終夜運転
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終夜運転(しゅうやうんてん)とは、公共交通機関で深夜・早朝時も含めて1日中運行を行うこと。但し、夜行列車・夜行便も深夜帯を利用した物であるがこの範疇には入れない場合が多い。
[編集] 概要
日本国外ではニューヨーク市地下鉄で行われているのが著名である。手法としては経営路線の多くが緩行線と急行線に分かれた複々線であるため、複線ずつを隔日で整備する事によって夜間の運行を確保している。
日本においては東京・名古屋・京阪神・福岡などの大都市圏で、12月31日より1月1日にかけて、主に初詣の為に神社仏閣への参詣を目的としたものが知られている。
鉄道の場合、最終列車運行後から始発列車運行までの時間は保線などを行う時間であることや、その時間は大部分の住民は睡眠時間であることから、騒音源として特に注意を計る必要が生じる。また、通常深夜・早朝時間帯に動く需要は魚・野菜等の生鮮食料品の市場に勤める流通業者など特殊な条件での労働者や、登山客、解禁当日の太公望・遊漁者などであり、需要も限られる。そういった者に対する供給については通例小規模なもので対応が出来るため、例えば最終列車の延長や始発列車と別に深夜・早朝時間帯に専用列車(あるいは臨時列車)を仕立てるという方策を採るケースが多い。しかし、深夜帯でも不特定多数の需要があり、且つ社会的に認められていた年末年始の初詣については、例外的に運行が行われる場合が多い。
但し、1990年代後半以降、一部の鉄道事業者では「需要が認めにくい」等の理由により最終列車の延長(午前2時頃まで)や始発列車の繰り上げ(午前4時頃から)などで対応し、必ずしも終夜運行とはならない場合もまま見受けられる。また東京都交通局(都営地下鉄)では労働争議により一時期終夜運転を中止した例もある。
また新幹線の場合、騒音による影響を防ぐため、災害などでのダイヤの乱れなど、特殊な事情の場合を除くと法律により24時~6時の営業運転は出来ないことになっているが、監督官庁や沿線自治体に許可を得た上で1967年~日本万国博覧会(大阪万博)が開催された1970年頃とサッカーワールドカップが行われた2002年6月に一部区間で終夜運転に代わる終列車繰り下げ、ないし始発の繰上げ運行を行った実績がある。
なお、日本でも1980年代後半より1990年代前半のバブル景気期にはJR・大手私鉄に対し「社会的な要請」としてこのような要請がなされたとされる。また、地下鉄でも前述したニューヨークの例に倣って終夜運転をすべきという意見が出されたこともあったが、整備保守の時間を確保する問題から難しいとされている。
タクシーの場合は、利用者の便を計るために終日運行されている事がよくあるが、これは終夜運転と称さない事例が多い。
また飛行機でも過去に日本航空が東京国際空港(羽田空港)~福岡空港(板付空港)間を大阪国際空港(伊丹空港)経由で「ムーンライト便」という夜行便があったが、これも終夜運転とは言わない。
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