科学忍者隊ガッチャマンII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
科学忍者隊ガッチャマンII | |
---|---|
ジャンル | SFヒーローアクション |
テレビアニメ | |
監督 | 笹川ひろし |
アニメーション制作 | タツノコプロ |
製作 | 吉田健二 |
放送局 | フジテレビ |
放送期間 | 1978年10月 - 1979年9月 |
話数 | 全52話 |
■テンプレート使用方法 ■ノート |
『科学忍者隊ガッチャマンII』(かがくにんじゃたいガッチャマンツー)は、『科学忍者隊ガッチャマン』の4年ぶりの続編としてフジテレビ系で毎週日曜日18:00 - 18:30に放送された、タツノコプロ製作のテレビアニメ。1978年(昭和53年)10月1日から1979年(昭和54年)9月30日まで放映された。全52話。(放映は53回。1979年8月19日に28話『愛を奪った羽手裏剣』を再放送)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
本作放映の同年7月にシリーズ第1作を再編集したアニメ映画版ガッチャマンや、当時起こったアニメブーム、さらにはシリーズ第1作の再放送を望む声が多数寄せられ続けたのが追い風となって、制作された続編。
第1シリーズの総監督を務めた鳥海永行は、2年間の前シリーズで既に達成感があったことと、既にタツノコプロを退社するつもりであったことから、本作の監督は引き受けずに、同年12月にタツノコプロを退社。そのため、総監督は前番組『一発貫太くん』を担当していた笹川ひろしがタイムボカンシリーズと並行して担当。社長の吉田竜夫が若くして他界し、スタッフの流出が続いた時期のタツノコプロであったが、作画陣は前シリーズの経験のある面々が集まった。タツノコプロとの契約を終えて社外に去っていた前シリーズの宮本貞雄作画監督を再び招聘。宮本の下には、前シリーズを支えた須田正己、二宮常雄、井口忠一らが顔を揃えた。一方、演出陣には笹川が養成し「タツノコ四天王」の異名を取っていた新世代のタツノコプロスタッフ、押井守、真下耕一、うえだひでひと、西久保瑞穂の4人が抜擢された。この4人のローテーションにタツノコ社内からは原征太郎が参加、後はグロス出しであった。
しかし、アニメブームによりテレビアニメの本数が増加してアニメーター不足が起こったことと、制作開始が遅れて準備期間がほとんどなかったことから、常にスケジュールは逼迫。絵の仕上がりが悪かったことから、アフレコでは評判が悪く、とりわけガッチャマンをタツノコプロの看板番組として思い入れが強かった主役の森功至は怒りを露にすることがあったという。第9話「滅亡のベルクカッツェ」において、前シリーズの総集編を放映する苦肉の策が取られたが、遂に最後までスケジュールを挽回できることはなかったという。
視聴率でも苦戦が続き、前シリーズほどの人気は得られず、続編の『科学忍者隊ガッチャマンF』では路線転換が図られた。
前作で壮絶な死を遂げたキャラクター、コンドルのジョーはクローン人間というアイデアも出たが、サイボーグという形で復活。体の一部がメカニックという設定が使えず、強化ポリマーで体を覆っているという設定になっている。声をあてたささきいさおは、本作での共演が馴れ初めとなり、後に上田みゆきと結婚した。
[編集] ストーリー
総裁Xが宇宙に去ってから約3年の年月が流れた。マントル計画も順調に進み、地球は平和を取り戻した。国際科学技術庁が科学忍者隊の解散を決定した矢先、総裁Xが火の玉となって南太平洋ギルバード諸島後方100キロの海上に襲来。そこを航行中だった豪華客船クイーンマーガレット号(第50話では船名がエリザベス・ムーア号とされている)は沈没してしまう。総裁Xはそこに乗り合わせていた子供を特殊な装置に掛け、3ヶ月程度で大人に成長させる。そしてその子供をギャラクター司令官・ゲルサドラとして仕立て上げギャラクターを復活させ、再び地球征服を狙い始めた。科学忍者隊の解散は撤回され、前作で命尽きたジョーの代わりに地球防衛軍からホーク・ゲッツが新G-2号として参加し、復活したギャラクターへの偵察を開始する。しかしゲッツは敵のスパイにすり替えられていたのだ。偽ゲッツの手引きで敵のど真ん中に誘い込まれ窮地に陥る忍者隊。しかし、何者かの助けによってピンチを脱する。倒された偽ゲッツには、羽手裏剣が刺さっていた。ジョーは生きていたのか…!?
[編集] キャラクター:キャスト
- 鷲尾健(ガッチャマン/大鷲の健):(声:森功至)
- 今作での武器はバードソーサー。丸型の刃は分離可能。
- ジョージ浅倉(コンドルのジョー):(声:ささきいさお)
- 今作での武器はロケット羽手裏剣。スピード・射程距離・破壊力が通常の羽手裏剣より大きく向上した。ドクターラッフェルによりサイボーグとして蘇生。定期的にドクターラッフェルの基地でエネルギーを注入しているためにミーティングに遅れることがあり、サイボーグであることを秘密にしていた為、それをパンドラ博士に看破されるまでは遅れた理由を問われると答えられなかった。
- ジュン(白鳥のジュン):(声:杉山佳寿子)
- 今作での武器はオーロラリボン。捕縛と打撃が可能。17話では発光目晦まし攻撃があった。今作ではジョーのことをえらく気にかけていたようだ。
- 甚平(燕(つばくろ)の甚平):(声:塩屋翼)
- 今作での武器はリバウンドボール。右手のグローブとスーパーポールのセット武器。前作のアメリカンクラッカー同様様々な応用ができる。
- 中西竜(みみずくの竜):(声:兼本新吾)
- 今作での武器はグリッパー。粘着性の物質で相手を捕縛し、投げ飛ばす。今作ではゴッドフェニックスで留守番をする必要がなくなり、他の4人と共に戦う機会も増えた。
- 南部考三郎博士:(声:大平透)
- 前作に引き続き、国際科学技術庁の博士として登場。前作の終盤で破壊された三日月基地に変わり、今作では有志によって建設され海底を航行可能な基地、Gタウンから5人に指示を送る。第27話「南部博士死す!」では銃撃を受け、危篤状態になり死んだことになっていたが、これは総裁Xがゲルサドラに命じた暗殺計画を察知した南部が対抗するためにパンドラと打った芝居であった。
- パンドラ博士:(声:上田みゆき)
- 本作のキーパーソン。第26話「謎の秘書パンドラ」より登場。本名シルビア・パンドラ。南部博士の秘書として登場する女性科学者。ロボット工学やサイボーグの研究が専門のようである。他にもサイキックパワーの増幅や探知を行うシンレーダー(27話にて使用。心霊+レーダーから命名されたと思われる)、動物と意思疎通ができるようになる脳波解読システム(40話)を開発するなど、研究分野は多岐に渡っているようである。豪華客船沈没事故と何か関係があるようだ。
- ドクターラッフェル:(声:千葉耕市)
- 元はギャラクターに所属していた科学者。ジョーをサイボーグとして蘇生させた張本人である。総裁Xによれば、総裁Xとコンタクトを取って地球を教えた人間で、最初はギャラクター創設に協力したが、総裁の目論見を知ると反抗しだし、カッツェに命じて暗殺させたはずだったそうである。鷹を飼っており、肩によくとまっている。ジョーをサイボーグ化した際に、総裁Xを倒すための仕掛けがしてあるブラックボックスを埋め込んでいた。また、ジョー以前にもその実験台としてサイボーグ手術をしており、第25話では海中にサイボーグコロニーができるほどの数のサイボーグが生活していた。第49話「燃えよ!コンドル」にて居場所を突き止められ、総裁Xの秘密と居場所を健に教えようとするも、ギャラクターの白スーツ隊員の凶弾により殺された。
- パイマー:(声:井上瑤 第1話では小宮和枝)
- コンピューター頭脳を持つパイロットマシン。パイマーの名前はここに由来する。命名者は竜である。このパイマーにより竜は留守番から解放された。第6話「衝撃のピラミッドパワー」では火の鳥影分身を行うため、ピラミッド状に配置された各Gメカを操縦する5人に代わって、火の鳥を発動させたニューゴッドフェニックスでピラミッド要塞に突っ込むという大役も果たした。
- ゲルサドラ:(声:池田勝、成長前の子供の声は小宮和枝)
- 前首領ベルク・カッツェに代わる、復活したギャラクターの首領。男の声で話すが、性別は女(50話では総裁Xとゲルサドラの会話で、ゲルサドラはある人物の息子、つまり男性との表現がある)。生まれつき異常な染色体を持っており、目をつけた総裁Xが、彼女の乗っていた豪華客船を沈没させて誘拐した。さらに特殊な装置に掛け、3ヶ月程度で幼児から大人の肉体に成長させギャラクターの首領とした(ベルク・カッツェと同じくミュータントである。)。カッツェのイメージを強く受け継いだキャラクターであるが、更に姑息で逃げ足が速い。ベルクカッツェを嫌っていたようで、第13話では、ベルクカッツェが作った基地のカッツェの部屋を「趣味が悪い愚かな部屋」と評し、テーブルに置かれたカッツェの肖像を払い落として踏みつけたりしていた。口癖は「失敗は成功の母」「おのーれおのれ!」「飛んで火にいるアホウドリ」「はんぱおろか」「何としてからに!」など。独特の甲高い声で、時代劇風の芝居がかった口調が特徴である。忍者隊に基地や鉄獣を破壊されると、オレンジ色の円盤に乗って脱出し「ゲルサドラは不滅だ、覚えておれ~!」と捨て台詞を残して逃げるのがパターンだった。
- マーストラ:(声:市川治)
- 第43話「火星からのインベーダー」より登場する、ギャラクターの幹部。総裁Xが密かにソーラーシフト計画のための火星基地を建設させていた。専用の円盤を持っており、これに搭載されている兵器などで忍者隊を妨害したり、宇宙基地を破壊したりした。ゲルサドラを見下しており、散々嫌味を言った挙句、ノロサドラなどとも言っている。第44話でオービタG号で火星に到着した健により基地を破壊されたためにソーラーシフト計画の作戦が中止になり、第45話にて基地の修理で一週間かかると総裁Xに報告したところ、Xを激怒させ「3日でやれ」と告げられ、失脚させられた。
- 総裁X:(声:田中信夫)
- 前作「科学忍者隊ガッチャマン」最終回で地球を去るも、再び来襲しギャラクターを再編して科学忍者隊に挑戦する。前作とは姿が変わっており、その姿はスキャニメイトを利用して描かれていた。最終回にて明らかになるその正体はスペースブレイン(自我を持つ電子頭脳)であり、ソーラーシフト計画とは太陽を移動させ、太陽系を破滅させるというものであった。隕石山にギャラクター本部基地を建設し、その中にある一室が総裁Xの部屋であり、ボタンで押してその部屋の床下を開くとXの中枢装置があり、中枢装置を守るためにレーザー砲がいくつも装備されている。第40話では、前作の最終回で地球を離れるときに使ったペン型ロケットでアグリカのサバリー自然動物園にあるゲルサドラが作った基地に移動もしており、中枢装置でも総裁Xを構成する上で本当に必要なパーツはそれに積載できる範囲内に収まっていなければならないため、それほど多くないのかもしれない。健の放ったバードソーサーによって爆発が起こり、ギャラクター本部基地と共に滅亡した。(ただし、本編の映像ではジョーが止めをさしたような印象を与えるものとなっている)
- ホーク・ゲッツ:(声:伊武雅之(現・伊武雅刀))
- 前作で命尽きたジョーに代わって、地球防衛軍から新G-2号として派遣された軍人。しかし科学忍者隊に合流する前に殺害され、ギャラクターが送り込んだ偽物にすり替わられてしまった。忍者隊に合流した偽ゲッツは尊大かつ生意気な口調でメンバーの反感を買うが、本物のゲッツもそのような性格だったのかは不明。ともかく、本物のゲッツは百戦錬磨の忍者隊メンバーと比較するとまだまだ実力不足だったことは確かであろう。
- ナレーター:(声:仲村秀生)
[編集] 登場メカニック
- ニューゴッドフェニックス
- ゴッドフェニックスの後継機。旧ゴッドフェニックスはG-5号を中心として合体(と言うより収納)するシステムだった上、分離した状態だとG-5号が戦闘に不向きなメカになってしまい、後方で待機させざるを得ない状況になることが多かったため、総合的な戦闘能力に問題があった。そのためニューゴッドフェニックスでは最初から本体は忍者隊メカの基地として考え、本体に5機の忍者隊メカを収納するシステムに改めた。本体には操縦サポートロボット・パイマーが搭載され、戦闘時に忍者隊全員が出動可能になり、竜がお留守番をする必要はなくなった。初代以上にモチーフの「不死鳥」を強調したデザインとなっており、機首にはズバリ鳥の顔が意匠として施されているが、これは番組スポンサーであったポピーの村上克司のアイデアである。ただ、色遣いやデザインは機首に顔があるためか、下手をするとタイムボカンシリーズあたりに出てきそうな雰囲気を感じさせるものがあり、前作からのファンの評判は良くない。(一方では同時期に放映されていたタイムボカンシリーズ「ヤッターマン」のヤッターキングの機能性やデザインを意識しているという見方もある。)ちなみに大河原邦男による初期のデザイン段階では、旧ゴッドフェニックスのリファイン版のような直線的で割合シンプルなデザインだったそうである。武装は機首部左右に内蔵された連装式バードミサイルと機関砲。前作と同じく「科学忍法・火の鳥」を使うことが可能で、この状態を再現した真紅のカラーリングの「ニューゴッドフェニックス・火の鳥」の玩具も発売された。バリエーション技の「火の鳥・影分身」も使用可能で第6話にて使用した際は、ニューゴッドフェニックスを中心として各Gメカをピラミッド状に配置しパイマーが操縦するニューゴッドフェニックスが「科学忍法・火の鳥」を行った。次作の「科学忍者隊ガッチャマンF」の第1話で大破したのを機に、主役メカの座をガッチャスパルタンに譲ることとなった。
- イーグルシャープ
- コンドルアタッカー
- オートスワン
- スワローヘリコ
- ホーンドタンク
[編集] 制作スタッフ
- 製作:吉田健二
- 原作:吉田竜夫
- 企画:吉田健二、鳥海尽三
- プロデューサー:九里一平、中野政則、柴田勝
- 脚本:鳥海尽三、久保田圭司、陶山智、山本優、曽田博久、佐藤和男、酒井あきよし、海老沼三郎
- 演出:原征太郎、西久保瑞穂、棚橋一徳、真下耕一、押井守、布川ゆうじ、植田秀仁、案納正美、小鹿英吉、西牧秀雄、笹川ひろし、高橋資祐、斧谷稔、八尋旭、津田義三、山口直樹、高井戸仁、内田有紀彦、石田昌久、平谷寿敏
- キャラクターデザイン:九里一平、天野喜孝、高田明美
- メカニックデザイン:大河原邦男
- 美術デザイン:中村光毅
- 作画監修:宮本貞雄
- 作画監督:野部駿夫
- 作画担当:河井静男、西川忠良、加藤和恵
- 美術担当:佐藤輝信、佐藤広明
- 文芸担当:陶山智
- 特殊効果:朝沼清貴、村上正博、向井稔、阿部郷、山崎雅典、山崎保
- SF考証:小隅黎
- トレス:小野静子、高山洋子
- 色指定:岡嶋国敏、藤田弘美、羽生道代、向井稔
- 検査:阿部郷、深沢弓、長岡恵、及川あつ子、上村祐子
- 撮影:アニメフレンド
- 音楽:小西礼二郎(第一話のみ)、ボブ佐久間、筒井広志
- 録音ディレクター:水本完
- 編集:三木幸子、戸田礼子
- 録音:兼子芳博
- 効果:加藤昭二
- 監督補:原征太郎
- 総監督:笹川ひろし
- 進行:伏川政明、羽田野智子、山田良一、田村常夫、由井正俊、庄司清、綱倉雅弘、中田和久、吉田哲
- 制作:タツノコプロ、フジテレビ
[編集] 主題歌
[編集] 放送リスト
- 総裁Xの逆襲
- 謎の羽手裏剣
- 地獄のブラックナイツ
- かえってきたジョー!?
- 謎の原人大襲来
- 衝撃のピラミッドパワー
- 恐怖のミュータント作戦
- 月世界の火の鳥
- 滅亡のベルクカッツェ
- 赤道の雪嵐
- 争奪! ハイプルニウム600
- Dr.ラッフェルの秘密
- 青春のG2号
- 宇宙のレッドインパルス
- 純情のG5号
- 空白のジョー
- 悪魔の方程式
- 宇宙船応答せず
- 異次元空間のワナ
- Gタウン危機一髪
- 青春の折れた翼
- 謎のストーンヘンジ
- 北極に消えた愛
- 疑惑のG2号
- 悲しみのサイボーグ
- 謎の秘書パンドラ
- 南部博士死す!
- 愛を奪った羽根手裏剣
- 生か死か! 魔の北壁
- 故郷に帰った竜
- 撃墜された大鷲
- G1号アンデスの愛
- 怒りのG1号
- アマゾンの鉄魔獣
- ベルクカッツェの遺産
- 悲しみの地底都市
- 燃えろ! はがねの翼
- 電磁メカ鉄魔竜
- 紅のコンドル
- 激斗! 魔のアニマル作戦
- ガッチャマン対ゲルサドラ
- 闇に動く天文台
- 火星からのインベーダー
- たたけ! 邪悪の火星基地
- 魔のソーラーシフト計画
- あばかれたガッチャマン
- 必殺! 二羽の火の鳥
- 史上最大の大津波
- 燃えよ! コンドル
- 謎! 謎? ゲルサドラの母
- 悲しみのゲルサドラ
- 総裁Xの滅亡
- 第46話と第47話の間に、第28話「愛を奪った羽根手裏剣」の再放送があった。
[編集] 関連項目
- 科学忍者隊ガッチャマン(前作)
- 科学忍者隊ガッチャマンF(パート3)
フジテレビ 日曜日18時台前半 | ||
---|---|---|
前番組 | 科学忍者隊ガッチャマンII | 次番組 |
一発貫太くん | 科学忍者隊ガッチャマンF |
現在Yahoo!動画にて2007年7月31日まで科学忍者隊ガッチャマンII無料配信中http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00012/v00357/
カテゴリ: テレビ番組に関するスタブ | アニメ作品 か | フジテレビ系アニメ | タツノコプロ | SFアニメ | 1978年のテレビアニメ