管弦楽組曲
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管弦楽組曲(かんげんがくくみきょく)は、
- 一般に、オーケストラのための組曲全般。組曲#近代組曲を参照。
- バロック期後半にドイツを中心として盛んに作曲された、管弦楽合奏による組曲。フランス風序曲形式の序曲を筆頭に、舞曲を主体とする小曲が数曲続く構成となっている。
- それらの中でも、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品(BWV1066-1068)が最も有名。今日では単に『管弦楽組曲』といえば、この作品を指すことが多い。本稿で詳述する。
- 独:Orchestersuite/Ouvertüre
- 仏:Suite d'orchestre/Ouverture
- 英:Orchestral Suite/Overture
主な作品
- ゲオルク・フィリップ・テレマン
- ターフェルムジーク(食卓の音楽)
- ハンブルクの潮の満ち干(水上の音楽)
関連項目
目次 |
[編集] 概要
ブランデンブルク協奏曲と並んで、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの代表的な管弦楽作品の一つ。BWV1066から1069までの、独立した4組曲から成る。それぞれバリエーション豊かな4作品は当時の様々な舞曲や宮廷音楽の集大成であり、またフランス風序曲形式の一つの完成体を見ることができる。「G線上のアリア」の通称で有名な第3組曲中の第2曲は別格として、第2組曲と第3組曲が演奏機会が多い。グスタフ・マーラーによる編曲版もある。なお、第5組曲 BWV1070は、今日では偽作とされる。
成立年代はそれぞれ、バッハが世俗器楽曲を多数作曲したケーテン時代(1717年-1723年)、またはそれ以前のヴァイマール(1708年-1717年)時代と考えられる。だが、トランペットやティンパニを含む第3,4組曲などの編成を見ると、当時のケーテン宮廷の小規模な楽団には不釣り合いと思われ、のちのライプツィヒ時代(1723年以降)に、コレギウム・ムジクムでの演奏のために大幅に加筆された可能性が高い。
また第4組曲の序曲は、ヴィヴァーチェ部分に合唱を加えて、カンタータ110番の冒頭合唱曲に転用されている。
[編集] 曲名
バッハはこの作品群を「組曲」とは呼ばなかったようである。というのも、バッハにとって組曲とはもっとも狭義の組曲、すなわちアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグの4曲から成る組曲、ないしそれにいくらかの舞曲を加えたものでなければならなかったからである。従ってこれら作品は「序曲に始まる作品」というような意味で「序曲」(Ouverture)と呼ばれていたようである。これに基づき、新しいバッハ全集では「4つの序曲(管弦楽組曲)」としている。
[編集] 各組曲の詳細
[編集] 第1番
- 演奏時間:約25分
- 構成
- 序曲 4/4 - 2/2
- クーラント 3/2
- ガヴォット I - II - I 2/2
- フォルラーヌ(ヴェネチアの踊り)
- メヌエット I - II - I 3/4
- ブーレ I - II - I 2/2
- ブーレIIはハ短調
- パスピエ I - II - I 3/4
[編集] 第2番
- 演奏時間:約25分
- 構成
- 序曲 4/4 - 2/2 - 3/4
- ロンド 2/2
- サラバンド 3/4
- ブーレ I - II - I 2/2
- ポロネーズ 3/4
- 中間部はドゥーブルとされ、主部の旋律がバスに移りフルートがオブリガードを奏でる。
- メヌエット 3/4
- バディヌリー 2/4
- 舞曲の名前ではない。
[編集] 第3番
- 演奏時間:約25分
- 構成
- 序曲 4/4 - 2/2
- エール(エア、アリア) 4/4
- 弦楽器だけで演奏される。ヴァイオリニストのアウグスト・ヴィルヘルミによって、ヴァイオリンパートをG線で演奏するように「G線上のアリア」として編曲され、あまりに有名。舞曲ではない。
- ガヴォット 2/2
- ブーレ 2/2
- ジーグ 6/8
[編集] 第4番
- 演奏時間:約20分
- 構成
[編集] マーラー版
マーラーのニューヨーク時代である1909年に編曲され、同年11月10日に初演。翌1910年に出版された。第2番と第3番から自由に楽曲を抜粋し再構成したものである。楽器編成やアクセントの付け方等で原曲と異なる部分がある。
- 演奏時間:約26分
- 編成
- 構成
- 序曲 4/4(第2番より)
- 編成は原曲とほぼ同一だが、通奏低音にオルガンが加わる。
- ロンドとバディヌリー 2/2 - 2/4 - 4/4(第2番より)
- ロンド→バティヌリー→ロンドの順で演奏。編成は原曲とほぼ同一だが、オルガンの出番はこの楽章で終わり。
- アリア 4/4(第3番より)
- 編成は原曲と同一である。
- ガヴォット 2/2(第3番より)
- 編成は原曲と同一である。
[編集] 参考文献
- ミニチュアスコア、全音楽譜出版社
- 最新名曲解説全集4 管弦楽曲I、44頁、音楽之友社、1980年
- 金子建志「J.S.バッハ<管弦楽組曲>(マーラー版)」『こだわり派のための名曲徹底分析 マーラーの交響曲』92頁~96頁、音楽之友社、1994年
カテゴリ: J.S.バッハの楽曲 | 管弦楽曲 | バロック音楽