都営地下鉄
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都営地下鉄(とえいちかてつ)は、東京都が運営する地下鉄。東京の地下鉄路線の内、浅草線などの4路線。日本の公営交通の一つ。
東京都の公営事業であり、東京都公営企業組織条例に基づき設置された東京都交通局が、都電、都営バスなどとともに実際の業務を行う。
パスネットの符丁はTO。パスネット対応カードをTカードという名称で発行している。
目次 |
[編集] 路線
色 | 記号 | 路線番号 | 路線名 | 区間 | キロ程 |
---|---|---|---|---|---|
A | 1号線 | 浅草線 | 西馬込駅~押上駅 | 18.3km | |
I | 6号線 | 三田線 | 白金高輪駅~西高島平駅 | 24.2km | |
目黒駅~白金高輪駅(第二種鉄道事業者※) | 2.3km | ||||
S | 10号線 | 新宿線 | 新宿駅~本八幡駅(千葉県市川市) | 23.5km | |
E | 12号線 | 大江戸線 | 放射部:光が丘駅~都庁前駅 | 12.9km | |
環状部:都庁前駅~六本木駅~両国駅~都庁前駅 | 27.8km |
路線は上表の通り計4路線ある。路線番号に欠番(2~5・7~9・11・13)があるのは、東京地下鉄と共通の連番にしているためである。
浅草線が標準軌、三田線が狭軌、新宿線が馬車軌、大江戸線が標準軌ベースのリニア方式と、乗り入れや建築の都合で4路線に互換がない。これは、浅草線は京浜急行電鉄・京成電鉄と、三田線は東武鉄道(中止)・東京急行電鉄(一度中止の後に乗り入れ路線変更の形で計画復活)と、新宿線は京王電鉄との乗り入れを前提としていたため、相手側の方式を採用した。
この他、計画路線として浅草線分岐線が日本橋駅~東京駅~東銀座駅で計画されており、東京駅接着ともいわれる。なお、同線の蔵前駅の改築と待避線設置も計画されている。
[編集] 直通運転路線
- 浅草線
- 三田線
- 新宿線
[編集] 車両
[編集] 現有車両
- 浅草線
- 三田線
- 新宿線
- 大江戸線
- 12-000形(1次試作車は取り扱い関係上保存となった)
- E5000形(電気機関車・大江戸線内自力走行可能)
[編集] 過去の車両
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2004年12月1日現在。
キロ程 | 運賃(円) |
---|---|
初乗り4km | 170 |
5~9 | 210 |
10~15 | 260 |
16~21 | 310 |
22~27 | 360 |
28~40 | 410 |
- 東京メトロ線と連絡して利用する場合は、最も安い経路の運賃から大人70円・小児40円引き。
- 目黒駅~白金高輪駅間のみの乗車の場合は、都営より安い東京メトロの運賃表を適用する(160円)。同区間の都営線回数券(1,600円)も発売される。
- 空港連絡特殊割引運賃
- 都営地下鉄線内と泉岳寺駅・京急線経由羽田空港駅及び押上駅・京成線経由空港第2ビル駅・成田空港駅との間で利用する場合は大人60円・小児30円引き(但し上記の東京メトロ線との乗継割引が適用される場合を除く)。開始当初は「エアポートきっぷ」という企画乗車券の扱いで事前の乗車券の購入が必要であり、パスネットが割引対象にならなかったが、2005年8月24日から空港連絡特殊割引となったため、すべての乗車券が割引運賃となった。
- 都営地下鉄線内と押上駅・京成線経由で北総線各駅との間で利用する場合は大人30円・小児20円引き。北総線の大町駅~印旛日本医大駅間との間で利用する場合については大人は40円引き(但し上記の東京メトロ線との乗継割引が適用される場合を除く)。
- 都営地下鉄全線を対象にした全線定期券(1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月)も発売されている。
- 他社との接続駅付近での短距離乗車に対して大人20円・小児10円(京王線~大江戸線の乗り継ぎに限り大人・小児共10円)の割引運賃が設定されている。具体的には以下の区間。
接続駅 | 接続会社 | 都営線の駅 | 乗継対象の路線の駅 |
---|---|---|---|
押上駅 | 京成電鉄 | 浅草線:浅草駅~本所吾妻橋駅 | 京成押上線:京成曳舟駅~八広駅 |
浅草駅 | 東武鉄道 | 浅草線:浅草橋駅~押上駅 大江戸線:新御徒町駅~両国駅 |
東武伊勢崎線:業平橋駅~東向島駅 東武亀戸線:曳舟駅~小村井駅 |
泉岳寺駅 | 京浜急行電鉄 | 浅草線:五反田駅~大門駅 三田線:芝公園駅~白金高輪駅 |
京急本線:品川駅~新馬場駅 |
目黒駅 | 東京急行電鉄 | 三田線:白金高輪駅~白金台駅 | 東急目黒線:不動前駅~西小山駅 |
新宿駅 | 京王電鉄 | 新宿線:新宿三丁目駅~曙橋駅 大江戸線:国立競技場駅~西新宿五丁目駅 |
京王線(京王新線):初台駅~笹塚駅 |
小田急電鉄 | 新宿線:新宿三丁目駅~曙橋駅 大江戸線:都庁前駅~西新宿五丁目駅 |
小田急小田原線:南新宿駅~代々木上原駅 | |
中井駅 | 西武鉄道 | 大江戸線:中野坂上駅~新江古田駅 | 西武新宿線:西武新宿駅~野方駅 |
練馬駅 | 西武鉄道 | 大江戸線:落合南長崎駅~練馬春日町駅 | 西武池袋線:東長崎駅~練馬高野台駅 西武有楽町線:小竹向原駅~新桜台駅(全線) |
[編集] 各種乗車券
都営地下鉄・都営バス・都電荒川線の全線に乗車できる一日乗車券が大人700円・小児350円で発売されている。この乗車券は東京メトロ線及びJR線に比べ地下鉄普通運賃が割高であることや、都営バスの広い路線網から、割安に利用できる機会の多いものである。例を挙げれば都営バスと地下鉄170円区間を乗り継いだ往復普通運賃は740円、また都営新宿線・新宿~本八幡間の往復運賃は720円であり、一日券の方がより低廉となる。
前売り券は都営地下鉄各駅の窓口・定期券発売所、都電・都バス営業所・支所・分駐所で購入できる。購入日から6ヶ月間のうちの1日に限り使用できるが、非磁気券のため自動改札機は通れない。また、乗車される月日が銀色シールになっており、使用される月日を硬貨などで削らなければならない。以前は大人・小児別々の券を発行していたが、現在は大人・小児同一の券を発行している。また当日券は都営地下鉄各駅の自動券売機で購入する場合のみ定期券サイズの磁気券で発行され、自動改札機を利用できる。これに限り現金の他にパスネットでも購入できる。
都バス及び都電の運転士から当日券を購入する場合は感熱紙を使用した定期券サイズの非磁気券となり、自動改札機を通ることはできないため、券面には「有人改札専用」と表記され、「ラミネート加工(パウチ等)をしないでください」という注意書きがある。バス共通カードや回数券類では購入できない。
また、季節を定めて都営地下鉄専用の一日乗車券(ワンデーパス)が大人500円・小児250円で発売される(発売期間はその都度、都営地下鉄ホームページや中吊り広告で案内がある)。以前は企画を行う毎にサイズが違い、且つ自動改札機を通れなかったが、現在は定期券サイズで自動改札機を利用できるようになっている。
この他、東京メトロと都営地下鉄共通の一日乗車券も大人1,000円・小児500円で当日券のみ発売されている。この乗車券は都バス及び都電には通用しない。
都営地下鉄と都バスまたは都電を乗り継ぐ定期乗車券は、それぞれの運賃が10%割引となる。
2006年10月25日から都営地下鉄の定期乗車券購入(全線定期券・連絡定期券を含む)に国際ブランドの一般クレジットカードが使用できるようになった。当初は定期券発売所のみの取り扱いで、追って2007年3月4日からは券売機でも開始されている。
[編集] 列車速度
[編集] 最高速度
- 浅草線・大江戸線:全線70km/h
- 三田線:白金高輪駅~西高島平駅間 75km/h、目黒駅~白金高輪駅間 80km/h(同区間内は都営地下鉄の乗務員も東京地下鉄の運転取扱規定に従って運転する)
- 新宿線:全線75km/h
[編集] 駅通過速度
- 浅草線・三田線・新宿線:55km/h
- 大江戸線:25km/h
通常、駅を通過するのは回送電車のほかに、営業運転では浅草線のエアポート快特と新宿線の急行のみ。それ以外はすべて各駅に停車する。ちなみに、電車が通過する際に警報音のような音がホームで流れる。
[編集] 保安方式
- 浅草線:C-ATS(デジタル伝送を利用し、ATS-Pに匹敵する機能を持つ。2007年3月16日までは1号型ATSで京成・新京成・北総・京急・芝山と同じだった。直通各社もC-ATSに更新準備中)
- 三田線・大江戸線:CS-ATC(三田線は1999年12月2日まではT型ATS(乗り入れ予定のあった東武鉄道と共同開発したパターン型ATS))
- 新宿線:D-ATC(2005年5月13日まではCS-ATC)
[編集] 特徴
- 車内や駅のコンコース、ホームでAMラジオ放送が聴取可能である(東京メトロやJR・私鉄の地下部分は不可。また三田線の白金高輪~目黒間は東京メトロの区間のため不可)。このサービスは1993年9月に浅草線の一部区間で試験を行い、翌1994年11月より全線で本格実施となった。
- 2006年2月1日から3月31日まで、三田線の一部区間で地上デジタル放送(ワンセグ)の送信試験を行っていた。
- 東京地下鉄と共同で、案内サインシステムの更新を行っている。その完全な更新第1号が小川町駅である。
[編集] 経営状況
経営状況は、2004年(平成16年)度は全国最悪の約134億7,000万円の赤字、2005年度で約38億7300万円赤字と、長年赤字に苦しんでいたが、近年、赤字幅は大幅に減少してきており、地下鉄事業を始めてから47年目である2006年度には、営業黒字が出る見込みとなっている。また、経営計画「新チャレンジ2007」によると、2007年度も黒字になると書かれている。
また、2005年度までの累積欠損金は約4,772億円にのぼる。このため過去に財政再建団体に転落したことや、何度か民営化構想や帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)との統合構想、他社への売却構想などが出たこともあった。
[編集] 路線別収支状況
- 浅草線:純損益 約61億3,032万4,000円の黒字
- 三田線:純損益 約14億8,247万4,000円の黒字
- 新宿線:純損益 約85億8,092万0,000円の黒字
- 大江戸線:純損益 約200億6,676万7,000円の赤字
以上のように、前年度赤字であった三田線の収支が好転したことにより、大江戸線が赤字であることを除けば、黒字となっている(すべて2005年度決算)。平成17年度東京都高速電車事業会計決算審査意見書の7ページ目を参照のこと。但し大江戸線が赤字なのは建設費の償却をしているためであって、営業利益は黒字であり、今後このままの経営状況が続けば償却終了後には純利益も黒字化される公算が大きい。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
大手私鉄 | 東京急行電鉄・小田急電鉄・京王電鉄・京成電鉄・京浜急行電鉄・相模鉄道・西武鉄道・東武鉄道・東京地下鉄 |
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中小私鉄・第三セクター等 | 新京成電鉄・北総鉄道・箱根登山鉄道・埼玉高速鉄道・東葉高速鉄道・横浜高速鉄道・首都圏新都市鉄道・伊豆箱根鉄道・関東鉄道・江ノ島電鉄 |
公営事業者 | 東京都交通局・川崎市交通局・横浜市交通局 |
モノレール・新交通システム | 多摩都市モノレール・ゆりかもめ・千葉都市モノレール・横浜新都市交通・舞浜リゾートライン |
バス(発行事業者のみ) | 伊豆箱根バス・神奈川中央交通・関東バス・京浜急行バス・西武バス・東急バス・西東京バス・富士急行・山梨交通・江ノ島電鉄・京王電鉄バス・国際興業・箱根登山バス・船橋新京成バス・小田急バス・立川バス・川崎鶴見臨港バス・京成バス・相模鉄道・千葉交通・東武バスセントラル・日立自動車交通・平和交通 |
相互利用 | JR東日本他(Suica) |
日本の地下鉄 | |
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公営: | 札幌市 | 仙台市 | 東京都 | 川崎市(計画中) | 横浜市 | 名古屋市 | 京都市 | 大阪市 | 神戸市 | 福岡市 |
民営: | 埼玉高速鉄道 | 東京メトロ | 東京臨海高速鉄道 | 横浜高速鉄道MM21線 | 神戸高速鉄道 |