藍蘭島
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藍蘭島(あいらんとう)は、藤代健の漫画作品、およびそれを原作とするアニメ作品「ながされて藍蘭島」(スクウェア・エニックス刊)の舞台である架空の島。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 歴史
- 江戸時代までは無人島だった。
- 130年前、欧州帰りの客船・アイランド号が上海と長崎の中間地点で大嵐に遭遇して沈没した際、生き残った乗員乗客が漂着。船の名をとって「藍蘭島」と名づけられ、乗員乗客が生活を始めた。
- 以後、文明は明治初期の庶民レベルのまま維持されており、現在も電気・ガス・水道などのインフラは存在しない。通貨もなく、自給自足の生活が営まれている。
- 12年前、漢だらけの大船釣り大会が開かれた際に男性の島民が乗った船が全て外へ流されてしまい、主人公・東方院行人が漂着するまで島民は全員女性だった。
[編集] 地誌
いずれも本編・ドラマCD・パーフェクトガイドブックの記述を基にする。
[編集] 位置
- 不明。密林が多く、平野にはヤシが生えていることから、亜熱帯か熱帯にあるものと思われる。
- 上記の経緯や、行人が沖縄行きの船から海に転落し漂着したことなどから、パーフェクトガイドブックでは東シナ海中心部(尖閣諸島付近?)との仮説が提示されている。
[編集] 地勢
- 島への出入りは、今のところ嵐や大波に巻き込まれるしかない。
- 当然、海路・空路とも定期便は存在しない。海流の流れが激しい上、意図して島外へ出ようとすると大渦が発生し巻き込まれるため、島から出ることはほとんど不可能とされる。
- 島の中央部には休火山があり、富士山に外観が似ていることから、富士山(ふじやま)と呼ばれている。
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- 富士山からは温泉が湧いており、ほとんどの家ではお風呂に温泉を引いている。
- 山頂付近は常に雪があり、島民が氷を取りに登る。
- 動物は、微妙に形や性格がおかしく、全体にかわいい系(魚を除く)。また、ほとんどの動物が文字の読み書きができる上、ずば抜けた計算能力を持っている。さらに、一部は人間との間に会話を成立させることが可能。
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- 上記のこともあるため、島民には魚以外の動物を食べる習慣がない。
- 魚は、おおむね凶暴な姿形をしており、行人は恐竜のような顔の鯛に噛みつかれた。
- 妖怪やお化け・幽霊・魔法・未確認生物が、割合普通に存在している。
- 植物は、全体に大きい。また、東の森には食肉植物が繁茂している。
- どこかに、河童の集落があるらしい。
- 村の北外れには、初期の村民が流れ着いた以前からあるとされる遺跡があるらしい。
- 南西には、龍神島(りゅうじんとう)という小さな島がある。
- 海は釣りだけでなく、海水浴にも利用される。その際は全裸で泳ぐのが一般化しているが、行人が来た頃にはちかげが水着を入手しており、“りさーち”も兼ねてみんなに着てもらっていた。あやねとまちは全裸の方がいいと言っていたが、行人が止めた。
[編集] 行政
- 政府・地方自治体は存在せず、島の長老であるオババ(本名・こと)を中心とする合議制を採っている。
- 動物や妖怪はこの限りではなく、富士山を中心に東地区・西地区・南地区・北地区の各なわばり(テリトリー)に分割され、それぞれ高度な戦闘能力を持った「ぬし」に支配されている。また、島を囲む海にも「ぬし」が存在する。
- 通貨はなく、物々交換が基本。労働(手伝いなど)に対する報酬も、農産物や漁獲物などで支払われる。
[編集] 教育
- 中学校が1校存在するが、先生のくないが気まぐれなので授業は月1~2回しか開かれない。
[編集] 産業
[編集] 建造物・公共施設・その他の名所
[編集] 民家
- すずの家
- ヒロイン・すずの自宅。行人は漂着後、この家に居候している。それ以前は、すずととんかつの2人暮らしだった。
- 質素で小ぶりな、木造わらぶきの日本家屋。海が目の前の崖の上に建っている。
- 部屋はいろり付きの板張りの居間一間だけで、その奥にはたんす・鏡台・ヤシや花を寄せ植えにした植木鉢が置いてある。また、壁には掛け軸がかけられている。
- お風呂は広い岩風呂で、かけ流しの天然温泉。お隣のからあげ一家、近所の梅梅がお風呂を借りに来る。
- 昼間は、縁側にからあげ一家がいることが多い。
- 雨の日は、島の仕事が休みになるので、女の子たちがすずと遊ぶため集まって来る。
- オババの家
- 村の長老であるオババ(本名・こと)の家。オババとみちるが住んでいる。
- すずに釣り上げられた行人が、最初に運び込まれて気がついた場所。
- 部屋にはすだれがある(平安貴族の屋敷風)。
- りんの家
- 職人一家。弟子も同居するので大所帯であり、当然、家も大きく広い。
- お風呂は温泉ではなく、薪で焚いている。数人が入れる、木桶タイプの浴槽がある。湯かげん調節の釜焚きは、下っぱのえて吉がおもに担当する。
- 蔵の奥には、妖箒や霊が憑いた大工道具など、危険で怪しいものが封印され保管されている。ただし、ほとんど管理されておらず、時々誤って持ち出されてしまい、トラブルを起こすことがある。
- ちかげの家
- 村はずれの洋館。アイランド号の生き残りの西洋人が住んでいた。
- アイランド号に積まれていたすべての本が保管されている書庫がある。
- 台所には洋食や中華料理が作れる設備がある。
- お風呂は掛け流しの天然温泉。浴室は広く、タイル張りのひょうたん型の大きな浴槽がある。
- 設計はノンポリオ・セガール・山田で、その趣味により隠し扉や隠し通路が多数あり、地下は迷宮状態。対侵入者用のワナがたくさんある。
- 梅梅(メイメイ)の家
- 水車小屋。常に水が必要な遠野さんと同居するため、ここに決めた。
- ボロボロだったが、りんの一家が修繕した。4畳半一間に押入、土間、簡単なかまどだけという狭さ。
- お風呂がないため、近所のすずの家のお風呂を借りている。
- すぐ横に、遠野さん用のきゅうり畑が作られている。
- しのぶの家
- しのぶが行人に弟子入りしたため、実家から通うのが大変なのと、びふてきが布団の感触を気に入ってしまい野宿が難しくなったため、職人一家の手により、すずの家の近くに新築された。
- 建築時はしのぶとりんのドジにより数回建て直しとなり、当初は新鮮なまぐろ3匹の報酬で建ててもらうはずが、4匹に値上がりしてしまった。
- しのぶとびふてきが住んでいる。
- 忍一族(しのびいちぞく)の家
- 西と南の森と境目付近にある。
- 周囲は「迷いの森」で、忍一族の者以外が入ると二度と出られない。また、忍者の修行場として最適。
- 家は「からくり屋敷」で、落とし穴などのワナが多数仕掛けられている。玄関にはいきなり「足ばらい」があり、行人やすずが引っ掛かった。
[編集] 公共施設
- 海龍神社(かいりゅうじんじゃ)
- 海龍様を祀っている。御堂の奥の本邸には、巫女一家が住んでいる。
- 村はずれの山の上にあり、訪れるには長い石段を登る必要がある。
- 御堂の扉は常に固く閉ざされており、中にあるはずのご神体は非公開。
- 御堂の前の賽銭箱には「龍」と書かれている。ただし、通貨がない藍蘭島では、賽銭箱は単なる飾りらしい。
- 広い道場があり、海龍様の像と「芸道大」(右から読んで「大道芸」)と書かれた額が掲げられている。
- お風呂は温泉ではなく、薪で焚いている。五右衛門風呂らしく、浴槽は小さい。
- 入り組んだつくりになっている屋根裏部屋がある。なぜか、大蛇が棲んでいる。また風呂場の真上には覗き用の筒があるが周囲の足場が悪い。
- 奥の林の中に、小さな庵「瞑想の間」がある。小説版では、まちが「初夜の間」に改装し、行人の貞操が奪われそうになった。
- 井戸
- つるべ式。水道がない藍蘭島の、唯一の飲料水源。
- 毎朝、島民が水汲みに集まり、情報交換の場にもなっている。
- 氷保存用の洞窟
- 村はずれにある。内部は村で最も涼しい場所。
- 氷室として使われており、富士山の山頂近くから取って来た雪を固めた氷が保存されている。
[編集] その他の名所
- アイランド号
- 明治時代の大型蒸気船。130年前、欧州から日本への帰りの航海中、嵐に巻き込まれて沈没。乗員乗客は、当時は無人島だった藍蘭島に漂着した。
- 欧州で開催された日本文化紹介の古美術展に出品した宝物、貴重品を多数積んでいた。
- 今も、持ち出し切れなかった多くの貴重品とともに、藍蘭島の沖合いに沈んでいる。
- 時々、積み荷の一部が藍蘭島に打ち上げられる。
- うの木橋(うのきばし)
- 村内の川にかかる橋。島民がよく通る。
- 欄干のない、シンプルな木橋。幅は約2mほど。
- 西の大樟(にしのおおくす)
- 島の西端近くにある、巨大なクスノキ。西の森のシンボル。
- 村全体を見渡せる高い丘の頂上にある。
- ちかげが変身魔法騒動を起こした時、この木の下で魔法陣を描いて魔法を発動させた。
- とんがり山
- ドラマCDで登場した場所。藍蘭島の西と北の境にある山。きのこがたくさん生えているので、島民がきのこ狩りに行く。
- 月見亭(つきみてい)
- ドラマCDで登場した場所。富士山のふもと近くにある、もと温泉宿。いつも風鈴の音が響いている。
- 島で、月見をするのに最もいい場所に建てられている。かつて、お月見の時季には島民でにぎわった。
- 宿は12年前に番頭などの男手がなくなり放置されていたが、併設の露天風呂はその後も利用されていた。
- のぼりには「ようこそ月見亭へ、いい湯だな、はははん」と書いてある。
- さくやが住みつき、修繕したので宿として復活した。
- お土産コーナーには月見亭の名物、温泉まんじゅうが売られている。
- 中学校(ちゅうがっこう)
- 行人や美咲が通う。校名は不明。(藍蘭島内の施設ではない)
- 制服は男女とも2つボタンのブレザー。ネクタイは男子はノーマル、女子はリボン。女子のスカートはチェック柄で、かなりショート。
- 美咲の入学式は第99回だった。歴史ある学校らしい。
[編集] 行事・突発イベント
[編集] 年中・定期行事
現在は中止されているものも含む。
- 漢だらけの大船釣り大会(おとこだらけのおおふなづりたいかい)
- 毎年行われていた、藍蘭島の男が全員参加する船釣り大会。
- 12年前、この大会中に100年に一度クラスの大波が起き、すべての船が男たちともども島外へ流されてしまった。
- サバイバルゲーム
- 南の森で毎年1回開催される、南のぬしの座を賭けた、猫族と犬族が戦うゲーム。
- 武器は筆1本。これで顔にヒゲを2本描かれると失格。ヒゲを描くのは、ゲームを提案したノンポリオ・セガール・山田がヒゲ自慢だったことに由来する。
- 競技エリアから出ても、失格になる。
- 猫族側には、毎回すずが助っ人をしている。
- 過去の対戦成績は、猫族52勝、犬族50勝。
- 花見(はなみ)
- 島の北東の岬にある、大きな桜の木を見に行く。
- 春ではなく夏が花の盛りのため、花見も夏に行われる。
- 途中、高い山を越える必要があり、北の森を通ることもあって危険。北のぬしに見つからないよう、3人ずつの組に分かれて、別々のルートで岬を目指す。途中には、ツチノコやワニなどの危険動物がいる。
- まちは、あえて最も危険なルートを通るらしい。
- 桜の木は、島内で唯一の桜で、途中の危険という苦労をしても見る甲斐があるものらしい。
- 帰りは、岬のそばに住んでいるイルカが海路で送ってくれる。
- 大食い大会(おおぐいたいかい)
- おしるこ大食いの時は、すずが120杯以上を食べて優勝した。
- 行人が来てからは、開催されていないらしい。
- 尻相撲大会(しりずもうたいかい)
- 単行本第2巻表紙で登場。
- 少なくとも50回は開催されている。行司はまちが務める。
- 本編で描かれたことはない。
[編集] 突発イベント
- 明るい家族ごっこ計画(あかるいかぞくごっこけいかく)
- ドラマCDで、ちかげが愛読書の「愛と憎しみの絆」を元に作ったシナリオ。
- 内容や配役があまりにひどく、途中で行人により強制的に中止させられた。
[編集] 婿殿争奪イベント
- 第1回婿殿争奪おにごっこ大会(だいいっかいむこどのそうだつおにごっこたいかい)
- 12年間、男がいなかった藍蘭島に漂着した行人をめぐって島民の少女たちが争奪戦を始めてしまい、仕事が手につかない島民をおさめるために、オババの発案と企画により開催された。勝者には、行人の嫁の座が約束される。
- スタート地点の横断幕には、なぜか「あいらん花ヨメの会」と書かれていた。
- ルールは3つ。範囲は島の西側のみ、制限時間は一番星が輝くまで、最初に行人に触れた者が勝者。
- 行人がスタート後、100カウント後に参加者が一斉にスタート、行人を追いかけた。
- すずが陰から行人に接近した女の子を妨害、最後まで行人を守った。
- 行人が最後まで逃げ切ったと思いきや、エリア外の東の森に入った時、東のぬしに襲われそうになったすずを突き飛ばしたのを確認され、すずの勝利となった(『最初に行人に触れたものが勝者』だったが、行人は『捕まらなければ僕の勝ち』と思い込んでいた)。が、すずは権利を放棄してしまった。
- 第2回婿殿争奪杯(だいにかい むこどのそうだつはい)
- 行人が藍蘭島に漂着してから50話……いや、3か月にもなるのに、なかなか特定の女の子と深い恋仲にならないのに業を煮やしたオババが、再び企画。勝者には「婿殿独占!! 二人だけで行く月見亭1泊2日宿泊券」が贈呈される(本来は「行人と結婚」とするつもりだったが妥協したらしい)。
- ルールは「狩り物競争」。与えられたくじ(みちるが矢文で島民全員に送った)に書かれた4人の「他人の持ち物」をすべて集めた上、西の大樟に最初に手をついた者が勝者。
- くじには1つだけ「大ハズレ」があり、これは東西南北のぬしが持っているアイテムを集めることになっている。オババの策略により、この大ハズレくじは行人に直接与えられた。
- 海龍神社にも矢文が届いたが、まちだけが内容を読み参加。あやねは、すずに聞いて初めて開催を知った。なお、あやね用のくじは、いつの間にかあやねの袖に挟まれていた。
- 本来は個人戦だが、参加者の多くが作戦として(攻撃・防御とも、複数人が協力する方が有利なので)数人ずつのグループとなり、そのグループ同士で対戦が進められた。
- 激戦の末、すずが4アイテムを入手して大樟に手をついたが、その少し前に行人がからあげに辛勝して大樟に手をついており、行人が優勝した。
- 行人が優勝したため、月見亭での1泊2日はなくなるかと思いきや、行人はすずを指名して月見亭へ出かけた。