伝導率 | 141 W/(m*K) | ||||||||||||||||||
第1イオン化エネルギー | 495.8 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第2イオン化エネルギー | 4562 kJ/mol | ||||||||||||||||||
第3イオン化エネルギー | 6910.3 kJ/mol | ||||||||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||
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注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
ナトリウム(羅: Natrium, 英: Sodium; ソディウム) : 原子番号 11 の元素。元素記号はNa。アルカリ金属の一つで、典型元素である。医薬学や栄養学などの分野では英語のソジウムが使われる事もある。
目次 |
[編集] 特徴
常温、常圧での結晶構造は、BCC構造(体心立方構造)。融点は 98℃で、沸点は 833℃(他に 883℃、881℃という実験値あり)、比重が、0.97である(僅かに水より軽い)。非常に反応性の高い金属で、空気中で容易に酸化される(灯油に浸けて保存する)。水と激しく反応する。また、酸、アルカリにも侵される。イオン化する時は、一価の陽イオンになりやすい。炎色反応で黄色を呈する。この性質を利用した照明器具がナトリウムランプである。
水よりも高温で液体であり、また、熱伝導率もよいため、高速増殖炉の冷却材として利用されているが、前述の理由により非常に扱いにくいため、極めて高度な技術がないと利用できない。
人体にとっては重要な電解質のひとつであり、その大部分が細胞外液に分布している。濃度は 135~145mmol/l 程度に保たれており、細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムの過剰摂取は濃度維持のための水分貯留により、高血圧の大きな原因となる。
[編集] 用途
金属単体としての利用は、前述のように、高速増殖炉の冷却材としての用途がある。また、高性能自動車エンジンの排気バルブのステム内部に封入し熱伝導を向上させる用途にも用いられる。そのほかに、負極にナトリウム、正極に硫黄を使った、NaS電池(大型の非常用電源等に利用される)がある。
[編集] 歴史
1807年、ハンフリー・デービーが、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を電気分解することにより発見された。ナトリウムという名称は、ギリシャ語で天然ソーダやアルカリ塩を意味する νίτρον に由来する。
[編集] 製法
水酸化物や塩化物を融解塩電解することによって単体を得られる。カストナー法(原料 NaOH)、ダウンズ法(原料 NaCl)。2005年現在、工業的規模で金属ナトリウムを製造しているのは日本国内では新潟県に立地する日本曹達二本木工場のみであったが、2006年操業を停止した。
[編集] ナトリウムの主な化学反応
- 水と反応して水素を発生させながら水酸化ナトリウム (NaOH) になる。
- Na + H2O → NaOH + 1/2 H2
- アルコール、カルボン酸、フェノール類などのヒドロキシ基と反応して水素をさせながらアルコキシドなどを与える。
- Na + ROH → RONa + 1/2 H2 (アルコール:R = アルキル基、フェノール類:R = 芳香族置換基)
- Na + RCOOH → RCOONa + 1/2 H2
- ハロゲンの単体と結合(反応)して、塩になる。
- Na + 1/2 Cl2 → NaCl
[編集] ナトリウムの化合物
詳細はCategory:ナトリウムの化合物を参照。
[編集] オキソ酸の塩
- 炭酸水素ナトリウム(重曹) NaHCO3
- 炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ) Na2CO3
- 過炭酸ナトリウム Na2CO4
- 亜二チオン酸ナトリウム(亜ジチオン酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト) Na2S2O4
- 亜硫酸ナトリウム Na2SO3
- 亜硫酸水素ナトリウム NaHSO3
- 硫酸ナトリウム(芒硝) Na2SO4
- チオ硫酸ナトリウム(ハイポ) Na2S2O3
- 亜硝酸ナトリウム NaNO2
- 硝酸ナトリウム NaNO3
[編集] ハロゲン化物
[編集] 酸化物・水酸化物
[編集] その他の無機塩
- 水素化ナトリウム NaH
- 硫化ナトリウム Na2S
- 硫化水素ナトリウム(水硫化ナトリウム) NaHS
- 珪酸ナトリウム Na2SiO3
- リン酸三ナトリウム Na3PO4
- ホウ酸ナトリウム Na3BO3
- 水素化ホウ素ナトリウム NaBH4
- シアン化ナトリウム(青酸ナトリウム) NaCN
- シアン酸ナトリウム NaOCN
- テトラクロロ金酸ナトリウム Na[AuCl4]
[編集] 有機酸塩
- 酢酸ナトリウム CH3COONa
- クエン酸ナトリウム